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子育て相談 Vol.117

“ゲーム・ネット動画”
- ゲームやネット動画が大好きで勉強に集中できていません……。
- 小5の長男は、ゲームやネット動画を観ることが大好き。ほぼ毎日、友だちを連れ帰ってゲームで遊び、夕食後、宿題に取りかかるのですが、早くすませて、ゲームやネット動画を観て過ごそうと急ぐので、計算ミスや書き間違いがとても多いです。どうしたら依存状態から脱却できるでしょうか。制限時間を決めても、私の目を盗んでやっています……。
先生の回答
“限界” を設定し、ブレずに根気よくサポートしましょう
「限界設定」を明確にする
ゲームやネット動画視聴は、楽しむレベルならいいのですが、日常生活にまで支障をきたすようになると、親としても心配ですね。これまでに何度も注意したり話し合ったりしてきたのでしょうか。それでも改まる気配がないということは、親の小言は無視しても問題ないと思っているのでしょう。ここらで一度じっくり話し合って、「限界設定」を明確にすることをお勧めします。
「限界設定」とは、子どもに対してここまではやってもいい、ここから先はやってはいけないという範囲を提示することです。限界を設定して、その中では自由を与え、親は細かい口出しを控えます。限界設定をすることで、子どもはやっていいこととやってはいけないことの存在を学びます。同時に、自由が与えられるので、限界の中で自分なりに工夫して生活することを学びます。
このとき親に求められるのは、はっきりとした軸のある考え方と態度です。話し合うときも、その後の見守りにおいても、一貫性のある態度を保つことが求められます。決めた時間をオーバーしてゲームをやったときに、「仕方がない。」と大目に見るような態度をとると、設定は崩れ、好き勝手にやっても困らない、ということを、子どもは学んでしまいます。
「限界設定」のポイント
▶ 現状を親がどう認識しているか伝える
「早くすませて、ゲームやネット動画を観て過ごそうと急ぐので、計算ミスや書き間違いがとても多い」など、親が現状をどう理解していて、何を心配しているかについて、具体的に伝えられるよう準備しましょう。
▶ 何が問題だと感じているかを共有する
親が認識している現状の何が問題かを伝えましょう。子どもは楽しく遊んでいて、そこに潜む問題には意識は向いていません。子どもとはそういうものです。今このときを生きているので、その先に何が起こりうるかを考えることはありません。だからこそ、「限界設定」が必要なのです。
▶ 管理不十分であったことをしっかり詫びる
これまでも、ゲームなどで遊ぶときのルールを決めるなどしてきたと思います。ですが、そのルールをうまく守ることができませんでした。その責めを子どもにだけ押し付けてはいけません。決めたことを親がフォローしきれなかったことを詫びてください。
▶ 新しいプランを策定する
最初に、親の具体的な懸念事項に対して、どのようなルールが適切かを話し合いながらルールを決めていきます。親が意見を押し付けるのではなく、子どもの意見によく耳を傾けながら話し合うようにしてください。ルールの数を増やしすぎないこと、複雑にしないことも大切です。多すぎたり、複雑だったりすると、言い訳が入り込む余地が生まれます。
▶ ルールが守られなかったときの罰則を決める
ゲームの罰はゲームで、の原則を忘れないでください。つまり、ゲームに関するルールを破ったら、ゲームができなくなるということです。子どもが今一番やりたいのはゲームです。でも、ゲームをするときに決められた限界を破ってやってしまったら、ゲームができなくなる。この論理は子どもにとっても直感的に理解しやすく、行動と結果の関係を学びやすいものです。
▶ 親も子もルールに従って行動する
親の目を盗んでやるようなら、親がゲーム機やタブレット端末などのデバイスの管理をします。こういったことを親が面倒に感じると、そこから設定は崩れていきます。よく見受けられるのが、ルールを破ると親が叱ってそれで終わりにするということのくり返しです。これでは、子どもに限界を教えることはできません。
怒ることも叱ることも必要ありません。常に冷静に現状を伝え、必要なら罰を与え、ルールに沿って遊ぶことを求めます。ただし、一度の失敗でできるようになるものではありません。子どもがやるべきこととやってはいけないことを学ぶプロセスでは、親もそれを教える根気が必要になります。
子どもは、自分の行動の結果を体験することを通じて、自分の行動を律することを学びます。親に説明されて理解するわけではありません。時間を超えて遊んだから、遊べなくなった。時間の中でなら、好きにできる。これだけです。
きちんと子どもの生活を支えられるような、シンプルなルールを作ることと、親も子もそのルールに従って行動すること。適切な「限界設定」によって、子どもが自分の行動をうまく律していけるようになるよう、根気よくサポートしていきましょう。
Vol.117 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2024年10月号掲載
