子供の考える力・書く力はこうすれば伸びる!

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子育て相談 Vol.43

今月のお悩み

家庭学習について

きちんと宿題をこなすのに、テストの結果に反映されません。
小学3年生の長女は真面目で几帳面。毎日、きちんと宿題をこなし、ノートもきれいな字で書かれていると先生にもよく褒めていただけるのですが、その真面目さが、いっこうにテストの結果に反映されていないように感じています。
宿題の丸付けなど、時々勉強を見る機会があるのですが、その際、結果につなげるために、親として気をつけてあげられることなどがありましたらアドバイスいただけませんでしょうか。

先生の回答

お子さんのやる気とペースが何より大切。
決して、親のやる気が子どものやる気を超えてはなりません。

お子さんに野心がない場合
ゆっくりと子どもの思いを掘り下げましょう。

 まず、お子さんはこの状況をどう捉えているのでしょうか。宿題をこなそうという意欲はあっても、テストでいい点数を取ろうという野心はないのかもしれません。その時はまず、毎日の学習習慣が身についていることを喜びましょう。そして、人によって野心や競争心の程度はもともと違うこと、また「やる気」とは別であることに気をつけてください。親は無意識に、子どもの心が自分の心と同じだと思い込み、やる気を奮い立たせるつもりで励ますものです。ですが、子どもに合った方法でないと、やる気がなくなったり、勉強が嫌いになったりする可能性さえあります。小学生の間は、まず学習が嫌いではなく、自分なりに付き合えることが第一です。親が多くを望みすぎていないかどうか、振り返ってみてください。そして、きちんとやろうとする意欲と、その結果をテストの点につなげたいという野心をつなげていきましょう。そのためには質問を使います。「いつもきれいにノートをとっているね。どうして?」と聞いてみます。もし「わからない」と返ってきたら、「ノートを丁寧にとると、どんないいことがあるの?」と質問を変えて一緒に考え、子どもの思いを掘り下げる手伝いをしてください。ノートの機能を理解すれば、ノートを使ってテストでいい点を取れると考えるようになります。誘導するのではなく、一緒に考える時間をゆっくりとってください。
 もし、親の手出し・口出しが多すぎると、「親がうるさいから、これ以上言われたくない」という気持ちで宿題を済ますようになることもあります。これは勉強嫌いになりつつある状況です。もしそうなら、勉強についての親の手出し・口出しをなくして、思春期に入る前に親子の関係を立て直すのが先になります。

お子さんが困っている場合
質問することで、考える習慣を育みましょう。

 逆に、お子さんがこの状況に困っている、もっと点数を取りたいと思っている場合はどうでしょうか。勉強の仕方がわかっていなかったり、コツをつかめていなかったりするために、努力がテストの結果に反映していない可能性があります。お子さんには、ノートをきれいにとる力が育っているようです。それは、情報をそのまま取り込む力です。ところがそれがテストの点数に活かされていないなら、情報を加工する力、つまり考えて出す力が釣り合っていないのかもしれません。そんな場合も、やはり質問が役立ちます。日常の学習の中で、「これについて、あなたはどう思う?」「これは何故だと思う?」などと質問する機会を設け、会話をしてください。それが考える習慣を育てます。
 そして、テストの後には結果を分析して、何をどう間違えたか把握します。「ケアレスミス」とまとめないでください。写し間違い、問題文の読み落とし、覚え方があやふや、計算のルールを理解していないなど、様々なミスがあります。何が起きているかに気づけるようにしましょう。「ここが間違っているよ!」という指摘ではなく、お子さんが気づくようにします。この時も、質問が役に立ちます。間違った問題に目を通したら、「これは何を聞かれているの?」と質問します。問題文を読み落とす癖があると気づけば、「2つ選んで」や「〇〇から抜き出して」、「5文字で」などの条件に印をつけて強調したり、見直したりするようになります。
 暗記が苦手だと気づいたら、今までやっていた暗記方法以外の方法も試してみましょう。黙読で覚える、書いて覚える、声に出して覚える、適当な節をつけて体を動かしながら覚えるという方法もあります。

 いずれにしても、お子さんのやる気が第一です。親のやる気で、お子さんを引っ張って走るようなことがないようにしてください。子どもの勉強に対して、親が子ども以上のやる気を見せると、子どもはやる気をなくしてしまうものです。いま「時々勉強を見てあげる」というぐらいなら、その時間を急に増やすなどせず、子どものペースに沿って進めていきましょう。テスト結果について話しあい、質問をして、こんな方法もあるよと選択肢を差し出してみて、子どもの反応をうかがいます。子どもが気に入れば、それを続けてみてください。そうしてしばらくやってみて、効果を確認します。このくり返しで少しずつ、その子なりのやり方を確立していきます。

Vol.43 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2018年8月号掲載

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