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子育て相談 Vol.101
“家族でのお出かけ”
- 家族との外出時、いつも楽しいムードを台無しにします。
- 「宿題が残っているから早く帰りたい」とか、「早く帰って趣味を楽しみたい」など、家族との外出先で不機嫌になり、楽しいムードを台無しにすることの多い小5の次男。せっかくの家族そろってのお出かけ。楽しく過ごすための工夫などあれば教えてください。
先生の回答
家族よりも、趣味や友だちを優先するのは成長の証
うまく折り合いがつくよう工夫しましょう
一緒に出かけても、途中で不機嫌になって「早く帰りたい」などと言われると、せっかくのお出かけムードが台無しになってしまいますね。親としては、宿題は先に終わらせておいてほしい、残っているなら、いつやるつもりなのか先に言っておいてほしい、時間管理をきちんとしておけばもっとお出かけを楽しめるのに、と思ってしまうところです。もちろん、子どもの時間管理能力の問題もありますが、それ以外の様々な要素も絡んでいるケースです。それらを一つひとつ取り上げて、どうしたらよいかを考えてみましょう。
家族と過ごすことが当然とは考えない
まず、小学5年生にもなると、これまでのように親のお出かけに喜んでついてくることはぐっと減っていきます。個人差や、家族関係のありようによる違いもかなりありますが、特に男の子の場合は女の子より、家族のイベントに付き合いたがらないことが増えていくようです。
小学校の低学年ぐらいまでは、親が誘えば買い物でもなんでもついてきました。子どものほうにも、特に他の選択肢があるわけでもなく、当然のように一緒に出かけたものです。やがて小学校中学年になると、子どもは一人で時間を過ごすことができるようになります。一人でゲームをしたり、本を読んだり、趣味を楽しんだりすることができるようになるのです。家族と一緒に過ごすことより、友だちと遊ぶことを優先し始めるかもしれません。これは自然な発達の過程であり、成長の証です。親からの誘いより、他になにかやりたいと思うことがあれば、子どもは自然と親の誘いを断ることが増えていきます。親もそれを理解していて、短時間の外出であれば、子どもを置いて出かけることが増えていきます。
小学校高学年に差し掛かれば、その子どもの性格にもよりますが、いつでも・どこでも親についてくるというものではありません。またこの時期になれば、思春期が始まります。場合によっては、あと1〜2年のうちに、「家族旅行?いい……家で待ってる」などと言い出すような年齢です。まずはこのことを念頭に置いておきましょう。小学5年生の男子は、当然のように家族と過ごしてくれるものではないのです。
楽しみのための外出なら「参加しない」という選択肢も
次に、ご相談いただいた家族みんなで長時間出かけるようなときに、どうしたらいいかについて考えてみましょう。博物館やテーマパークなどに遊びに出かけることはもちろん、親戚宅を訪問するようなこともあるでしょう。手続きや見学のために子どもが同行しなければならないようなこともあります。なんであれ、親が子どもと一緒に楽しく過ごしたいと思っているにもかかわらず、途中で子どもが「早く帰りたい」などと言い出すようなケースです。
このような予定が前もってはっきりとわかっているときは、親が事前にしっかりと計画を立て、いつ、何のためにどこに行くか、何時ぐらいに出て何時に帰ってくる予定かなど、内容を子どもに伝えておくことが重要です。遊びに行くようなときは、行った先でどんな体験ができるのか、子どもが興味を持ちそうなものは何があるのか、調べておくとよいでしょう。そのうえで、子どもが前向きな態度で行くと言うのか、あまり気が進まないようなのか、様子を見てみてください。
子どもが行くと言ったら、お出かけまでに子どもが片付けなければならない課題などについて話し合っておきましょう。できれば、出かける前に片付けておくのが理想ですね。宿題のような「しなくてはならないこと」と、趣味のような「できればやりたいこと」を分けて、時間をどう使うか話し合います。もし、お出かけが楽しみのためのもので、子どもが趣味に時間を使いたいと言うならば、今回は思い切って参加しないという選択肢もあります。一方で、たとえば親戚づきあいなど、本人の気持ちはどうあれ、趣味よりも優先すべきイベントというものもあるでしょう。その場合は、できる限り折り合いがつくように工夫が必要です。
工夫のひとつが、出かけた先で退屈したときに、子どもが自分で楽しめるような物を用意することを認めることです。いつも読んでいる本とか、手軽に楽しめるゲームなどが考えられます。ただし、出かけた先でずっと違うことをしているわけにもいきませんから、いつどのように使うかについて、ルールは必要です。前もって「移動の時だけ」などと決めておくか、場合によっては「どういう状況になるか読めないので、現地でお母さんと相談して決めましょう」など、方針を決めておくといいでしょう。
また、きょうだいなどほかの子どもがいる場合のことも考えておく必要があります。お兄ちゃんが飽きてゲームをやりだしたら、幼稚園児の弟までゲームをしたいと言い出す可能性は、もちろんあります。そのような場合のシミュレーションも必要です。
子どもはやがて大きくなり、親とはあまり遊ばなくなります。それでも、親子関係が良好であれば、大人になってからも時々親に付き合ってくれるようになります。先々までよい関係を続けていけるよう、子どもを一方的に付き合わせるのではなく、うまく折り合いのつくところを一緒に探しましょう。
Vol.101 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2023年6月号掲載