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子育て相談 Vol.45
父娘の衝突
- 相性の悪い父娘、衝突を避けるには?
- 三女(小5)と主人の相性が悪く、月に1度くらいのペースで、激しい言い合いになります。(きっかけは、テレビのチャンネル権争いやスマホの見過ぎ……など)
主人は愛情は深いのですが、すぐかっとなる性格。長女・二女がそれなりにやり過ごしているのですが、三女は、いちいち口答えするため、最後、主人が手近にある物を投げつけるまでヒートアップします。どっちもどっちだと思いつつ、二人の衝突を回避するいい方法があれば是非教えていただきたく、ご回答よろしくお願いします。
先生の回答
お父さんが「感情」をコントロールできるよう親同士で話し合いましょう
反抗期に親に立ち向かえることは頼もしいこと
家の中で衝突が起こると、居心地が悪いですよね。回避したいというお気持ちはとてもよくわかります。「それなりにやり過ごしている」という二人の娘さんも、お母さんと同じように、事を荒立てないようにと考えておられるのでしょう。ですが5年生の娘さんだけは、いちいち口答えをしてしまいます。ひとつには年齢の問題があるでしょう。小学5年生は、ちょうど思春期に入るころです。大人に対して反抗的になっていく時期です。親の言い分に自分の言い分をぶつけて、自分なりの価値観やものの見方を知り、自分を確かなものにしていこうとしています。この時期に、親に叱られることを過度に恐れず立ち向かっていく姿は、むしろ頼もしいものです。まずは娘さんの成長を喜びましょう。
娘さん自身の気持ちをよく聞いてみましょう
ご質問の様子からすると、上の二人の娘さんが思春期に入ったころには、そのような口答えはなかったのかもしれません。それには、娘さんの気質が関係している可能性があります。気質は生まれつきのものです。きょうだいであっても、一方がおっとり、もう一方がせっかちなことがあります。もしかすると3人目の娘さんは、物事をうやむやにして丸く収めるのを嫌い、はっきり白黒つけたい、腹を割って話したいという気持ちが、生まれつき強いのかもしれません。ですから、娘さん自身がお父さんとのやりとりをどう思っているのか、一度よく聞いてみてはいかがでしょうか。お母さんとは違う捉え方をしているかもしれません。「主張が違うのだから、ぶつかるのは当然のこと。避けることはできない」という気持ちのほうが強ければ、「衝突を回避する」というほうに向けることは難しくなります。そのような気質に生まれたなら、親に対して遠慮なくぶつかる経験を積みながら、大人としての「うまい衝突のしかた」を覚えていくわけですから、衝突の経験は必要です。時々気持ちを聞きながら見守っていくしかありません。ただし、それを見ていてつらいお母さん自身の気持ちは、伝えてみてもいいかもしれません。
感情をコントロールすべきは父親
お母さんは、そのサポートを
気になるのは、お父さんが手近にある物を投げつけるということです。たとえ相手にけがをさせることがなくても、言い合いの相手になっている娘さんや、周りで見ている他の家族が怖いと感じるようであれば問題です。どっちもどっちとはいえ、親と子の立場の違いがあります。お父さんのけんかのしかたについては、親同士で話をしたほうがいいかもしれません。そのときも、「悪いことだから、やめてほしい」と言うのではなく、「カッとなりやすいお父さんがどう自分をコントロールするかを見せることが、良い手本になる。子どもにどう育ってほしいかを考えて、それを親が実際にやって見せれば、将来必ず子どもの役に立つ」ということを念頭に、子どもにどんな大人になってほしいと思うか、お父さんがどう行動するのが理想的か、お父さんの希望を聞いてみましょう。
子どもは親が教えたようにではなく、親がやって見せたように育つものです。イメージが固まったら、まず次のけんかのときにどうしたらいいか、いろいろな案を出してみましょう。「お前は〇〇しなさい」と子どもを叱るだけではなく、「そういうふうに返されると、お父さんは腹が立つ」と、自分の気持ちも言葉にしてみれば、娘さんも違った表現をするかもしれません。物を投げる前にその場を離れれば、物を投げなくて済みます。いろいろな変え方が考えられますが、どのやり方がうまくいくかわかりませんから、試すつもりでいろいろやってみましょう。また、お母さんの立場からできることは何かあるかを確認しておきましょう。たとえば、お父さんが大声を出したら「ほどほどにね」と声をかけるというのは、通常は火に油を注ぐ行動です。しかし、事前に二人で話し合い、お父さんの希望するタイミングで、お父さんの希望する形で声をかければ、それをきっかけに冷静になれるかもしれません。けんかが始まると冷静でいられませんから、始まってしまった後でできることがないかどうか、お父さんの意見を確認してみましょう。
もちろん、娘さんが「けんかをしたくない」と望むのであれば、この話し合いを娘さんとすることもできます。月に一度起こるけんかも、娘さんの将来の役に立つ経験となっていくとよいですね。
Vol.45 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2018年10月号掲載