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子育て相談 Vol.119

“友人関係”
- “見た目”重視の娘が気になります。どう指導すればよいでしょう?
- 小学5年の次女が、最近、見た目をとても気にするようになり、「◯◯ちゃんはかわいいから……。それに比べて、私は……」などと恨みがましくぼやきます。自分を卑下するだけならまだしも、「◯◯ちゃんはブサイクでキモい」などと、同級生を見下すようなことも言います。こうした見た目で人を判断しようとする見方、考え方を覆す良い言葉がけ、指導法を教えてください。
先生の回答
最も身近な大人である親が、大人らしい在り方を見せ、伝えていきましょう
見た目で評価するのは、幼さゆえ……
「外見より内面を大切にしてほしい」というのは親として自然な願いです。とはいえ、思春期までの子どもが見た目を重視するのは、ある意味では自然なことでもあります。人は、自分の価値観が確立して初めて、目に見えないものの価値をしっかり評価できるようになるものです。価値観が確立する以前の幼い子どもが、周りの人たちの人間性をどのように評価するかというと、その場その場の好き嫌いや、個人的な関係の良し悪しに加え、学業や運動の成績のように評価軸が明確なもの、あるいは周囲の評判、文字通り目に見える「外見」、目立つかどうかといった振る舞いが、暫定的な手がかりになるものです。
だからといって、子どもが過剰に外見を重視して、まるで「見た目さえ良ければいい」「見た目が悪ければ価値がない」というかのように振る舞うのは、とても心配なことです。そのような考え方は、差別などにつながりやすく不適切であるというだけでなく、自己評価を不安定にしたり、自尊心を揺るがしたりして、心の健康を蝕む危険なものでもあります。
親自身が、大人として、人生で大切にすべきものを理解し実践できているか?
では、親の働きかけで、子どものこのような考えを覆すことはできるものでしょうか。残念ながら小学5年生になると、子どもたちはもう思春期にさしかかります。親の影響力は小さくなり始め、友だちグループの影響力が大きくなっていきます。とはいえ、すぐに子どもの考えを覆すことができないとしても、親という最も身近な大人が大人らしい在り方を見せ、伝えていくことは、子どもにとって大きな意味があります。大人とは、自分自身の価値観を深く理解し、人生で何を大切にすべきかを理解して、実践できる存在です。それができれば、見た目を気にしすぎることなく、自分らしく生きていくことができるものです。子どもの前では、ぜひ、そのような大人でありたいものです。
そのために、私たち親自身の振る舞いを振り返ってみましょう。無意識のうちに、見た目を不当に重視するような言動をしていませんか。例えば、自分について「痩せなきゃ」「すっぴんでは外に出られない」などと言うことは、外見の良し悪しが大きな問題であるというメッセージになります。他人を「デブ」「ブス」などと貶けなすことはなくても、家族に対してはつい「お父さんは太ってるから」などと口にしてしまうということがあります。褒めるつもりであっても、「目が大きい」「足が長い」などと容姿に言及するのも避けるべきかもしれません。「かわいい」「かっこいい」も文脈次第で間違って伝わるため、「いつもニコニコしていてかわいい」「練習を頑張っていてかっこいい」など、丁寧に伝えたほうが良いでしょう。子どもとの会話の中で、アイドルや俳優を指して「誰が好み?」などと聞くことも、容姿で好き嫌いを判断する態度の肯定となりかねません。
外見は人間の特性の一つに過ぎません。それが他の要素の評価を左右することがあってはならず、また、他の要素を代表しているかのように扱うことは不適切なことです。人の外見に言及することは、すべてマナー違反であると捉える考え方もあります。親自身が、外見というものについてどのような態度を取ることが適切で、またどのような言動は避けるべきだと考えるかについて、よく整理しておきましょう。
▶「〇〇ちゃんはかわいいから…それに比べて私は…」というような発言に対しては、そこに込められた気持ちを聞くことを大切にしましょう。お友だちに対して、容姿以外の要素、例えば勉強ができる、優しい、友だちが多い、というような話題が出てきたら、「あなたは、人に優しくできる人でありたいのね」「もっと勉強ができたらいいなって思うのね」と、その部分を言葉にして返しましょう。「でも〇〇ちゃんはかわいいから」「かわいいからみんなに慕われてる」というように、他の長所と容姿をつなげて考えているようであれば、そこで初めて「それとこれとは別の話だと思うよ」と言えばよいのです。
▶「〇〇ちゃんはブサイクでキモい」などと、誰かを見下すような発言に対しては、「人を外見で判断するようなことを口に出してはいけないよ」と直接的に伝え、注意を促したほうがいいでしょう。「キモい」も、外見が好みでないというだけのことなのか、言動が不快で傷ついたということを言っているのか、本人がしっかり切り分けて理解するよう、話を聞いて整理するのも良いでしょう。
▶テレビや動画で「外見イジり」に出合った時も、「こういうのは良くない」「これを面白がるのは違うと思う」と、一貫して言える必要があります。
時間がかかるかもしれませんが、親の価値観をしっかり伝えられるよう、まずは親自身の考えを整理してみてはいかがでしょうか。
Vol.119 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2024年12月号掲載
