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子育て相談 Vol.118

“聞く力”
- 先生の指示を聞き取るのが苦手です……。
- 小学2年の息子は、幼い頃から、先生の指示を聞き取るのが苦手です。ほかのことに気を取られたり、別のことを考えていたりして、先生の話に耳を傾けるのが出遅れるというのと、話を聞き取ることが苦手というところもあるようです。(文章を読み取るのは得意なほうです)ヒアリングテストや、グループディスカッションなど、将来、入学試験や入社試験で聞き取る力が試されることもあるかと思います。
聞く力を伸ばす方法を教えてください。
先生の回答
ゆったり待つべき力と、日々の訓練で伸ばしていける力とがあります
ご相談の内容から、お子さんには「聞かない」という一面と「聞けない」という一面があると理解しました。
“聞かない”は、成長をゆったり待つ
“聞かない”というのは、反抗して大人の言うことを聞かないという意味ではなく、「今は先生の話を聞く場面だ」と意識して注意を向けることがうまくできていない、という意味です。ほかのことに気を取られたり、別のことを考えていたりするのかもしれません。
人にはそれぞれ生まれつきの気質による傾向があり、大人であっても、よくぼんやりと考え事をしたり、時々空想の世界をさまよって過ごしたりする人たちがいます。
子どもも同じなのですが、小学校低学年のうちはどうしても、「今は先生の話をしっかり聞くべきだから」と自分をコントロールして切り替える力がまだ十分ではありません。必要なタイミングであっても、ぼんやりとほかのことを考えていることがあるものです。学校の先生はたくさんの子どもを見てきているので、そういう子どもが一定の割合でいることはよくご存じだと思います。
こういったタイプの子どもは、成長する中で、話の内容を把握していないためのミスをするとか、どうしていいかわからず恥ずかしいと思うような体験を積み重ねて、徐々に話を聞こうという意識を育てていきます。親には子どもの成長を待つ勇気とゆとりが必要ですね。
“聞けない”は訓練で伸ばせる
“聞けない”というのは、聞く能力の問題です。話を聞くということは、幼い子どもにとっては意外と難しいものです。書いてあるものは、自分のペースで理解しながら読むことができます。わからなければ戻ることもできます。しかし、話す声は一瞬で消えていきます。同じことを繰り返し言ってくれたり、丁寧に説明してくれたりする場合もありますが、それは聞き手がコントロールするものではありません。ぽんと発せられた指示について、耳で捉え、頭に留め、その内容を的確につかむのは、小学校低学年くらいまでの子どもには難しい場合があります。特性や、脳の癖によって、これが得意だったり、不得意だったりすることもあります。
いずれにしてもこの力は、訓練によって伸ばすことができるものです。日常、家でできそうなことを挙げてみましょう。
遊びの中に「聞く」を取り入れる
読み聞かせやしりとりなど、聞くことや聞いて反応するような遊びを取り入れることができます。
子どもにはお気に入りの絵本があり、何回でも繰り返し同じ本を読みます。それを読むことも良いでしょう。同時に、新しい言葉や情景が出てくる本、ちょっと難しい言葉が登場する本にもチャレンジしていきましょう。読み手はぜひ滑舌よく、聞き取りやすい声で。
聖徳太子ゲームは3人ぐらいが同時に「ミカン」「リンゴ」「バナナ」と言って、「お母さんは何て言ったでしょう」などとあてっこするゲームです。家族が集まったときなどにすると、飽きずに楽しめます。
指示の出し方を工夫する
▶ 名前を呼んで視線を合わせてから話す
返事をしているから大丈夫とせず、名前を呼んで意識をこちらに向けさせ、視線を合わせてから伝えるようにしましょう。聞く意識を持って聞く、という注意のコントロールの練習にもなります。
▶ まず、結論を具体的に短く言う
「床のおもちゃを赤いおもちゃかごに入れてください」という具合にやってほしいことを具体的に短く伝えます。「早く片付けないとごはんが遅くなってそこからずるずると寝るのが遅くなっちゃうから……」などと、指示と小言をごちゃまぜに話すと、何を聞いていいかわからなくなり、聞こうとする意欲が失われます。「聞けばわかるもの」というイメージを持たせるようにしましょう。
▶ 子どものイメージ力を活用する
「隣の犬のクロちゃんね、さっき公園のベンチのところで……」という具合に、子どもが情景をイメージしやすいように話すことで、イメージの力を借りて話の内容も理解できるようになります。
▶ 要約させる
テレビを一緒に見たときは、「主人公は何をしてほしかったの?」「あの子はどうしてそんなことをしたの?」などと質問して、ストーリーを要約してもらいましょう。
また、「お父さん、なんて言ってた?」「今日の社会の授業は何をしたの?」と報告を求めることも有効でしょう。
聞くことは、学習においても、社会生活においても欠かせない能力として、子どもの日々を助けます。聞くことを学ぶプロセスでは、聞けていないからと叱ったり、笑ったりせず、子どもの成長をサポートしていきましょう。
Vol.118 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2024年11月号掲載
