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子育て相談 Vol.35

今月のお悩み

爪を噛むくせ

爪をこっそり噛む息子。
くせの直し方を教えてください。
小学1年生の息子には爪を噛むくせがあります。見かけるたびに注意したり、諭したりするのですが、「バレなければいい」と思わせてしまったらしく、こっそりと噛み続けているようです。このようなくせに対する今後の指導の仕方もふくめ、アドバイスお願いします。

先生の回答

爪を噛むことで得ているメリットを、
爪を噛むことに求めなくてよい仕組みをつくりましょう

ストレス・緊張を逃がし、安心・スッキリ感を得ている

 爪を噛むというのは、鼻をほじる、歯ぎしりをする、などと並んでよく見られるくせのひとつです。くせの原因は明らかではありませんが、ストレスがかかるとくせが強く出る子どもが多いことから、そうすることでストレスを逃がせるのだろう、と言われています。お子さんは、爪を噛むというくせから、どのようなメリットを得ているのでしょうか。ストレスや緊張を逃がしたり、安心やスッキリ感を得たりしているのではないでしょうか。くせ自体をなくしたいと思うなら、彼が爪を噛むことから得ているメリットを、爪を噛むことに求めなくて良いような仕組みを作る必要があります。

くせの〝代わり〟を一緒に考える

 ところで、なぜ、爪を噛まないほうが良いのでしょうか。爪を噛むせいで、爪がとがって危ないとか、歯の噛み合わせに悪影響があるとか、手指が衛生的でなくなるとか、口から菌が入るとか、見ている人が不快であるとか、そういったことが問題なのですから、「爪を噛んではいけない」と叱ることはあまり正確ではありません。「爪は汚いことが多いし、噛むことで歯を悪くしてしまう。それに見ていて気分のいいものではないから、できれば噛まないほうがよいと思う」というように理由を伝え、「だから、爪を噛むくせがなくなるように、いろいろ試してみたいと思うんだけど、一緒にやらない?」と誘ってみましょう。どうしても噛みたいと主張するとか、噛んでいい理由を列挙するなど、明らかな抵抗の見られるときには、あまり無理にやめさせようとしないでください。そのこと自体がストレスになって、爪を噛みたくなります。「うーん、やってみてもいいけど……」というような感じであれば、気楽に試してみましょう。

プレッシャーをかけずにくせを意識させる

 くせを直すには、直したいと思い、くせを意識し、やめ、変えていく必要があります。まずはくせを意識するようにしましょう。子どもが嫌がらないようであれば、週に1回か2回、やすりを使って、時間をかけて爪をきれいに整えましょう。親が手間をかけて、爪を整える時間が子どもにとって楽しく快適なものであるように努めてください。子どもの話を聞いたり、テレビを見たりしながら進めます。爪が短くなるだけで噛まなくなる(噛めなくなる)こともありますし、手間をかけてきれいにしたものには注意が向きやすくなるものです。次の回までに、噛まれていない爪が一枚でもあったら、それを見つけて喜んでください。「薬指はきれいなままだね、うれしいな」とコメントして、また全部の爪をきれいに整えてあげてください。「親指も噛まなければいいのに」などとプレッシャーを与えてはいけません。親が少しでもストレスを与えれば、そのせいで爪が噛まれるという仕組みです。ただただ、良かったことだけに意識を向けます。また、子どもが好きな香りのハンドソープやハンドクリームを使い、においや手触りでも指先を意識できるようにしてみてください。
 歯の噛み合わせが不安であれば、歯医者さんに相談することをお勧めします。先生から、子どもにわかるように説明してくれるかもしれませんし、歯医者さんならではの具体的なケアを提案してくれるかもしれません。爪噛みのくせは、指しゃぶりや鼻ほじりに比べて始まりやピークが遅く、小学生の頃に増えていきます。このタイミングは、およそ小学生の間に生え替わっていく歯の成長と無関係ではないでしょう。専門家の知恵を借りることで、素人にわからないリスクを見出すこともできますし、親が一人で悩むよりずっと気が楽になるということも期待できます。

〝最終的になくなったらラッキー〟の心構えで

 一番大切なのは、爪を噛むことによって得ているメリットをどう確保するかということです。噛む動作を、他の無害なくせに置き換えます。子どもにそのことを説明し、机を指でトントン叩く、ストレッチするなど、他の動作を考えます。ただし、代わりの動作のほうがくせになるわけですから、残ってもかまわない動作を選びましょう。子どもをよく観察して、噛みそうな様子が見えたら「伸び伸びしよう!」などと声をかけて、一緒に代わりの動作をします。そのときは必ず明るく、優しく、楽しいトーンを心掛けてください。幼稚園の手遊びのような感じで、短く決まった手順があると置き換えやすいです。爪を噛むことを咎めるような気配をにおわせてはいけません。机を指でトントンすることや、ストレッチすることは、とにかく楽しい良いことだ、ということを刷り込みます。
 そして何より、子どもが爪を噛んでしまっても、それを咎めないでください。親が神経質にならず、最終的になくなったらラッキー、という心構えで挑むことです。子どもが「噛んじゃった」と気づいたら、「お、気づいたね、いいね」と、意識できたことをほめてください。もし子どもがくせを意識することができて、直せたらないいなと思っているのであれば、くせは徐々に減っていくはずです。

Vol.35 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2017年12月号掲載

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