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子育て相談 Vol.40

今月のお悩み

親子の約束(学習編)

「宿題を9時までに終わらせる」約束がちっとも守れません。
小学5年の長女と、「宿題は9時までに終わらせること」と約束しています。
ですが、「宿題はちゃんとやらなければ」という思いを持ちつつ、テレビを見ながらしたり、うたたねしたり……とダラダラと取り組み、毎夜10時11時まで、ぐずぐずとやっております。私(父)としては、「約束の時間までにできなければもうするな」と、「決めたことを守る」ほうを徹底させたいのですが、どうしたものでしょうか? アドバイスお願いします。

先生の回答

お子さんの気持ちの側に立って、今一度、「約束の内容」について話し合いましょう。

 「宿題を時間どおりに終える」というのは、大人にとっては当たり前のことのように思います。ですから、自分の子どもにはぜひそうしてほしいと思います。ましてやそのように約束していれば、親としては「約束を守るべきだ」と思いますね。よくわかります。でも、お嬢さんがそのようにしないというのであれば、ここはひとつお嬢さんの気持ちの側から考えてみましょう。

まず、「やりたくない気持ち」を受け止めてあげて。

 約束してということですが、お嬢さんはどう捉えているでしょうか。9時までに終わらせるというのは、よく話し合って、お嬢さんの口から出た言葉でしょうか。親にそう言われて、「約束だよ、いいね!」と言われて、「うん」と言ったとしたら、9時までに終えようという動機付けはされていないかもしれません。一度は話し合われたかもしれませんが、もう一度仕切り直しで話し合ってみてはいかがでしょうか。
 たとえば、11時までダラダラと宿題が終わらない状態を彼女は、どう思っているでしょう。まずは彼女の気持ちをよく聞いてみてください。やりたくない気持ちを話すかもしれませんが、我慢強く聞いてあげてください。ここは、親のやるべきという気持ちはちょっとわきに置いて、「そうかやりたくないんだよな」と受け止めてあげてください。とことん聞きます。でも彼女はやらなきゃいけないことを知っていますから、気持ちを全部聞いてもらえれば、「でもやらなきゃいけないんだよね」という気持ちにたどり着きます。そこにたどり着くまで、聞きます。つまり、「やりたくない」を受け止めてもらえれば、「やらなきゃ」に移行することができるのです。そこまで行って初めて、何時までに終えるのが理想かを聞いてみてください。彼女はきっと9時と言うでしょう。でも、これまでそう言いながらできていないので、責めることなくそれを伝え、実際に9時までに終えるために、お父さんに手伝えることはあるかを聞いてみてください。その内容が受け入れられるものなら、その援助をしてみてはいかがでしょうか。

親のうれしそうな笑顔と言葉で、プラスのサイクルを作る

 約束したとおりに彼女が宿題を終えたとき、宿題をチェックして「よし、やったね」と笑顔で短く認めます。親のうれしそうな笑顔と言葉は、子どもにとって約束を守りたくなるご褒美です。あるお母さんは、わざとお父さんとのさりげない会話をお子さんに聞かせるそうです。「お父さん、最近〇〇は頑張ってるのよ」。親が自分を自慢に思っていることを知れば子どもはやる気になります。
 親は、やるのが当たり前と思っているので、子どもがやっていないときに声をかけます。いきおい、「早くしなさい」「ちゃんとやりなさい」という小言になってしまいます。そうすると子どもはますますやる気をなくします。マイナスのサイクルです。子どもがやると言ったら、やるのを待って、やったときに「できたね、いいぞ」と声をかければ、プラスのサイクルを作ることができます。宿題を終えるスッキリ感が好きでやる子がいます。宿題を終えたら漫画が読めるからやる子もいます。やらないと怒られるより、〝ねばならない〟ことをやれば、やりたいこともできる仕組みにしたほうがいいでしょう。

「将来の幸せ」という観点から学習に向かう姿勢を作る

 普段からの学習に向かう姿勢を作っていくことを考えましょう。何故、お父さんは彼女に宿題をしてほしいと思っているのでしょうか。宿題はやるもんだ、ではきっと彼女はやる気にはならないと思います。勉強しないと将来困るぞ、も理解できないでしょうね。彼女が理解できる、彼女が興味を持つ話ができればいいですね。
 たとえば、普段からテレビなどを見ながらの会話にも意識を持ちます。手先の器用な子なら、技術者が活躍する番組を見ながら、「あんな開発ができるとすごいな。君は手先が器用だからああいうの向いてるかも」。お料理の好きな子なら、「うまそうだな。料理の上手な人っていいよね」などと、様々な仕事や活動に興味を持つことから始めるのがいいでしょう。世の中にはいろいろな仕事があって、仕事によって人を幸せにできるし、自分も幸せになれるという観点からメッセージを伝えるようにします。でも、「だから勉強しろ」とならないように気をつけてください。将来の仕事や生活に興味を持つようになれば、自ずとそのためには勉強が必要で、宿題は当然と思えるようになります。小学校5年生。いま彼女はそれを学ぶ途上にいます。

Vol.40 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2018年5月号掲載

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