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子育て相談 Vol.120

お金の使い方
- おやつ代で、“推し”のグッズを購入していました。“ほどほど”を伝えたいのですが……。
- 小学3年生の次女。最近、推しのアニメキャラができ、仲良しグループで〝推し活〞を楽しんでいます。ただ、ここ数か月ほど、外出のたびに「ジュースやおやつ代」として渡していたお金が、実際はグッズ購入にあてられていたことがわかりました。友人らと好きなものを楽しんでいる娘に、「ほどほどにしておきなさい」と上手に伝えたいのですが、どんなふうに言えばよいでしょう?
先生の回答
もっと買いたいけれど、お金がないという経験が“ほどほど”を教えてくれます
おやつをあきらめる選択をしたことが素晴らしい!
友だちと好きなものを楽しんでいる姿を見るのは、親にとってもうれしいものですね。“推し活”という遊びが取り入れられたところからは、仲間との関係の複雑化や、より概念的なものを楽しむようになったことなど、子どもの多面的な成長が感じられます。頼もしいですね。
そんな中で、ジュース代やおやつ代として渡していたお金でグッズの購入をしていたということを知って、親は驚いたことでしょう。小学3年生といえば、つい先日まで素直に親の言うことを聞いていた年齢です。嘘をつかれたように感じて困惑するかもしれません。
ですが、これは大変素晴らしい一歩です。お子さんはおやつやジュースとグッズを秤にかけて、グッズを選択した、つまり、おやつやジュースをあきらめるという選択を自分の意思で行ったのです。計画性と忍耐力が着実に育っています。お子さんはもう、自分でお金を管理する下地を身につけています。お子さんの金銭感覚をしっかりと育てていくために、一緒に新しい仕組みを作ってみてはいかがでしょうか。
親が期待する“ほどほど”とは?
そのためにまず、親が期待している「ほどほどにする」ということについて、一度よく考えてみる必要があります。“ほどほど”という言葉には、どんな気持ちが含まれていますか。推し活に夢中になりすぎることを警戒する気持ちなのか、お金を自由に使うことを咎める気持ちなのか、子どもだけでの買い物に不安を感じているのか、あるいは食べることをないがしろにしていることへの心配なのか、親に黙っていたことへの戸惑いなのか……そういった気持ちの一方で、要領よくやっていることに感心したり、成長を喜んだりする気持ちも含まれていることでしょう。まず、親自身の考えや気持ちをよく噛み砕いてみましょう。周りの人たちと、この出来事について話してみるのも良いでしょう。
定額制とすることで自由を保証する
そして、親の気持ちが整理できたら、子どもと話し合いをしましょう。この機会に、お小遣いを定額制にすることを検討してみてはいかがでしょうか。すでにお子さんはおやつ代を、自由に使えるお金として扱っています。現在の状況を確認し、友だちと好きなものを楽しんでほしいこと、しかし、親がおやつ代として与えているものをグッズ購入にあてるのは適切でないと感じていることを伝え、適切と思われるお小遣いの金額を設定しましょう。そして、そこに含まれるものを決めます。お友だちと遊ぶ時のお菓子代、推しのグッズ購入代、好みのキャラクター商品代などでしょうか。
子どもに渡すお小遣いは原則、すべて子どもが自由に使っていいお金とします。もらったその日にすべてグッズ購入にあてても、親は一切口出しをしません。その代わり、足りなくなって困っても、追加で出すことはありません。グッズの購入にすべてをあててしまったら、おやつを買うことはできません。お小遣いの範囲におけるその選択を子どもにすべて任せるのです。お小遣いの額を決めることで親が子どもの限界を決め、子どもは決められた限界の中で、お金の使い方を学びます。子どもはもっと買いたいという欲求と向き合いながら購買活動することを学びます。もっと買いたいけれどお金がないという現実が子どもに“ほどほど”を教えてくれるのです。
「ここまではいい」「ここからはダメ」というはっきりした線引きをすることを限界設定といいます。親が適切な限界設定を行うことで、子どもの安全を確保しながら、自由な取り組みを保証します。限界設定が適切にされると、子どもは自分の力で失敗したり、試行錯誤したりしながら、物事の仕組みを学び、対応力を育てていきます。お小遣いなら、「無駄遣いはよくない」と100回言われるより、本当に欲しいものが手に入らないという悔しさをたった1回経験することのほうが、深い学びにつながるわけです。
親の翼の下にいるうちに…
親の仕事は、安全な範囲をしっかり定め、そこでのすべての失敗を許すことです。お小遣いというのは、子どもに与える自由として、非常によい題材です。何かを選ぶことは、他の何かをあきらめることだということを理解し、計画性や忍耐力を育みます。本当に欲しいものを見分けられるようになるには、小さな無駄遣いを重ねる必要があります。こうして子どもは“ほどほど”を学んでいきます。親の翼の下にいるうちに、自分の意思だけで試行錯誤できるような仕組みを与えましょう。
Vol.120 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2025年1月号掲載
