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子育て相談 Vol.103
“自由研究”
- 子どもが一人で自由研究をするようになるいい方法がありますか?
- もうすぐ夏休み……。ここ数年、息子たち(小6、小3)の宿題の管理にイライラさせられています。特に「自由研究」は、親への宿題だと半ば割り切り、夫を巻き込んでなんとか提出させていますが、子どもが一人でするようになる、いい方法があったりするのでしょうか?
先生の回答
親のサポートは必須!
子どもの興味・意志を尊重しつつ、楽しみましょう。
夏休みの宿題は、親にとっても頭の痛い問題ですね。特に自由研究は任せておくと、どこまでも個々の興味の範疇に留まり、残念な結果となってしまう可能性があります。とはいえ、「自由研究」は、親への宿題だと半ば割り切り、夫を巻き込んでなんとか提出させています」としてしまうと、子どもは一人ではやらなくなります。自分でやらなくても、親がやってくれて、感じのいい提出物になるのであれば、努力する必要はありません。親の努力を横目で見るというような、何とも皮肉な結果になってしまいます。
親の宿題として取り組んでしまうことは、自由研究になりうる様々なことへの子どもの好奇心を奪うことにもなりかねません。自分で取り組むからこそ、いろいろなテーマに出会った時に「これ自由研究にできるな」とか「面白いからもっと調べてみよう」と思えるのです。まずは、親の宿題だという認識を変えることです。親の仕事は、自由研究をすることではなく、子どもが自ら取り組むようにサポートすることです。
何ができるか考えてみましょう。
① 普段からテーマを探す
手伝いをする
博物館、水族館、映画など、子どもが興味を持つことに、親も一緒に興味を持って楽しみましょう。子どもが動物好きなのであれば、動物園に行ってみましょう。好きな動物についてとことん調べるということもできますし、気にいった動物をいくつか取り上げて、共通点や違いを調べることもできます。なぜ足の形や歯の形が違うのでしょうか。水族館や博物館でも同じです。映画なら、たとえばCGを使った撮影の方法を調べたり、リメイク作品であれば前作との変更点を調べたりすることで、立派な研究になります。美術館や博物館に足を運び、様々なモチーフや技法に触れることで、作ってみたい作品が見つかるかもしれません。
② 取り組むテーマを選ぶ
興味のあることから選ぶというのが大前提ですが、あまりに専門的なものや、下地となる知識の必要なもの、特別な取材の必要なものは、夏休みに扱うのは難しいかもしれません。何をどんな方法で調べ、どんな形でまとめるか、あるいは、何をどんな素材で作り、どんな段取りで仕上げていくか、検討していきましょう。一度に大きな物を仕上げても良いですし、毎日少しずつコツコツと重ねるような方法でも構いません。その子の得意な取り組み方を踏まえながら、ひとつテーマを選びましょう。
③ 設計する
ひとつのテーマと、大まかな取り組み方が決まったら、具体的な段取りについて、いつどのように進めるかを決めていきましょう。テーマ決めの段階では大ぶろしきを広げてしまうかもしれませんが、ここは現実的な落としどころを探る段階です。夏休みの予定や、他の宿題の進み具合も踏まえながら、全体を設計していきましょう。まずは子ども自身に組み立てさせてください。足りない部分が出てくると思いますから、そこに関しては親が質問したり、インタビューしたり、場合によっては提案やアドバイスを加えながら、おおまかな形を整えていってください。子どもは大人に比べて経験が少ないものですから、やってみないとわからないことはたくさんあります。やっていくうちに予定が変わることもあります。親のほうがあまり細かいところにこだわりすぎないことが大切です。
④ 実際の制作
設計段階で大丈夫だということになったら、実際に始めるときは、まず子どもに任せてやらせてみましょう。側にいてあれこれ口出しすると、親の宿題になってしまいます。「ここまでできたら声をかけてね」とするか、予定をもとに「〇日になったら進み具合を教えてね」としておいて、まず一度任せてみましょう。
できたものをチェックするときには、前向きなフィードバックを行うようにしましょう。まず「ここはよくできてるね」「いいぞ、なかなかいいぞ」という声かけです。そして、「ここ、○○したいのなら、こうすればもっと良くなるよ」と前向きに軌道修正していきましょう。
そして、本人が仕上がりに納得するまで付き合いましょう。子どもがこだわるのであれば、どこまでこだわっても構いません。全体の予定と見比べて、大きな遅れや変更がないか促すことも大切ですが、子どもの納得が第一です。逆に、親の目から見て満足な出来栄えでなくても、本人が満足ならば、それを受け入れる必要があります。
長い夏休み、自由研究をはじめとした宿題をこなすことはもちろんですが、子どもにとって楽しく、リフレッシュできる期間になると良いですね。せっかくですから、親も子どもの宿題に手出しするばかりでなく、自分でひとつ自由研究を設定して仕上げていくというのも、楽しい体験になるかもしれません。親が横で口を出すより、親が横で工夫したり、こだわったりして楽しんでいる姿を見せるほうが、子どものやる気につながるものです。
Vol.103 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2023年8月号掲載