子供の考える力・書く力はこうすれば伸びる!

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子育て相談 Vol.46

今月のお悩み

しつけ

子どもをご褒美で釣るのはやはりダメなことでしょうか……?
宿題でも習い事でも、普段はだらだらとしている息子(小2)ですが、「おかし」や「ジュース」をチラつかせると驚くほどの集中力を発揮し、頑張ります。
親(父)としては、自発的にやってほしいと思ってはいるのですが、だらだらとしているのをみると、つい、「早く終わらせたら、おかし買ってあげるよ」と言ってしまいます。このまま、ご褒美で釣るということをくり返していていいものでしょうか?

先生の回答

子どもにやり遂げた達成感が伴えばOK
“ご褒美”との上手な付き合い方を教えましょう

ご褒美をやる気を奮い立たせる道具とする

 ご褒美で釣れば動くけれど、それをくり返していては、ご褒美で釣らなければ動かない子になってしまうのではないか、と心配しておられるようです。確かに、「お菓子を買ってあげる」と釣って、宿題をやらせる、ということを積み重ねると、ずっとご褒美で釣らなくてはいけないことになるかもしれません。
 やらなければいけないとわかっているのに、いまいちやる気が出ないというとき、大人も自分の目の前にニンジンをぶら下げる、ということをします。自分のやる気をうまくコントロールするための方法です。子どもも、自分で自分のやる気を奮い立たせることができるようになるといいですね。なかなかやる気が出なくても、「宿題が終わったら、おやつにしよう」「宿題が終わったら、遊びに行こう」というふうに、終えれば楽しいことができるとわかれば、重い腰を上げることができるかもしれません。このようなご褒美は、子どもに「しなくてはならないこと」への取り組み方を教える道具です。やる気が出ずにだらだらと過ごしても、宿題で達成感を感じることはできません。ですが、ご褒美を目標に取り組めば、自分で取り組めた、最後までできたという達成感を得ることができます。その後おやつをおいしく食べられた、友だちとも遊べた、という体験も、セットで積み上げることができるでしょう。

大切なのは気持ちのステップが適切に踏まれていること

 子どもがだらだらと取り組んでいたら、その先のことをイメージするようサポートしてみましょう。たとえば、「宿題が終わったら何する?」と話しかけてみます。やりたいこと、楽しいことをイメージしてみることです。何の予定もないとだらだらと時間がかかるのに、遊びたい一心ですぐ終わるというのは、よくあることです。終わったら、そのことを確認しましょう。決して「ほら、早くやればすぐに終わるだろ」などと押し付けず、本人にその体験を言葉にさせることが大切です。「お! 15分で終わったね。早いなあ。どうですか、感想は」などと声をかけてみましょう。ご褒美のために取り組む→早く終わる→ご褒美が手に入る、という体験をくり返すうちに、自発的にその先のご褒美を見つけ、早く取り掛かろう、早く終えようと考えることができるようになります。
 このように、子どもが自分のやる気を奮い立たせるために、うまくご褒美を使えるようサポートするのは、悪いことではありません。ですが、子どもの気持ちについてのステップを踏まず、ただ「ご褒美をあげるよ」と釣って動かすことをくり返すと、どうでしょう。子どもにとっては、とにかく終わりさえすればご褒美が手に入る、ということの積み重ねです。これでは、ご褒美がなければ動く意味がない、ということを教えることになりかねません。動かすためだけに釣る、という使い方はお勧めできません。

低学年のうちは〝親の笑顔〟で充分。
親が〝ペースメイク〟しても

 ご褒美とうまく付き合う方法を教えていきましょう。また、子どものやる気を引き出すものは、モノとしてのご褒美とは限りません。特に低学年のうちには、宿題を終えたときの親の態度も、「やって良かったな」「うれしいな」と感じられるような、大きなご褒美となります。親が笑顔で一言「やったね」などと、子どもの行動を喜び、認めて、言葉にして示すとき、子どもはそんな自分を誇らしく感じます。このような言葉がけには、モノを与えるときのような副作用がありませんから、大いに活用してください。ただし、褒めすぎには注意しましょう。「偉いね」「すごいぞ」と持ち上げなくても、親の満面の笑みと、「終わったね」「宿題やったね」と事実を喜ぶ言葉がけで、子どもは満足することができます。子どもが求める以上の褒め言葉をかけることは、子どもの主導権を奪うことになり、やる気をそいでしまうこともあります。子どもの様子をよく観察してください。
 また、宿題など毎日の学習習慣について、反抗期に入るまでは、お父さん・お母さんが一緒に取り組んで「机に向かう時間」をペースメイクするのもいいでしょう。子どもの宿題を見ても良いですし、場合によっては、「これから家計簿つけるよ。一緒に宿題やろう、終わったらおやつ食べようよ」などと誘って、距離を取りながら一緒に取り組んでもいいでしょう。ペースができてきたら、「洗濯物干さなきゃいけないから、先に始めててね」などと任せて、戻った時に「お、始めてるね」「できてるね」などと声かけをしていけば、徐々に一人で取り組むことを覚え、やがて一人で始めるようになっていきます。

Vol.46 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2018年11月号掲載

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