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子育て相談 Vol.108

“コロナ禍のストレス”
- コロナ禍の不安感を払拭するには?
- 6年の長男。幼い頃から様々なものに過敏に反応する傾向があり、コロナに対しても過敏に反応しました。
今もまだ人混みの多い街中への外出は避けています。学校には通っているのですが、行事のあった日などは、帰宅後必ずかんしゃくを起こしています。徐々にでも不安を取り除いてやりたいと思います。アドバイスよろしくお願いします。
先生の回答
じっくり、ゆっくり寄り添っていきましょう
コロナ禍以降、ものごとに過敏に反応するお子さんについての相談が増えています。不登校になったという例も多く、ご家庭でも接し方に悩まれるようです。そういった子どもは、赤ちゃんの頃からその傾向が強いことも多く、ちょっとした物音や体位の変化ですぐ目を覚まし、寝かしつけに苦労したというような話もよく聞きます。
ですが、敏感に反応する子どもが大きくなって、そのまま敏感な大人になるかというと、必ずしもそうとは限りません。昔、敏感だったというのが不思議なくらいに、おおらかで安定した人に成長する例はいくらもあります。
変化の一番の要因は環境です。親や周りの大人がどのようにその子どもに接するかによって、子どもの様子も変化していきます。「徐々にでも不安を取り除いてやりたいと思います」とおっしゃる親御さんのその思いが、子どもの安定を育てていくのでしょう。
では、子どものストレスを減らすような接し方を考えてみましょう。
子どもの傾向にレッテルを貼らない
過敏な反応をするのは生まれつきの傾向によるものです。そこに、「この子は神経質だから」とか、「あなたは恐がりだから」というレッテルを貼らないようにしましょう。「あなたは神経質だ」と言って育てれば、神経質な大人に育ちます。
子どもが刺激に過敏な様子を見せたら、「聞かせて」と、その状態を親が知ることです。子どもが幼い場合は特に、自分の状態を説明するだけの言葉を持っていないかもしれません。だからこそ、「神経質」とか「恐がり」という言葉を教えるのではなく、子どもの状況を俯瞰できるように、子どもに何が起こっているのか、様々な状況と紐づいた情報を蓄積していきましょう。子どもの反応は変化していきますから、すぐ答えを求めないでください。1年、2年と様子を見ていくと、起こりそうな反応を予測できるようになり、また、今までと違う小さな変化に気づくようになります。
話を聞こう
学校行事の後はかんしゃくを起こすようですね。つまり、彼は高いストレスを感じるはずの学校行事にも、頑張って参加しているのです。それは疲れることでしょう。行事のある時は、いつもとは違う環境の中で過ごします。慣れない行動を求められ、クラスメイトも浮足立ったようなムードで、音がうるさく響いたり、違う匂いがしたり、慣れない視線を感じたりする中で、指示を聞き落とさないよう、グループからはぐれないようにと、長い緊張が続きます。そんな一日を過ごした後は、感情的に爆発してしまうこともあるかもしれません。
まずはじっくり話を聞いてみましょう。ここでも、親は彼に関する情報を収集します。何が彼の緊張を高めるのか、何に過敏に反応しているのかをじっくり耳を傾けていきましょう。子どもにとって、傾聴される体験は、「これでいいんだ」という感覚につながり、緊張がゆるんでいきます。同時に、自分がどういう時にどんな反応をしているのかを知る機会にもなります。
苦手なことは時間をかけて慣れさせていく
敏感に反応する子どもは、その結果様々なことに苦手意識を持つ可能性があります。例えば、特定の食べ物を嫌がるとか、水を怖がるとか。親としては何とか怖がる必要はないということを教えようとして、時に無理やり食べさせたり、あるいは水の中に放り込んだりしたくなるかもしれません。でも、荒療治はやめましょう。その時の恐怖が心を支配して、より過敏な反応を示すようになりかねません。
足を水でぬらすとか、水深15センチのところで水遊びから始めるとか、時間をかけて徐々に大丈夫であることを学ばせていくのです。
今は、人混みの多い街中への外出は避けているようです。無理をしないのは大切ですね。そうしたら次は、欲しい物・見たい物がある時などに、短時間から始めて出掛けられるようにしていくといいですね。
見通しが立てられるようにする
小学校6年生ともなれば、間もなく中学校への進学です。新しい環境での生活が始まります。新しい場所で何が起こるのか、おおまかな見通しが立てられるように準備しましょう。
中学校生活ではどんなことが起こるのか、小学校との違いなど子どもが理解できるような有益な情報を与えます。親の体験を話すのもいいでしょう。
子ども自身が、何が起こるのかを前もって理解していることで、心の準備をすることができ、過剰な反応を避けられます。
心配なことや難しくなることばかりではなく、選べるようになること、楽になることも増えていきます。不安を煽るのではなく、わからないことが起きても一緒に考えるから大丈夫、と寄り添ってください。
Vol.108 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2024年1月号掲載