子供の考える力・書く力はこうすれば伸びる!

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子育て相談 Vol.47

今月のお悩み

発表が苦手

普段はひょうきん者なのに、発表が極度に苦手です。
息子(小4)は、クラスでもひょうきんで元気な性格ですが、発表がとても苦手です。1年生の時から授業中に手を挙げたことが一度もありません。みんなの前に出て発表となると、何日も前から「どうしよう」と家でずっとグチグチ言い続けます。「恥ずかしい、間違って笑われるのが怖い」とのこと。「そんなこと大丈夫」などといろいろな角度から励ますのですが、一向に改善しません。発表が近付くと憂鬱になり、学校にも行きたくないとなり、毎日どうしたらよいのか困っています。
普段元気一杯なだけに、先生も不思議なようです。アドバイスお願いします。

先生の回答

素直さ、慎重さの現れ。
話をじっくり聞いてあげてください。

〝ひょうきんな恥ずかしがり屋〟は多い

 ひょうきんな子とひと口に言っても、様々なタイプの子がいます。面白い「こと」に意識を向ける子もいれば、笑ってくれる「人」に意識を向ける子もいます。息子さんは、後者のタイプなのではないでしょうか。子どもには、この「ひょうきんな恥ずかしがり屋」が多くいます。なぜ子どもにだけ多いのかというと、経験を重ねるにつれ、ひょうきんさはサービス精神や優しさ、面白いことを好む明るさへと、恥ずかしがり屋は慎重さや丁寧さ、落ち着きへと洗練されていくことが多いからです。息子さんの特性がどんな花を咲かせるのか、今から楽しみですね。

不安の正体は、「プレッシャー」と「経験不足」

 少し詳しく見てみましょう。発表が近づくと憂鬱になる、「間違って笑われるのが怖い」という発言から、プレッシャーに反応していることがうかがわれます。「うまくやらなくちゃ」という気持ちが強すぎて、自分で自分にプレッシャーをかけているのかもしれません。子どもは大人が思う以上に、「周りから、上手にできること・成功することを期待されている」と感じています。小さなころから、何かができると「上手だね」と褒められ、また、周りの子どもが褒められるのを見てきています。素直な子ほど、成功へのプレッシャーを感じる可能性は高まります。
 また、よりシンプルに、発表の場数を踏んでいない、という経験不足も影響します。発表において、自分がどんなことを求められ、何をすればいいのか、どんなことが起こり得るかということへの予測が、大人ほどうまくはできないのです。未知の場面に対する不安を前にしたとき、慎重な子ほど、想像が膨らんで不安が強まるものです。
 プレッシャーへの対応も、未知の場面への対応も、必要なのはとにかく場数を踏むことです。経験が多くなれば、「どうすればいいか」ということへの心づもりができるようになります。周りが自分に何を期待しているかを理解し、何より、自分が発表の場面で何ができるか、プラスアルファでどんなことをしたいと思っているかが掴めるようになります。すると、「どうしよう」という不安はより具体的な検討に変わっていきます。そこで初めて「もう少しゆっくり喋ろう」とか「人の目を気にしすぎないようにしよう」など、「どうやったらうまくいく?」を考えることができるようになります。現状ではまだ、自分の不安の正体が掴めていないのではないでしょうか。ですから、不安でいるときに、親がどんな言葉をかけても安心が得られず、「でも……」となってしまうのです。

親を聞き手に不安を吐き出させ、不安を有限化する

 プレッシャーに向き合うとき、心配事を全部書き出してみる、というテクニックがあります。正体の掴めない不安を心の中にとどめておくと、同じことを延々と考え、不安だけが無限に膨らんでしまいがちです。ですが、それをいざ具体的に紙に書き出してみると、無限ではないことがわかります。有限の課題であることがわかれば、「克服できるかもしれない」という気持ちがわいてきます。
 お子さんが中学生ぐらいになれば、一人で書き出してみるということも可能かもしれません。ですが、小学生のお子さんに対してはぜひ、親が不安を受け止めることから始めてみてはいかがでしょうか。子ども自身、自分が何を恐れているのか、まだはっきりとはわかっていません。親の感覚で「こういうことよ」と決めつけずに、子どもの感性と言葉を使って、その不安がどんなものなのか眺めてみましょう。「どうしよう」と言い始めたら、「発表のことが心配なんだね。どんな感じ?」と耳を傾けます。「恥ずかしい」というかもしれません。「どんなことが恥ずかしいの?」と掘り下げてみます。親が落ち着いて、安心したトーンであれば、子どもも安心して不安を吐き出すことができます。たくさん話しを聞いて、「そうか。これと、これと、これが心配なんだね」と親がまとめることで、正体不明の無限の不安が、掴むことのできる有限な課題に変わるかも知れません。

励ましが逆効果になることも

 「あなたなら大丈夫」「きっとうまくできるよ」という励ましは、プレッシャーと戦っている子どもにとっては「親がこんなに自分に期待している」というプレッシャーの上塗りになりかねません。また、自分はこんなに嫌だと思っていることを、親はわかってはくれないという気持ちになる可能性もあります。ですが、子どもの不安を「そういうふうに思ってしまうとしたら、それは心配だよね」と受け止めたうえで、「でもお母さんは、そこまで心配はしてないよ。だって~」と親の考えを伝えるのであれば、子どもの不安への支えになる可能性が出てきます。まずは親が安心していることが大切です。どんと構えて、子どもの不安を受け止めてあげてください。

Vol.47 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2018年12月号掲載

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