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子育て相談 Vol.110

“親子の会話”
- 無口な息子から、学校の様子を上手に聞き出すには?
- 小学1年の長男はもともと無口で、何を考えているのか……がわかりにくい子です。
そのため、毎日「今日は何があったの?」などと聞くようにしているのですが、いつも一言二言しか返ってこず、会話になりません。担任の先生からは、「学校では友だちと楽しく過ごしている」と教えてもらったのですが、もう少し会話のある親子になりたいです。アドバイスお願いします。
先生の回答
話したいことを話しているときに熱心に聞く─そこから始めましょう
「会話のある親子になりたい」、いい目標をお持ちになりましたね。お子さんとの間により多くの会話が生まれるよう、できることを考えてみましょう。
気質の違いを理解する
まず、人の気質について理解しておくことが大切です。人には生まれつきの気質の違いがあります。その傾向の一部として、よくおしゃべりをする人、どちらかというと無口な人という違いがあることは、きっとご存じだと思います。おそらくご長男は、どちらかというと無口なほうに分類される気質なのではないでしょうか。聞かれることには答えるけれど、積極的に自分から話すということは、あまりないのかもしれません。
興味のある話題であれば、よく話すもの
ただし、どのくらい話したいと感じるかは、話題によって変わります。彼はお母さんが聞きたがっている学校における彼の一日、彼がどう一日を過ごしたかという話題にはあまり興味がないようです。なので、「今日は何があったの?」などと聞かれても、話したいようなことがなかなか頭に浮かんでこないのです。しかし、彼が興味を持っている話題であれば、話したいことが自然と出てくる可能性は大いにあります。
これまでの経験を思い出してみてください。彼に対して、「今日はよく話すな」と思ったことはありませんでしたか?あったと思います。恐らく、その日の体験の中に彼の興味を引く何かがあったのでしょう。多くの場合、比較的無口な人でも、興味を持つことであればよく話してくれるものです。
お子さんとの間にもっと会話が欲しいと思うのであれば、まずお母さんがするべきことは、彼のことをよく知ることです。彼が何に興味を持っているか、何にはよく反応するかを観察してみましょう。そして、彼がその話をするときは、熱心に耳を傾けます。
あるお母さんが話してくれたことです。小学生の息子さんは何を聞いても「別に」「忘れた」しか言わないのですが、時々夢中になってある特定のことをお母さん相手に話すそうです。この時期は「三国志」でした。夢中になって読んでいる三国志の話をお母さんが聞いていようがいまいが、お構いなく話し続けるそうです。お母さんはというと、三国志には興味はないので上の空。できれば、彼の学校での様子を聞きたいのになどと思いながら聞き流していました。
気質を学んだお母さんはそれが彼の興味なのだと知り、息子の語る三国志に耳を傾けることにしました。「へぇー、そうなんだ」「面白いね」「それでどうなったの?」などと聞いていくうちに、息子さんもこれまで以上に話してくれたそうです。そうこうするうちに、彼はお母さんとの会話の中で、これまでは反応を示さなかった話題にも応えるようになったそうです。自分の興味に耳を傾けてくれる母親に、これまで以上に心を開いた様子でした。
親子の会話を楽しむための対話テクニック
対話のテクニックとして、以下のことを試してみてください。
• 具体的に質問する
「今日はどうだった?」「何かあった?」という質問は抽象的すぎて、どう答えていいかわかりません。たとえば、「今週席替えがあるって言ってたけど、もうやったの?」「運動会の練習はいつ頃始まるの?」「先生は◯◯についてどう言ってた?」というふうに、具体的に質問されれば答えやすくなります。
• オープンクエスチョンで質問する
「今日、給食食べた?」と聞けば、答えは「はい」か「いいえ」しかありません。でも、「今日の給食何だった?」と聞けば、「えっとね……」と子どもは給食の内容を思い出しながら話します。具体的に記憶を引き出しながら話せば、会話も弾みやすくなります。
• 目を見て子どもの話に共感する
会話するときは目を見て、子どもが話に乗ってきたら、はっきりと反応を示しましょう。「え、そうなの!」「面白いね」など、共感や相槌で応えます。
• 親からも情報提供する
子どもの興味や好む話題がわかっていれば、親も一日の中で面白そうな話題を見つけて会話のネタにすることができます。「今度あのアニメが映画になるんだってね」「いま、歴史博物館で縄文時代の土器が触れるらしいよ」「さっき公園に見たことのない赤い鳥がいたよ」「今朝、お母さんが乗った電車、新しいピカピカの車両で、座席もフカフカだったの」……親が自分の好きなものに興味を持っているとわかると、子どもはうれしく感じるでしょう。子どももまた、生活の中で、親が喜びそうな話題を探してきてくれるようになるかもしれません。
Vol.110 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2024年3月号掲載