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Vol.15 “ゆとり教育終了”で学校の選び方はこう変わる

 

 新年度になって学習指導要領の部分改訂が始まりました。ついに「ゆとり教育」が終わり、教育新時代を迎えたことになります。公立の先生方はもちろん、私立中学・高校の先生方にとってもいろいろと悩みのタネはつきないようです。
 3月下旬のある日、私は私立中学・高校で生徒募集を担当する先生方対象のセミナーで講師を務めました。「入試問題をどう変えればよいのか」といった悩みから、「どうアピールすれば生徒に入学してもらえるか」といったことまで、いろいろと自分の考えを述べてアドバイスさせていただきました。先生方の不安として「これから学校の選び方が変わってしまうのだろうか?」という点が特に大きかったようです。私の考えは「大きく変わる」です(先生方は「やっぱり……」という感じでしたが)。
 そこで今回は、受験生や保護者の「学校の選び方」がどのように変わっていくと予想されるのか、私が先生方に話した「秘密トーク」をこっそりお伝えしようと思います。

21世紀型の学校分類

 これまでの学校選び(大学から私立中学まで)は、おおまかに言うと20世紀の価値観そのままに「偏差値至上主義」が主流でした(図1)。その学校の理念や姿勢は二の次で、「偏差値が高い=いい学校」という選び方をする人が、大学・高校受験をする人はもちろん、中学受験においても多く見受けられました。
 それに対して今後の学校選びでは、PISA型と呼ばれる「21世紀型の学力」にどう対応するのかという「新しい軸」の誕生によって、選択肢が増えることになるのです(図2)。


 では、図2を使って具体的に考えていきます。「新しい軸」の誕生によって、まずは大学を4パターンに分けることができるようになります。例えば東京大学の2次試験は明らかに「A」の位置を意識していますから、東大を目指すのであれば、高校あるいは中学を選ぶ段階から「A」の位置を意識している学校を選択するのは当然です。「B」に収まる大学は、簡単に言えば「大学入試センター試験」の結果が合否に大きく影響するところ、「C」に収まる大学は、俗に「定員割れ」していて募集に苦しみ、学生のレベルが下がっていると言われるような大学、「D」は看護、保育、ものつくりなど、特殊技能・能力を身につけるための大学です。
 ご家庭の方針に適する大学がどのグループに属するかイメージできたら、今度は皆さんのお子さんが将来進学することになる中学あるいは高校も4パターンに分類してみましょう。「D」にあてはまるのは、これから改革が始まる公立中学でしょうか。「B」にはいわゆる「受験に熱心な進学校」が入ります。地方のトップあるいは2番手の高校の多くがここに属します。「C」には「これから進学校を目指す」私立中学・高校や公立高校が入ります。これから進学実績を上げようという学校は、「C」のポジションから「B」のポジションを目指しているのが一般的です。「A」に属する中学・高校は、入試問題において記述を重視していて、かつレベルの高い有名校が入るのでしょう。


今後ますます求められる「21世紀型の学力」

 こうして分類してみると、「C」の位置に属する学校の指導で「A」の大学に合格することは、難しいと言わざるをえません。むしろ「D」に属する公立中学の指導がしっかり機能するのであれば、「D」からの方が「A」に近いのかもしれません(もちろん塾などに通って「B」の要素を取り込む必要があります)。
 いわゆる21世紀型の学力(PISA型)とは「論理的思考力」「表現力」「発想力」といったもので、この根底には「自分の考えを表現する」「自ら確かめ発見する」といった理学部的発想が求められます。従来の○×式のペーパーテストでは測りにくい能力を磨かなければなりませんから、「一般的な学力」は当然持っていることが前提になります。
 それに対して、これまで学校や塾、そして保護者が重視してきたものは「知識や作業量によって蓄えた経験を応用し使いこなす」といった工学部的発想でした。工学部的発想が間違いだったということではありません。時代の変化に伴って、要求されているものが変わりつつあるということなのです。今までであれば「A」と「B」の違いはあいまいでしたが、今後10~20年の間にこの2つのグループの違いはかなり明確になることが予想されるのです。
 ですから、今後は「B」のポジションに属する学校の生き残り争いが最も厳しいことが予想されます。どうやって「B」から「A」に軸足を移していくのかが問われることでしょう。最近公立であっても大学合格実績(特に東大)にこだわる高校が増えているのは、すでにこの変化を読み取っているからなのでしょう。逆に、こうした時代の変化を読みきれずに、これから「B」を目指すと公言するような学校だと、将来的に募集は厳しくなってくると思われます(「A」を目指す過渡期であれば別ですが)。


親子で「なぜ? どうして?」に取り組む

 では「A」を目指すにはどのような勉強が必要になるのでしょうか。数学でいえば、解法を暗記して指示通り解くだけの「知識・テクニックに頼った勉強」だけでは、「A」には通用しません。「なぜ? どうして?」という視点を常に持ち合わせ、公式に頼らず自分で書き出して調べるとか、先生の説明とは別の解法を見つけたり考えたりする姿勢が求められます。
 例えば「分数の割り算では、分子と分母をひっくり返して掛け算になおす」などの理由を、お母さんは説明できますか?「だって、そう習ったからよ」という場合は要注意。どうしてそうなるのか、塾や学校の先生にまかせっきりにしていては、お子さんにも「自分で考える」姿勢は身につきませんよね。「お子さんと一緒に調べてみる」演技をするだけでもかなりの効果がありますよ。

vol.15 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2009年 6月号掲載

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