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子育て相談 Vol.28

今月のお悩み

親の都合と子どもの意志と

子ども会の雰囲気になじめません。
親の都合で、子どもをやめさせてはだめ?
新学期に合わせて引っ越しをし、息子(3年生)が早くなじめるようにと、地域の子ども会に入会しました。入会してからわかったのですが、その地域で、子ども会に入会している世帯は少なく、その分家族ぐるみで密度の濃い付き合いをされているようです。そのせいか、私がその雰囲気になじめず、参加するのが苦痛になってきました。息子は楽しそうに参加しています。親の都合でやめるのはよくないことでしょうか。

先生の回答

まずは、自分の気持ちを観察することから。
両者に負担のない解決策があるはず。

 子どもの活動については、原則的には、子どもの意志に沿って決めることが望ましいものです。とはいえ、親は子どものために何でも我慢するべき、ということではありません。特に子ども会などは、保護者の協力を求められたり、金銭的な負担が生じたりすることがあります。かけた労力に見合う見返りが得られないと感じるときには、やめたいと思うこともあるでしょう。

STEP1
「なじめない」気持ちを観察してみる

 まずは状況を整理してみましょう。雰囲気になじめないということですが、何が起きているのでしょうか。具体的な、苦痛を感じたエピソードがありますか。誰か特定の苦手な相手がいるのでしょうか。それとも、なんとなく居場所を見つけることができないという感じでしょうか。なぜそう感じるのでしょうか。引っ越してきたせいかもしれません。もう集団ができあがっている中に入っていくのは、難しく感じられることもあります。地域や年代などによる文化の差もあるかもしれません。集団の性質、あるいはそこに参加している人たちの気質や、物事の進め方、関係の持ち方による場合もあります。あるいは、ご自身の気質が関係しているかもしれません。人づきあいに苦手意識がある場合があります。他人と簡単に打ち解けたくない、という気持ちを持っていることもあります。また、人との個人的で親密な関わりを重視するタイプの人もいれば、適切な距離を守りたいと思うタイプの人もいます。距離感や価値観が違えば、なじむのは難しくなります。「なじめない」という気持ちをよく観察してみると、原因や解決策が見えてくることもあります。
 ひとつの捉え方として、この状況を、「苦手なことや、難しいと思うような状況を前にした時、うまく工夫をしてそれに立ち向かっていく姿を、子どもに示すチャンス」として考えることができます。子どもが楽しんでいる限り、できるだけ活動を続けさせたいと思うのであれば、前向きな気持ちになれるように、少し問題から距離を置いてみましょう。自分一人で考えてみるだけでなく、家族や信頼できる友人に話したり、相談して意見を求めたりすることが、自分の考えを整理する手助けになるかもしれません。

STEP2
やめたい、となったら子どもにどう伝えるか

 いろいろと考えてみても苦痛のほうが大きく、やはりやめたいというのであれば、それをどのタイミングでどう子どもに伝えるかという問題があります。子どもがもう十分に自立しつつあるなら、率直に「お母さんはやめたいと思っているが、あなたはどう思うか」と聞いてみても良いでしょう。ただし、3年生では、この質問に正しく答えるのは難しいかもしれません。親の顔色を窺って、本心と異なることを言うかもしれません。まだ気持ちの整理がうまくできない場合、その場ではなんとなく「やめてもいいよ」と返事をしたのに、後になって「自分は本当はやりたかったのに、無理にやめさせられた」としこりが残ることもあります。親の、言葉にならない苦痛や不安を感じ取って、自分が行きたがったせいだと感じ、傷ついてしまうタイプの子どももいます。
 率直に聞くべきかどうかは、その子の自立の程度や性格、親子の関係(普段、どの程度の率直な意見の交換をしているか、どの程度の決断を子どもに任せているか、など)によって異なってきます。また、引っ越しなどによる精神的な負担も少なくないでしょうから、状況を総合的に捉えて判断すべきです。場合によっては、やめたいと思っていることは、親の胸の中にしまっておくほうがいいかもしれません。

STEP3
やめると決めたら

 子ども会をやめるにあたっては、子どもには別の楽しみを用意してあげる必要があるでしょう。子ども同士の付き合いが活発であるなら、子ども会の行事よりもそちらを優先するように、少し背中を押してみてはいかがでしょうか。家族ぐるみの付き合いに混じり、子ども会の行事に代わる楽しみが得られるよう、親のほうでお膳立てをしていきます。あるいは、子どもの要求に応える形であれば、習い事のようなものを始めてもいいでしょう。子どもが、子ども会の行事よりも、他の予定を楽しみにするようになったら、夏休みや年度末などの区切りのタイミングで、「子ども会は続けずにやめようと思う」と切り出してみてはいかがでしょうか。

Vol.28 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2017年5月号掲載

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