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子育て相談 Vol.25

今月のお悩み

苦手な上級生との接し方

下級生と遊びたがる上級生、どう接するべきか……。
近所の5年生の男の子が、休み時間のたびに2年生の娘の教室に遊びにくるそうです。娘も、最初は喜んで一緒に遊んでいたのですが、最近になって「○○くんと遊びたくない」ということもあります。遊んでいる様子を見ていると、男の子が娘や他の下級生に命令してボールを拾いに行かせたり、ほかのお友達と遊ばせないように邪魔をしたりしていたので心配になりました。悪い子ではないと思うのですが、どのように接するべきか悩んでいます。

先生の回答

子どもの気持ちに寄り添って話を聞き、大人の視点で判断する必要があります

目の届く範囲に置き、対人関係のリスクを管理

 その5年生の子はなぜ、お嬢さんのクラスに遊びに来るのでしょうか。2年生の子と遊びたい理由があるのでしょうか。命令したり、他のお友達と遊ばせないように邪魔をしたりしているということですから、自分の思い通りになる相手と遊びたいのかもしれません。同じ学年の仲間と合わないか、弱い立場に置かれているのかもしれません。
 もしその子がお嬢さんや他の子に暴力を振るったり、嫌がらせをしたりするなど、具体的な被害があれば、そのときは親が出ていくべきかもしれません。小学2年生は、まだ対人関係のリスクを充分に管理できる年齢ではありません。親の目の届かないところで放任するのでは、親も子どもも不安です。
 ですが、具体的な被害がない限り、親が口を出すべきではないかもしれません。とくに、お嬢さんは最近になって「遊びたくない」という意志表示を始めています。まずよく聞いてみましょう。ちなみに、お嬢さんが「遊びたくない」と言い出したのは、とても良いことです。相手が自分より強い立場の人であっても、嫌なものは嫌と感じ、親という安心できる相手に、そのネガティブな気持ちを表現できているのです。「お母さんに話してくれてありがとう」のひと言でより安心して相談できると感じるでしょう。

“本当の希望”に添って対処する

 さて、「遊びたくない」という気持ちがあるとすると、次に、いくつかの選択肢が浮かんできます。黙って避ける、相手に伝えて遊ぶのをやめる、我慢して遊ぶ、遊び方を変えてくれるようお願いする、などです。お嬢さんの希望はどこにあるのでしょうか。まずはよく聞いてください。何が起きていて、どう感じているのでしょうか。親の目に見えるものと、子どもが見ているものは違います。遊んでいる様子を見ていて親が感じることも大切ですが、子ども自身がどう感じているかも大切です。
 このとき重要なのは、親の考えを押し付けないことです。「○ ○ くんのこと、嫌なんでしょ?」「遊びたくないんだよね?」というような言い方をすると、嫌でなくても「嫌」と言ってしまう子もいます。逆に、親が誰かを攻撃するのが嫌で、必死になって相手の子をかばおうとする子もいます。こうなると、問題は子ども同士の人間関係ではなく、親子の問題にすり替わってしまいます。
 また、子どもの気持ちは大人に比べると、短い時間で変化しやすいものです。大喧嘩して泣いて帰ってきたのに、翌日には何もなかったかのように一緒に遊んでいることは、よくあります。嫌なことがあったときに聞けば嫌と言うでしょうし、楽しく遊んでいるときに聞けば楽しいというでしょう。ですから、子どもが嫌だというから付き合いをやめさせたほうがいいとか、楽しいというから安全だというものではありません。冷静に、落ち着いて、子どもの気持ちに寄り添って話を聞きながら、大人の視点で判断していかなくてはなりません。
 子どもの話をよく聞くことができれば、何か行動を起こすべき事態になっているのか、それとも黙って見守っていればいいのか、判断することができます。たとえば、はっきり「やめて」と言っていることをしつこく続けるなど、明確な拒否を受け取ってくれなくなったら、そのときは小学2年生の手には負えないかもしれません。時々、遊んでいる様子を見に行く必要もあるでしょう。学校の先生に相談する必要も出てくるかもしれません。親のほうでも、授業参観や懇談会、あるいは連絡帳でのやり取りなどを通じて、先生とのパートナーシップを構築していく必要があります。

不満への対処を体験させるのも大事

 ただ、嫌だという気持ちも含めて、人とどう接していくか、どのように自分の気持ちを伝え、要望を主張していくかを学ぶことは、大切なことです。子どもは、不満にもまれながら、うまく調整していくやり方を覚えていくのです。親の仕事は、安全な範囲の中で、子どもに処理できるサイズの不満をたくさん体験させることです。安易に相手を悪者にするのではなく、我が子に問題を解決する力が眠っていると信じて、慎重に見守ることも大切です。

Vol.25 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2017年2月号掲載

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