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子育て相談 Vol.1
生活習慣について
- 規則正しく生活できる子に育てたいのですが、
毎日、ただガミガミと追いかけ回しているばかりで……。 - この春、2年生になる息子です。低学年のうちに生活のリズムをつくっておきたくて、1年生のはじめに「学校から帰ったら、宿題(10分程度)とピアノの練習だけは毎日しようね」と約束したのですが、いっこうに守れません。いつまでもだらだらと過ごすため、私も待ちきれずに叱りつけてしまい、毎日、追い立てて、就寝ぎりぎりまでに何とか終わらせているといった状態です。最近では、私の怒鳴り声にも慣れてきたようで、私自身、叱る意欲もなくなってきました。生活のリズムをつくるには、母親としてどう導いていけばいいのでしょう?
先生の回答
「きちんと」「早く」「上手に」よりも、
「やった」ということに意識を向けましょう
やるべきことが自然とできる仕組みを考えてみましょう
子どもの生活を整えるには、早いうちから習慣づけることが大切ですね。このお母さんも、子どもになんとか安定した生活習慣を身につけさせようと、毎日努力しておられます。ですが、思うようにいかず、焦っているようですね。低学年のうちに生活のリズムを作りたい、というのは、子どもにとっても良い考えだと思います。
問題は、「約束したのに、守れない」というところにあります。親は「約束した」と思っていますが、果たして子どもも同じように捉えているでしょうか。親に「帰ったら宿題をやろうね、約束だよ」と言われて「うん」と答えたばかりに、毎日「どうして約束を守らないの」と叱られ、ひどいめにあっている、と思っているかもしれません。
子どもに、約束を守るということを教えるのは、確かに大切なことです。ところが、その「約束」の内容が親からの一方的な押し付けであると、子どもは約束を守ることではなく、親の顔色をうかがうことを覚えます。私たち親は、親の言うことにただ従う子ではなく、その場で必要なことや大切なことを見極め、自分の行動を選択していける子どもを育てなくてはいけません。ここはひとまず、「約束」という名前の押し付けをするのをやめて、子どもにとって日々やるべきことを、自然とできるようになるための仕組みを考えることにしましょう。
子どもに習慣をつけたい時は、次のステップで実行しましょう。
①どんな習慣をつけたいのか、具体的に決める
「遊ぶ前にやるべきことをやる」では、やるべきことが何かがわかりません。たとえば、「帰ったら、遊ぶ前に、その日の宿題を終える」のほうが具体的です。
②①で決めたことをするための段取りを決める
家に帰ったら、ランドセルを置き、手を洗い、おやつを食べるとします。そのあと遊び始めるのではなく、宿題を終えるように習慣づけましょう。
③一緒に
「宿題しなさい」と声をかけるのではなく、隣に座って、まず今日習ったことを子どもに教えてもらいましょう。宿題を広げ、一緒に机に向かいます。親が手とり足とり教えるのではなく、子どもと一緒に話し、考えるつもりで、机に向かうという姿勢をリードします。
④まずは「やる」ことに意識を向ける
親の意識が「きちんと」「早く」「上手に」に向いていると、子どもはやる気になれません。習慣づけは「やる」ことの習慣づけから始まります。子どもの間違いを探したり、「もっと丁寧に計算しよう」「ちゃんと書こう」というように、子どものしていることを否定する言葉をかけたりするのは、「やる」ことを習慣づける段階では、あまりいい影響を及ぼしません。まずは「やったね」というところに意識を向けましょう。もし「この字きれいに書けてるね」というようなプラスのメッセージを投げかけることができればベストですが、それ以上にマイナスのメッセージを発しないことが大切です。ニコニコ笑顔で、隣に座っているようにしましょう。
⑤短く切り上げる
何が何でも終わるまで終わらせないというのも、「やる」ことを習慣づける段階ではあまりよくありません。子どもが嫌がっているのに机に向かわせ続けると、机に向かうことは嫌なこと、という刷り込みをしてしまいます。まずは短い時間から始めましょう。それで終わらないようであれば、おやつや休憩を挟んで、何回かに分けてもいいでしょう。ストップウォッチで「10分休憩したら、また10分やる」と区切るのも簡単です。
⑥途中でやめない
習慣づけをするには、ある程度の期間が必要です。三日で諦めてしまっては、それまでの努力が無駄になるうえ、子どもにとっては「お母さんは『今日から毎日やろうね』と言ったのに、結局続かなかった」ということになり、親子の信頼にひびが入りかねません。一度やると決めたら、毎日少しずつでも続けるようにしましょう。
以上のことに気を付けながら根気強く取り組むことで、子どもに習慣づけを行うことができます。 宿題を習慣づける過程で、無理強いしたり叱りつけたりすれば、子どもは宿題そのものが嫌いになります。嫌なイメージを刷り込まず、ニコニコ穏やかな態度で、毎日少しずつ、粘り強く取り組むことが大切です。
Vol.1 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2014年4月号掲載