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子育て相談 Vol.29
自立心の育み方
- 着ていく服、友だちとの集合時間、何でも相談してくる娘が気になっています。
- 小学6年生の娘は「高学年だから自分でやる」とは言うのですが、親への依存心が強いです。着ていく服を決めるのに、天気予報も見ずに「何がいい?」と聞いてきたり、友だちと遊ぶ時の集合時間を決めるのに、親に何度も相談してきたり……といったふうに。まず自分で調べたり、確認したり、考えたりするという行動が必要な年齢だと思うのですが……。
そんな意識を持たせ、自立心を養うにはどうしたらいいのでしょう?
先生の回答
親は子どもに、「結論」ではなく、「仮説」の立て方を教えましょう。
親を信頼すればこその相談寄り添って一緒に考えましょう
「自分でやる」と言っているのは自立心の表れです。頼もしい限りですね。ではなぜ、何度も親に相談してくるのでしょうか。理由はいろいろ考えられます。
まず、その子の生まれつきの気質が考えられます。もともと慎重で、2度3度と確認をくり返し、石橋を叩いて渡るタイプの人たちがいます。もしお子さんがこのタイプであれば、権威である親に繰り返し相談をするのは当然のことです。この気質の子の場合、何度も聞いたのに結局アドバイス通りにはしない、ということがよく起こります。このような確認のくり返しは、依存心というより、親への信頼の表れと考えてよいでしょう。親が何を指針とし、どのように考えているかを知りたいのです。ですから、それを教えてあげればよいでしょう。「今日は何を着たらいい?」と言われたら、「天気予報は何だって?ちょっと見てきて」と質問し返します。そして、「風が強いなら、上着があったほうがいいよね」とか、「昨日より5度も高いの? じゃあ、上着はいらないかな?」というふうに、「○○だから××と考える」の形で、根拠を添えて考え方を伝えます。これをしばらくくり返すうちに、「何を着たらいい?」が「今日は長袖でいい?」になり、「これでいい?」に変わっていくでしょう。彼らは決めてほしいのではなく、自分が決めたことに対する確認を求めているのです。
ただし、経験が足りないために、子どもには難しいことがいくつかあります。たとえば服装であれば、気候に沿ってコーディネートできている服を選ぶためには、かなりの経験が必要です。細かいことを気にしないタイプの子どもであれば、適当なものを着て出ていくこともできますが、慎重な子どもであれば、気候に合わなくて不快な思いをしたり、笑われたりするような取り合わせでは着たくないと思うのは当然のことです。その不安を一緒に受け止めてあげてください。「いいからまず自分でやってみなさい」と突き放すのではなく、「何を着たらいいかなあ、おとといぐらいの気温みたいだけど」とか、「スカートがいいの? どのスカート?じゃあ、上は何を着たらいいかしら」と、寄り添って一緒に考えると良いでしょう。
子どもの選択を決して非難しない
親の関わり方によって、何度も親に相談するようになってしまう可能性もあります。たとえば、子どもの選んだ服を「なんでそんな合わせかたするの、みっともない」と叱ったり、遅刻したときに「だから早く支度しなさいって言ったじゃないの」と言ったりするのは、子どもを非難する関わり方です。これが続くと子どもは、「私の判断ではうまくいかない、正解を知っている親に聞くのが一番良い」ということを学びます。非難するのをやめ、具体的な考え方を伝えるようにしましょう。たとえば、「みっともない」ではなく、「色の違うチェックと水玉を合わせるのは難しいので、片方は無地にしたほうが良い」だとか、「そのウールのスカートは秋冬物なので、夏には向かない」などというように、判断の理由を明確にして伝えます。基準を知ることができれば、子どもは次から、自分で判断することができるようになります。
子どもの「挑戦」と「失敗」を待つゆとりを持ちましょう
親が神経質に失敗を避けている場合も、同じように親の答えを求めるようになるでしょう。子どもが試す前に、親のほうが結果を先読みして心配することはありませんか?「そんな服で行ったら寒いんじゃない?」「余裕をもっていかないと、電車が遅れたら間に合わないわよ!」というようなことをくり返し言うことで、子どもが自分の感覚を磨く訓練を妨げることがあります。親がアドバイスをし過ぎることで、子どもが経験を積むのを邪魔してしまうのです。
子どもの自立を引き出すためには、非難したり、結論を急いだりせずに、子どもの挑戦と失敗を待つだけのゆとりが必要です。子どもなりの仮説があり、それに対応した結果を経験して初めて、子どもは自分で考えることができるようになります。親は子どもに、結論ではなく、仮説の立て方を教えましょう。まずは自分で調べるべき、と思うのであれば、「まず自分で調べなさい」というのではなく、「何分ぐらいかかるの?」と、調べさせたい内容を質問します。「わからない」と言われたら、「うん、どうやって調べたらいいかしら?」と、子どもにわかるところまで質問していきます。「自分でやる」と言う子であれば、きっと親のリードに従って、質問の答えを考えていくことができるでしょう。もし、自分で考えようとせずに、「いいから教えてよ!」などと答えを求めてきたら、その時に初めて「自分で調べてごらん」と指示を出せばよいのです。
Vol.29 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2017年6月号掲載