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子育て相談 Vol.100
“習い事”
- 習い事がどれひとつ長続きしません……。
- 息子(小学4年)にいろいろ体験させてあげたくて、これまでに、お絵描き、ピアノ、英会話、サッカー、プログラミング、空手、水泳……などいろいろな習い事に挑戦させてきましたが、どれひとつ3か月と長続きしません……。始める時も、やめる時も、本人の意思を尊重して、無理強いはしないようにしているのですが、この調子で、次から次にやめていくこともどうなのかと気になってきました。
続けさせる方法や、始め時・やめ時の判断の基準など教えていただければと思います。
先生の回答
習い事の恩恵をより豊かなものにするため
お子さんの興味や関心の対象をしっかり観察しましょう
習い事は、子育て中の親が大いに興味を持つことのひとつですね。ある調査によると、6歳までの子どもたちの7割以上が、何らかの習い事を検討しているか、あるいはすでに経験しているそうです。親の習い事熱はかなり高いといえるでしょう。ご質問は、続けさせる方法や、始め時ややめ時の判断についてということですが、子どもの習い事をどう考え、どう取り組んだらよいのかについて、一から整理してみましょう。
体験させたいのか
継続させたいのか
ご相談では、小学4年までにかなりの数の習い事を体験をしてきています。「いろいろ体験させてあげたくて」という親の希望は、すでにかなえられているのではないでしょうか。お子さんは、これまでにいくつもの習い事にチャレンジして、いろいろな体験をしていることでしょう。ところが、親が問題にしているのは、その習い事が続かないというポイントです。「いろいろ体験させたい」という願いの中には、様々な習い事をさせたいということだけでなく、ひとつのことに長く打ち込む経験をしてほしいということも含まれているようです。
まずは、親が何を期待しているのかを、より明確にしてみませんか。お子さんにこの習い事をさせてみようと思った時、親は何を期待したでしょう。体力づくりや、運動機能の向上。基礎学力を身につけることや、学校の内容を先取りして学ぶこと。新しい物事に触れて子どもの興味を引き出すことや、すでにある子どもの興味を追求して深めていくこと。異文化に触れることや、自分が属するコミュニティへの理解を深めること。新しいことに興味を持って挑戦することや、ひとつのことに根気強く取り組むこと。様々な期待があることでしょう。親自身の期待がどんなものであるか、もう少し具体的にしてみましょう。
そして、お子さんについてのことです。お子さんはどんなことに興味を持っているでしょうか。本を読んだり、絵を描いたりするのが好きでしょうか。体を動かすことや、スポーツが好きでしょうか。子どもの好みによっても、選ぶ習い事が違ってきます。続けるということに価値を置くとすれば、もともと興味があることで、「これ、面白い!」となることのほうが、続く可能性が高くなるかもしれません。
始め時は、子ども主導で
──性格によって異なる対応を
そして、始めるタイミングや方法です。これはやはり、お子さん主導でしょう。子どもの性格によっても対応が変わりますが、小学4年生というのが難しいところです。思春期の入り口とはいえ、まだまだ親の影響が強い年齢です。親のほうでは本人の意思を尊重していると思っていても、親が「やってみたい?」と聞いて「うん」と答えただけ、ということもあります。子どものやる気は、大人が期待しているほどには自主的な気持ちでないかもしれません。こういうケースであれば、子どもにすべてを任せるという方法もあります。子どもに「もし、やりたいことを見つけたらいつでも教えてね」と伝えて、子どもの自主性に任せて待つやり方です。すぐにやりたいものを見つけてくるとは限りません。ですが、習い事をしていない期間は、むしろ子どもの興味や関心がどこに向いているか、子どもがどのように時間を過ごしているかを観察するチャンスだと考えましょう。
逆に、子どもの気質によっては、とにかく新しいもの・楽しいことが大好きで、何か知らないものが目に入ると、まず「やってみたい!」と言うタイプの子もいます。好奇心旺盛なのは良いことですが、親が子どもの関心を重く受け止めすぎると、振り回されてしまうかもしれません。この場合には、ひとつのことを続ける意義について、習い事を始める前に話し合ってみるのが良いでしょう。「やめる」と言い出してから説得するのでは、あまり意味のあるやりとりにならないかもしれません。
いずれの場合も、お子さんがやりたいと言ったら、すぐに定期的な習い事として始めるのではなく、子どもと一緒に通うところを調べたり、一日だけの体験コースに参加したり、見学やお試しを重ねたりして、子どもの中にその習い事のイメージを育ててみてはいかがでしょう。自分がそれをやっている、続けていくというイメージが持てるものは続けやすいはずです。
やめ時は、その都度
──子どもの話をよく聞いて
やめ時の判断は難しいのですが、子どもが「やめる」といったとき、どんな気持ちで言っているのか、何が課題になっているのかについて、その都度よく聞いて、理解していきましょう。続けるほうがよいのか、やめたほうが良いのか、それともほかの選択肢があるのかは、その時々によって違います。習い事がもたらす恩恵をできる限り豊かなものにするため、子どもの中で何が起き、子どもと習い事の間で何が起きているのか、いっそう深く理解するよう、よく耳を傾けてみましょう。
Vol.100 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2023年5月号掲載