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子育て相談 Vol.19
夏休みの過ごし方
- 父親として、わが子に有意義な夏休みを過ごさせてやるには?
- 小学3年生の息子の父親です。夏休みになるたび、父親として思い出に残る有意義な体験をさせてやりたい……といった思いを抱いています。仕事柄、長期の旅行などにはつれていってやれません。そんな私にでも、子どもの夏休みを少しでも有意義なものにしてやれるヒントをください。
先生の回答
“お父さんにとって”ではなく、“子どもにとって”いい夏休みになることが重要です。
普段子どもに接する機会の少ない人ほど、その少ない機会のタイミングで、どのように子どもと関わるかが大切になります。普段お父さんが家にいないと、子どもが直接お父さんと何かを作るなど、一緒に楽しむ機会はどうしても少なくなります。自然と、お父さんが頑張っている姿を見たり、「お父さんってすごいな」と思ったりする機会も少なくなるでしょう。忙しいお父さんたちにとって、ある程度まとまった休みを取り子どもと過ごせる夏休みは、貴重な機会となります。
また、3年生という時期は、体の発達によって体力や技術が身についてくる時期です。徐々に大人と一緒になって、『子ども用』ではない、いろいろなことを楽しめるようになってくるタイミングでもあります。それと同時に、そろそろ思春期の難しい時期にもさしかかってきます。子どもが素直に親との時間を喜んでくれるうちに、親子の時間をたっぷり持っておきたいものです。
ポイントは、普段はできない、お父さんがいるからこそできるような、とても楽しいことをすることです。
●非日常の体験(アウトドア&インドア)
どこかに出かけるというのは、日常を離れた特別な体験として、ひとつの良い選択肢です。家族で旅行に行くのも良いですし、年に一度、息子と男だけで旅行に行くという人もいます。キャンプなど、自分たちの手でテントを張ったり食事を作ったりしながら過ごすのは、子どもにとってとても楽しい非日常の体験です。夏らしい思い出も作れるのではないでしょうか。
また、アウトドアで登山や釣りなど、お父さんの得意なことがあるのであれば、子どもを誘って一緒に取り組むのもよいでしょう。もちろん、子どものペースに合せて、初心者でも安全に楽しめるような準備をする必要があります。少し手間はかかりますが、家では見られないようなお父さんの世界に触れるのは、子どもにとって楽しい経験になることでしょう。また、その体験が子どもにとって楽しいものであれば、子どもにとっても良い趣味の一つになるかもしれません。
インドアであっても、手を動かして何かを作るようなことであれば、お父さんの趣味や特技を共有するのはお勧めです。子どもは、日曜大工や図画工作のようなことをやるのが好きなものです。お父さんがつきっきりであれば、子どもだけではできないような、火や刃物を使うような工作、薬品を使うような特殊な作業もできるかもしれません。学校の図工の時間などでやったことを踏まえて、大きな作品を作ってみても楽しいでしょう。
●日常的な作業でも……
「普段はできない、お父さんがいるからこそできるような」日常的な作業をするのもお勧めです。たとえば、お父さんと子どもだけでとびきりのごちそうを作って、家族でパーティーをするなども、いい思い出になるでしょう。何日も前から、メニューや用意する物について計画をして、お父さんと一緒に買い物に行って、部屋を飾り付け、自分たちで下ごしらえから料理を作って、振る舞う。特に遠くへ出かけるわけではありませんが、子どもにとっては一大イベントです。
毎日子どもと長い時間を過ごしているお母さんは、子どもの成長を細かく把握している反面、「うまくはできないけれど、時間をかければ子どもなりにできること」に鈍感になりがちです。お父さんは普段の子どもを知らない分、先入観を持たずに、今の子どもになにができるかを探すことができます。できることに光を当てられて、必要最小限のサポートを受けながら挑戦し、「自分でできた!」と思えたとき、子どもは大きく成長します。
折角の休みに特別な体験をさせようと思ったとき、必ずしも、特別な物を買ったり、特別な所に行ったりする必要はありません。お父さんにとって「子どものためになる特別なことをしてあげた」という実感を持てるような体験ではなく、子どもにとって「お父さんと一緒に過ごせてとても楽しかった、いい夏休みだった」と思えるような体験になることが重要です。あまり気負わずに、子どもの喜びそうなこと、子どもと一緒に楽しめそうなことを探してみてください。
Vol.19 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2016年8月号掲載