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子育て相談 Vol.122

今月のお悩み

父娘関係

娘にこれ以上嫌われないようにするには?
 今春、小学1年生になる娘の父親です。あと何年かして反抗期になったらきっと口をきいてもらえなくなると思うので、今のうちに良い思い出をつくっておきたいなどと思っています。すでにパパよりママ派になりつつあり、二人になると何を話していいかわからない状態です。これ以上、娘に嫌われない接し方を教えてください。

先生の回答

今、嫌われないパパでいることより、良い大人であろうと努力しましょう

思春期の子どもに距離を置かれることはごく自然なこと

 幼い子どもは、自分を外の危険から守ってくれる大人と楽しく過ごせれば、その関係を歓迎し、喜んでくれるものです。「パパと同じ」「ママと同じ」を誇らしく思い、自分の全部を明かして甘えます。しかし、子どもの年齢が上がるにつれて、大人へのまなざしはどんどん複雑なものになっていきます。子どもが思春期に差し掛かるころには、身近な大人たちを「この人と私の違いは?この人とほかの大人たちの違いは?」と、細かく観察・評価するようになります。
 これは、子どもが自分らしさを探求するうえで非常に大切なプロセスです。大好きなパパ・ママと自分の間に違いを見つけて、それを確認し、時々親を試すようなことを言います。親とのやり取りのなかで、自分の考えや言い分を明確にし、それが理解されないことにイライラしながら、時には親に甘え、また、親に甘えなければならない自分と葛藤しながら、徐々に自分らしさを掴み、人格が成熟していくのです。
 そうして思春期が終わるころ、もはや自分はパパ・ママと「同じではない」ということを理解した子どもは、幼いころの甘えを敬意に置き換えて、再び親と関わっていくようになります。ただ守られ甘えるだけの関係ではなく、時に親を守るだけの力を手に入れながらも、かつて懸命に自分を育ててくれた親に、人としての深い尊敬と愛情を感じるようになります。
 ですから、思春期の子どもに一時的に距離を置かれるのはごく自然で一般的なことだといえます。それがどの程度はっきりとした形で表現されるかは子どもの気質や親との相性によって異なりますが、それは親の努力でコントロールできるものでもなく、また、コントロールすべきものでもありません。その時期に口をきいてもらえないことを恐れても仕方がありません。もしあなたが人として尊敬できる父親であれば、数年間口をきかない時期があったとしても、適切な時期にまた温かな交流が戻ってくるでしょう。

思春期前に、子どもの心にお父さんの席を作っておきましょう

 ただ、もし現段階で子どもとの関わりに問題があるとすれば、ご質問にある「何を話していいかわからない」というところではないでしょうか。思春期以前の問題として、子どもにとっても、お父さんはお母さんに比べ「何を話していいかわからない相手」になりつつあるようです。子どもが思春期に入ってしまう前に、子どもとしっかりコミュニケーションをとる必要があります。傾聴と自己開示を織り込んで、子どもの見ている世界を知り、親の見ている世界を伝えていきましょう。
 これは子どもに好かれるためではなく、子どもの心にお父さんの席を作るためです。このまま「どうすればいいかわからない」だけが重なっていくと、たとえお父さんが時間を作って家にいるようにしても、子どもの心の中では「お父さんは、あんまりいない」という扱いになってしまいます。
 幼い子どもがママ派になるのは、多くの場合、ママが子どもの世話をしているからです。パパが普段から子どもの世話をしていなければ、どうしたら子どもが快適に過ごせるかわかりません。そうすると子どももママといたほうが快適なので、パパに寄り付かなくなっていきます。そうして子どもと接する機会が減ることで、パパはますます子どものことを知る機会が減る……という悪循環が起こってしまいます。
 子どもと関わる時間が多く取れないのであれば、できるのは、とにかく一緒に過ごせる時間にしっかり話を聞くことです。もし子どもが学校や友だちや遊びの話をしてくれる子なら、何の話であれ、話に興味を持ってよく耳を傾けることです。傾聴について調べてみてください。もし、自分からはあまり話してくれない子なら、一緒に何かの体験をして、それについて話すこともできます。わざわざ遠くに出かけなくても、日々の生活の中のことでも話はできます。テレビ番組や、料理や、季節のこと、次の楽しみの予定や、家に取り入れるべき新しいものについて話すことができます。切り口がわからなければ、お母さんと子どもが何を話しているか、注意して聞いてみてください。
 これからの時期に大切なのは、子どもに好かれようとして顔色をうかがうより、良い家庭人、良い社会人、良い大人であろうと努力することです。もし子どもの心の中にお父さんの席があれば、思春期の子どもはそこに父を座らせて、厳しい目でチェックします。特に娘にとっての父親は、将来のパートナー候補たちを測るものさしにもなります。反面教師になるより、「両親みたいになれたらいいな」と感じてもらいたいものです。
 
 思春期は大切な時期ですが、人生全体から見ればほんの一瞬です。父親が人として尊敬できる人物であれば、子どもとの付き合いはその先も一生続いていきます。もしそうでなければ、子どもは、子育てが終わった途端に疎遠になってしまうでしょう。今の子どもに嫌われないパパでいることより、5年後の子どもが困った時に「お父さんならきっとこう言う」と思い出してもらえるパパを目指すとよいでしょう。

Vol.122 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2025年3月号掲載

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