子供の考える力・書く力はこうすれば伸びる!

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子育て相談 Vol.33

今月のお悩み

生 活

片付け習慣が身につくよい方法を教えてください。
小学4年生の息子は、片付けることが苦手です。
勉強机の上はいつも散らかっています。
そのせいでしょっちゅう、あれがないこれがない、と大騒ぎをしています。
片付けの習慣を身につけさせるよい方法があれば教えてください。

先生の回答

「元の場所に戻す」以前の状況判断力を育みましょう

 片付けは、多くの親の悩みの種です。生活習慣の一部でありながら、食事やトイレのように生理的欲求に直結しているわけでもなく、また歯磨きや入浴のように一日の予定の中に組み込まれているわけでもありません。使い終わったら元の場所に戻すだけ、と思うかもしれませんが、その時々で状況を判断して、先の見通しを立てながら都度行う必要があり、かなり高度な処理が要求されます。

STEP1
「使い終わった」の判断

 自分で片付けられるようになるために、まずは「使い終わった」を自分で判断できるようになる必要があります。そのために親は「手元を片付けてから次に移る」ということを教えます。一度に二つのことはできないから、常にどちらかを選んで、選ばなかったほうは手仕舞いにする、ということです。小学校低学年までなら、子どもの興味が他に移ったときに隣に行って視線を合わせ、肩を叩いて注意をひきつけ、「そっちをやるなら、こっちを片付けてからにしよう」として、必要なら手伝いながら片付けていく必要があります。「そっちもまだやってる」と言うでしょうから、一度に二つはできないということを説明して聞かせます。その都度関わるのは親にとってもかなり面倒ですが、面倒がらずに手をかければ、子どもも面倒がらずに片付けるようになります。
 ただ小学4年生にもなると、小さな子と同じように手をかけられるのは嫌がるでしょう。前記のことを説明し、「習慣づけをしたいのだけど、あなたはもう大人なので、どんなやり方がいいか考えましょう」と言って、一緒に考えるのが良いでしょう。おそらく声掛けが一番現実的な方法ですが、本人の了承のない声掛けはかなりうっとうしがられます。本人に求められて行ったほうがスムーズです。

STEP2
「保留の仕方」の判断

 次に、保留の仕方を判断できるようになる必要があります。たとえば、絵を描いているとちゅうで昼食になり、ご飯の後でまた続きを書こうとしているときは、本当に「まだそっちもやってる」状況です。完全に片付ける必要はありませんが、そのままではいけません。これは応用編です。一時中断であることを確認し、次にいつ再開するかを決めます。再開までの間にどのようなイベントがあるかを確認し(たとえば昼ごはん)、そのための動作の邪魔にならない場所を考えます(テーブルで食事をするのでデスクに移す。台所では皿を洗うので洗面所に置いておく、など)。このときのポイントは、「片付けてから次に移る」の応用として、「仮片付けをして中断する」「準備してから再開する」という2回の区切りを入れることです。

STEP3
「元の場所」の決定

 さて、こうして「使い終わりを判断する」ということができるようになって初めて、「元の場所に戻す」という能力を発揮できるようになります。まずは「元の場所」を決め、見てわかるようにしましょう。戻すべき容器などにシールやラベルで「ブロック」「はさみ」などと具体名を書いてもいいですし、そこに子どもがイラストをつけてもよいです。スマホで写真を撮って印刷し、切り抜いて貼るなどすれば、かなり楽しい工作になります。子どもと一緒にやり方を決め、一日がかりで取り組みます。このように戻す場所を決めておけば、元に戻すこと自体は簡単です。土曜日の朝9時から15分間、など、決めた時間に家じゅうで片付けに取り組むと、うまく習慣化されていきます。
 問題は物が増えることです。新しく増えたものには、新しい置き場所が必要です。置き方を変えるか、古い物を捨てるか、一つひとつ判断しなくてはなりません。これについては、月に一度ぐらいの頻度で、家じゅうの棚卸をすることをお勧めします。区切られた時間の中で、子どもは自分の物を、親はプリント類や備蓄の食材・日用品などを整理して、最適な状態にしていきます。

Vol.33 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2017年10月号掲載

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