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子育て相談 Vol.22

今月のお悩み

人間関係

女子グループが苦手な娘、クラスで孤立してしまわないか心配です。
2年生の娘が、男の子とばかり遊んでいます。保育園の頃は男女関係なく遊んでいましたが、小学生になると、特に女の子がグループを作って遊ぶようになりました。男の子と遊ぶほうが性に合っていた娘は、女の子に苦手意識を持つように……。担任の先生は「女の子同士で本格的に固まりだすのは2年生の後半くらいから。今はまだ心配ない」とのこと。どちらにも入れず一人ぼっちになってしまわないか心配です。

先生の回答

お子さん自身が試行錯誤して学んでいくべきこと。
親は、そのプロセスを温かく見守ってあげてください

グループを作る=大人から自立する体験

 小学校中学年ぐらいからの子どもは、同年代・同性の子ども同士でグループを作る傾向があります。一人きりで完全な自立をすることはまだできませんが、子どもだけの集団を作ることで、集団として大人から自立する体験ができるわけです。このグループは、それまでの友だち関係に比べて排他的な傾向を持っています。秘密基地は「秘密」であることが大切で、合言葉を知らなければ、秘密基地には入れないのです。その排他性が、子どもに自立を体験させます。それゆえに、それまでのように「いれて」「いいよ」というわけにはいかないのです。

グループに属することが標準・正常ではない

 とはいえ、全ての子どもが必ずどこかのグループに入るわけではありません。理由はいろいろありますが、グループに属さない子どももいます。一人でいるのが好きだとか、自立の体験が足りていてグループの力を借りたいと思わないとか、一対一の付き合いは好きでも群れるのが苦手だとか、入れそうなグループがないとか、考えはさまざまです。グループに入るほうが多いからといって、グループに入ることが標準・正常というわけではありません。グループに入らない子どもも、学校に通い、子ども社会に暮らしていく中で、社会性を育んでいきます。時に大人のサポートを得ながら、自分が人々を受け入れるために、また人々に受け入れられるためにどうすればよいかを学んでいきます。グループに属さないこと自体は、子どもの発達の上では、全く問題ではないのです。

グループに属しても属さなくても社会的な葛藤はある

 問題なのは、なぜ女の子グループに苦手意識を持ったかということです。お嬢さんはどのような価値観を持っているのでしょうか。さっぱりとした性格で、女の子独特のウェットなやりとりが合わないのでしょうか。遊びの作法になじめないのでしょうか。それとも何か具体的なトラブルがあったのでしょうか。原因は何であれ、親の仕事はそれを克服させ、女の子のグループに入れることではありません。仲間に入りたくない、男の子と遊んでいたいという気持ちと、これから先の現実にどう折り合いをつけていくかを見守り、子どもの心を支えていくことです。
 恐らく、やがて先生の言う通りグループができ、本格的にグループが固まっていくでしょう。その頃になると、男の子のグループも、女の子を受け入れてくれなくなるでしょう。その時になってお嬢さんは、グループに入れないと泣くかもしれません。それを受け止める勇気を持ちましょう。グループに属しても、属さなくても、社会的な葛藤はあります。その葛藤を自分で見つめ、不快さを理解して、望む結果につなげるためにどう言動を変え、どう交渉を試み、どうアピールをしていくかということを学ぶのがお嬢さんの成長です。親の仕事は、それが深刻ないじめのような事態になっていないかどうか、お子さんの心が自分では立て直せないほど深く傷ついていないかどうか、慎重に見守ることです。

人に何を望むか、どうありたいかを知る

 中学生になっても、高校生になっても、「女の子グループ」が苦手な女の子はいます。グループとの関わりに正解はありません。自分が人に何を望み、自分自身がどうありたいかによって、とる行動は変わってきます。だからこそ、自分を理解する必要があるのです。大学生になっても、社会人になっても、人はグループを作ります。ですがもう、子どもの時のように、自立のために排他的な結束を求める必要はありません。大人になれば自然と、一人でいるのも、みんなで過ごすのも自由になります。男女の違い、年齢の違いを超えたつながりも増えてきます。結局、保育園の頃と同じように、「いれて」「いいよ」という付き合いができるようになってくるのです。
 ですから、親があまり先走って心配しないことです。グループに入っても、入らなくても、子どもなりの苦労はあります。グループに入るほうが安心だ、親しい友だちがいなければ心配だという親の価値観を押し付けても、あまり意味はありません。その子が人に対して何を望み、人間関係に対して何を期待しているかということを、一緒に理解するよう努力してください。そして、その期待や要求が健全に洗練されていくよう、子どもの試行錯誤のプロセスを邪魔することなく、「いつでも帰ってきていいよ」「ここは安全だよ」という温かい眼差しで見守っていてください。

Vol.22 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2016年11月号掲載

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