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子育て相談 Vol.105

“友だち関係”
- 放課後、友だちの家に入り浸るように……。
- 小3の長男が放課後、まっすぐ家に帰らず、友だちの家に直行する癖がつき、困っています。
友だち5〜6人でゲームなどをしているようです。習い事に行く日も帰ってこないため、私が習い事のカバンを持って友だちの家を訪ね、そこから行かせることも。
お友だちのご両親も、お仕事で日中不在で、自宅がたまり場となっていることでいろいろお困りのようです。何度言って聞かせても守りません。アドバイスお願いします。
先生の回答
親同士、親子間で見守り、話し合う 常にオープンに話せる関係性が重要
友だちと遊ぶことは成長の大切なプロセス
小学校の3~4年ともなると、友だちと遊ぶというのは子どもの必須科目になってきます。子どもはこのころから、同年齢の子どもたちとのかかわりを通して、自分がどんな個性を持った人間なのかを学んでいきます。友だちと自分を比較して、自分の良いところを見つけたり、また、友だちのほうが優れている点を見つければ、それをマネしたりして、自分を伸ばそうとします。子どもたちが群れて遊ぶというのは、成長する上でとても大切なプロセスです。これをやめさせることはできません。
友だちとの遊び方にさまざまなことが作用
とはいえ、どれくらいの時間友だちと一緒に過ごしたいかは、子どもによって違います。ちょうどこの時期、子ども一人ひとりの個性もはっきりと表れはじめます。放課後は友だちと公園で走り回りたい子。習い事に打ち込みたい子。その時々で興味のあることに時間を費やしたい子。一人で本や漫画を読んだり、絵を描いたりして過ごしたい子。もともとの好みに加えて、友だちから影響を受けながら、いろいろな時間の使い方を模索していきます。
そして、そこに家庭の事情が絡んできます。いつも家に誰か大人がいる子。大人は仕事で留守にしている子。学童などに通っていた子も、このくらいの学年になると、一人で留守番しながら過ごすことを選択することがあります。また、新しく塾通いが始まって、放課後の過ごし方が変わることもあります。親が家で仕事をしていたり、兄弟が多かったりして、あまり家で落ち着いて過ごせないというようなケースもあるでしょう。
そして、親の方針と親子関係も現れてきます。習い事などに力を入れていきたい親も、自由に遊ばせたい親もいます。親がいないときに他人を家にあげるのは禁止だという家も、特にそういったルールはないという家もあります。厳しい親もいれば、ゆるい親もいます。まだ比較的親の言うことを素直に聞く子もいれば、もうすっかり反抗期に入ってしまって、言えば言うほど聞かない子もいます。
また、遊び場の条件も影響するでしょう。公園で遊びたくても、酷暑だったり、豪雨があったりすると、それもままなりません。4年生ぐらいまでの子は、小学校時代のほとんどをコロナ禍のなかで過ごしてきました。それより上の学年の子たちと比較して、友だちの家に行き来することや、児童館などで遊ぶ経験が少ないかもしれません。
「家を開放しない」の一手を打つ
そのような状況で、子どもたちの遊びたい気持ちと折り合ったのが、そのお宅だったのでしょう。そのご両親も困っておられるとのことですから、我が家だけどうするといっても、なかなかうまくいかないかもしれません。
まずは、そのお家の親御さんに声をかけて話し合ってみるのはいかがでしょうか。可能であれば、他の子どもたちの親とも連携が取れると、よりスムーズです。そのお家がなにがしかのルールを持たない限り、子どもたちは集まります。子どもたちの人間関係や遊び方は流動的です。そのお宅が我が家を開放しないと明確なルールを打ち出せば、そこに何らかの変化が生じるでしょう。その様子を見て、次の手を考えるのがいいかと思います。
そのお宅で遊べないとなれば、子どもたちも考えます。親も情報を持っているといいですね。近所に地区センターや児童館など、屋内を子どもの遊び場として開放しているところはありませんか。
また、習い事に対する態度は各家庭の問題ですから、そこはしっかりと各自が向き合う必要があるでしょう。そのお宅に集まって遊んでいることとは切り離して、今後どうするといいかを考えるのが良いでしょう。続けるかどうかも含め、親と子どもの考えを出し合って、しっかり話し合いましょう。
これらの話し合いや見守りをするとき、重要なことがあります。それは、彼らの行動は健全な発達の過程であると捉えることです。「こんなことをする、どうしようもない困った子ども」という捉え方をすると、子どもたちは集まって遊ぶことを隠すようになります。親にとって子どもからの情報は重要ですから、常に子どもがオープンに語れるようにしておきましょう。そうすることで、子どもは、子どもたちの中で起こったことや、困ったことについても話してくれるようになります。
Vol.105 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2023年10月号掲載