子供の考える力・書く力はこうすれば伸びる!

HOME > 菅原裕子先生 お悩みパパ&ママ子育て相談 >子育て相談 Vol.34

子育て相談 Vol.34

今月のお悩み

数学的センス

数学的センスを、子どもに身につけさせるには?
両親ともに数学が苦手で、子どもに数学的センスを身につけさせる自信がありません。
小2の娘はすでに算数に苦手意識があるようですが、正直どこかで「親が苦手だからしょうがない……」と諦めてしまっているところもあります。
子どもに数学的センスを身につけさせるいい方法があれば教えてください。

先生の回答

日常的に数の感覚を養いましょう。
あわせて、言語のセンスも磨く必要があります

数の感覚を養うには、お手伝いが有効

 まずは、暮らしの中にある数に触れ、数の感覚を養っておくことが大切です。このためには、お手伝いが有効です。ホットケーキを作るだけで、「粉を150グラム量ってください」「牛乳を100ミリリットル入れてください」というふうに、「おもさ」と「かさ」の概念が出てきます。お買い物の前に、例えば「牛乳、あと何回飲める分ぐらい残ってる?」と聞いてください。子どもは「コップにこれくらいの量」と「牛乳パックがこのくらいの重さ」を想像の中で比べるでしょう。お肉売り場で、「あいびきで、一番少ないのを探して」と言えば、量の多い少ないの比較です。「一番300グラムに近いもの」と言えば、絶対値の考え方です。割り算を身につけたら、「1グラムあたりが一番安い製品」を選ぶことができます。おやつの時間には、8枚のクッキーを3人で分けてください。「あまり」はお母さんと二人でこっそり食べてもいいし、砕いて三等分に挑戦してもいいです。そういった数の感覚を持っていれば、授業で対応する概念に出合ったとき、自分なりの理解を持つことができます。

言語のセンス
─論理的に考える能力も大切

 それから、論理的に考える能力を育てましょう。問題を解くときに必要なのは、論理的に組み立てる能力です。文章題のときだけではなく、ものごとの構造そのものを理解するために、論理をもって挑む必要があります。全体の構造をよく理解したうえで、公式を利用して計算を早くするのは、非常に効率的なことですが、最初から呪文のように「速さは、距離わる時間」と暗記するのと、「400メートルを5分で歩いたときの時速は、1分で80メートル歩いたということだから…」と考えるのとでは、応用の幅が変わってきます。このように、わかるところまで小さく砕いて一つずつ取り上げ、持っている知識と比較して答えを導いていこうとする論理的理解の力は、純粋な数学的センスというより、言語のセンス、日本語のセンスに近いものです。

あれこれ質問されることで、「説明する力」が備わり、「論理的理解力」へと通じる

 論理的理解力の根源は、「〇〇は××である。なぜならば~」と理由を述べる力です。3歳の子どもに「なんでチョコはおいしいの?」と聞けば、「甘いから」と答えてくれるでしょう。小学生になれば、より複雑に考えることができます。たとえば、「今夜、何食べたい?」と聞いたときの答えが「カレー」だったとします。それを「どうしてカレーがいいの?」と掘り下げることで、子どもの考えが明らかになります。
 答えが「好きだから」だった場合。「カレーのどんなところが好き?」「味」「味かあ。カレーってどんな味?」「辛い」「辛い物の中ではカレーが一番好き?」「うん」「他の辛いものと何が違うんだろうね」などと、「好きだから」の理由を探っていくことができます。
 答えが「さっきカレーのにおいがしてたから」だった場合。「さっきって、いつ?」「帰ってくるとき」「そうかあ、カレーの匂いって、食べたくなるよね」「うん。なった」「学校帰りでおなかすいてたから、食べたくなるのかな。おなかいっぱいでも、カレーだと食べたくなる?」など、食欲をそそる条件を探っていくことができます。
 これは、子どもの頭の中にすでに広げられているものを、ある角度から切り込んで整理することと、相手にわかるように説明することの練習です。日常的に「どうして?」「いつ?」「どこで?」「だれが?」「なにを?」「どうやって?」と問われることで、子ども自身がそれを自分に問うようになり、やがて相手に伝わる形で説明できるようになっていきます。そして算数の問題にあたるときにも、示された要素に沿って問題を切り分け、自分に必要なものを組み立てることができるようになるのです。
 どちらにしても、親が「数学!」と身構えすぎず、暮らしの中の数や論理を楽しむことが大切です。

Vol.34 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2017年11月号掲載

一覧へ戻る
春の入会キャンペーン
無料体験キット