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子育て相談 Vol.12

今月のお悩み

父親として…

子どもと接する時間がなかなか持てません。
父親としての効果的な叱り方、子育ての心がけは?
小学4 年生、2 年生の息子の父親です。休日を含め、子どもと接する時間が十分にとれません。
それだけに、ごくたまに一緒に過ごせるときには、気づいたことは、可能な限り、きっちりと叱ってやるようにしているのですが、今ひとつ彼らに響いていないように感じています。
そんな仕事の時間をなかなかやりくりできない環境ではありますが、父親としての心がけなど、アドバイスお願いします。

先生の回答

父性を十分に機能させるためには、まず「ルール」と「信頼関係」が必要です。

「母性」と「父性」の役割とバランス

 子どもが育つ環境では、母性と父性のバランスが取れていることが重要です。母性は、子どもに共感して子どもを可愛がり、食事を作って食べさせ、お風呂に入れるなどのケアによって、健康を管理し、日々の生活習慣を整えます。父性は、子どもを一人の人間として自立させるため、少し離れた場所から教え導いたり、社会の規範を示したりします。ご質問にある「きっちり叱る」というのは、父性の仕事であることが多いでしょう。
 必ずしも、母親だけが母性、父親だけが父性を発揮するとは限りません。性別にかかわらず誰しもが、父性と母性の両方を発揮する素質を持っています。両親の気質や生活の形によって、父親がより母性を、母親がより父性を発揮する家もあります。
 ただし、子どもの日々の生活に寄り添って一緒に生活をする人は、必然的に母性を発揮しがちになります。両親の一方が忙しくてあまり家におらず、一方が日々の世話を多くしているということであれば、家にいる方がどちらかといえば母性、あまりいない方がどちらかといえば父性を担う、という役割分担に落ち着くことが多いでしょう。

「楽しい体験」が父子の信頼関係を育む

 では、仕事が忙しくてなかなか家にいられないお父さんが、よりよい父性を発揮しようと思うとき、具体的にはどのように子どもたちに接したらいいのでしょう。
 父性が十分に機能するためには、信頼関係が必要です。まずは子どもとのきずなを強くすることを考えましょう。子どもたちが「あまり一緒に過ごすことのできないお父さん」と一緒に過ごす時間に求めることは何でしょうか。子どもとしてはきっと、お父さんとしかできない特別な遊びをしたいと思うでしょう。思いっきり体を使うアクロバティックな遊びや、大掛かりなモノ作り、釣りや虫とり、アスレチックに行ったり、博物館に行ったり……その家ごとに、「お父さんにしかできないこと」があると思います。親子の関係の第一歩として、短い時間であっても、「楽しい!」という体験を共有することが大切です。その体験が父と子の信頼を育みます。その信頼に基づいて父性が発揮できるのです。

「父性」をもって示したルールは当人が守ってこそ

 母性は、「靴をそろえて」「靴下を脱ぎ捨てないで」「手をちゃんと洗って」と、細かいことを叱らなければならないでしょう。父性まで同じように、細かいことを叱っていたのでは、役割の分担になりません。とはいえ、子どもに甘いだけのお父さん、絶対に叱らないお父さんでは、父性を発揮できません。「叱る」ということについて、母性と父性の役割分担がどんなものであるか、両親で話し合ってみましょう。父性を発揮するのであれば、普段はおおらかでドンと構え、そしてここぞというときにだけ、絶対の威厳をもってビシっと叱りたいものです。それは具体的にどんな行動を指すでしょうか。
 父性とは、ルールを示すものであり、ルールから外れたものを罰するものでもあります。父性がよく機能するためにまず、「この家のルールはなんであるか」ということを、父親と母親の両方が、よく理解しておく必要があります。お父さんがいないとき、お母さんは一人で母性と父性の両方をこなしています。普段子どもが食事をするとき、お母さんは「箸をちゃんと持って」「よく噛んで」「テレビはつけません」「自分でお皿を片付けて」と言っているかもしれません。父性としてのお父さんは、このすべてを、いちいち子どもに言う必要はありません。だからといって、お父さんがルールを無視してテレビをつけようとしたのでは、父性は台無しです。
 叱ったことが響くかどうかは、叱る人が「よき父性」であるかどうかで決まります。お父さんが家のルールをよく理解して自ら進んでしっかりと守り、小さなことにはドンと構えて揺るがず、ここぞというときのみ厳しく叱る、頼りがいある「父性」を発揮しているなら、きっとその言葉は子どもに重く響くことでしょう。ですがお父さんの言うことがコロコロ変わったり、一日中あれこれと口うるさく叱っていたり、お父さん自身がルールを破ったりしていたのでは、響きようがありません。

Vol.12 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2016年1月号掲載

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