子供の考える力・書く力はこうすれば伸びる!

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子育て相談 Vol.20

今月のお悩み

ケアレスミス

見直ししているはずなのに……。
ケアレスミスをなくす方法を教えてください。
小学4年生になる娘のテストや宿題でのケアレスミスが気になっています。
問題と答案用紙が別々の様式のときは、回答欄がズレていたり、答えの記入もれがあったり……。ちょっとしたケアレスミスで何度か満点を逃し、本人も悔しがっています。
計算ミスや送りがなの見直しもしているはずなのに毎回同じようにケアレスミスをします。
そろそろ高学年、問題数も増え、内容も複雑になってきます。ケアレスミスを防ぐいい方法を教えていただきたいです。

先生の回答

子ども自身が悔しがり、対策をたてることが大事。
親はその方針に則って、支えましょう。

親が子ども以上に悔しがるのはNGです!

 ミスがなければ満点をとれたというときは、親も子もとても悔しい思いをします。ケアレスミスであれば余計に、注意をすれば防げたのにと思うものです。
 子どもはケアレスミスをするものです。たとえば、「採点する人が読めるように字を書く」ということは、ただ問題を解くだけでなく、解いている自分を俯瞰する視点が必要になります。「字そのものを美しく書きたい」と思う子は問題ないのですが、特にそう思わない子であれば、「これでは読めません」というフィードバックを繰り返し受け、「これでは読めないのだ」ということを体感的に理解し、そして「今、これを必ず読んでほしい、自分の書いたことを正しく伝えたい」という気持ちが高まったときにはじめて、読めるような字を書こう、という自発的な努力が始まるのです。
 ケアレスミスを避けるのも同じことです。「これでは点数がとれない」というフィードバックを受けて、そのことを理解し、「本来とれるべき点数をとりたい」という気持ちが高まったときにはじめて、ケアレスミスを防ぐための自発的な努力が始まります。親の仕事は、このプロセスを邪魔しないことと、子どもの努力に力を貸すことです。
 まず、親がケアレスミスによる失点を、おおらかな気持ちで受け止めることが大切です。子どもにとって、ケアレスミス防止に取り組もうというやる気は、自分自身が悔しい思いをし、もう悔しい思いをしたくない、と思えたときに芽生えます。もし親が子どもの二倍も三倍も悔しがったら、ケアレスミスをなくす努力は、自分のためではなく親のためにする努力になります。すると、踏ん張りが必要な時に「別に私は困ってないし…」ということになってしまいます。また、親が子どものケアレスミスを怒って厳しく責めると、「親に怒られるのが嫌だから」という気持ちで取り組むようになります。これではやる気につながらないだけでなく、親子の信頼関係にまでひびが入りかねません。

親の意見、考えは、問われれば伝える

 親は子どもとは違う視点から、子どものケアレスミスについて考えてみましょう。子どもをよく観察して、子どもの中で何が起こっているのかを考え、仮説を立ててください。その子のミスの原因は何でしょうか。問題文を早とちりしているのでしょうか。慌てて字を間違えているのでしょうか。不注意に回答欄をずらしているのでしょうか。焦っているのでしょうか。集中が切れているのでしょうか。見直しをする時間がないのでしょうか。見直しても見つけられないのでしょうか。子どもを観察した結果、たとえば、「回答欄が空欄になっている問題番号を確認して、見直しのときには解答用紙と照らし合わせるようにしたら、よいのではないか」という仮説を持つかもしれません。ただし、その仮説を押し付けることはしません。
 会話をするのは、ケアレスミスをして子どもが悔しがっているときです。「本当はできてたのに、悔しかったね」と、まずは気持ちを受け止めます。そして、「具体的にどうしたら、次からミスを減らせると思う?」と、子ども自身の考えを聞いてみてください。子どもとの会話の中で、①現状を確認し、②どうなりたいかを確認し、③そのために今からできる小さな一歩を考える、というプロセスを行います。
 たとえば、「うーん、ちゃんと見直したらいいと思う」という答えが返ってきたら、「ちゃんと、ってどういうことだろう。いつもは、どうやって見直してるの?」と、①現状を確認します。そして、②ミスをなくしたい、③ちゃんと見直しをしたらよいのではないか、というふうに話を進めていきます。
 このとき大切なのは、親の考えを子どもに押しつけないことです。親から見て、子どもが主張する対策が間違っているように思われても、子どもがそうだと思うのであれば、一度試してみることに大きな価値があります。
 一方で、もし子どもが「どうしたらいいと思う?」と聞いてきたら、そのときは率直に親の考える仮説を伝えるのもよいでしょう。思ったとおりにやって失敗するのも、親の意見を求めるのも、子どもにとっては成功のための手掛かりを得る手段にすぎません。子どもが自分で決めて、自分で考え、自分で取り組もうとするプロセスを、優しくおおらかに受け止め、支えていくようにしましょう。そうこうするうちに子どもは成長します。次第にミスも減っていくでしょう。すぐに結果を出そうと焦らないこともうまくいく秘訣のひとつです。

Vol.20 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2016年9月号掲載

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