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子育て相談 Vol.5

今月のお悩み

生活について

反抗期で、お稽古事もさぼりがち……。
上手にリードする方法は?
小学5年生の娘です。最近、親の言うことに素直に従わない上に、何かと言えば「うぜぇ」などと汚い言葉を口にします。
私も働いていることもあり、「反抗期なのでしょう」と聞き流してはいるのですが、週1回の塾とピアノ教室に「めんどうくさい」と遅刻と欠席を繰り返していることには、腹が立って仕方ありません。
反抗期の子どもを上手にリードする方法などありましたら教えてください。

先生の回答

子どもは、親もとで、安全に反抗しながら、葛藤と決断を重ねることで自立していきます。

反抗期は大人になるためのステップ

 10代は、子育ての中で最も難しい時期かもしれません。ついこの間まで素直で何でも話してくれた可愛い我が子が、急に変わってしまう時期です。イライラして、口答えをしたり、親を避けたり。親は戸惑うばかりです。
 赤ん坊は生まれたとき、自分では移動することも、食べることもできません。そこから親の手を借りて成長し、7年もすれば、身のまわりのことはおおよそ自分でできるようになります。そしてそこからさらに10年以上かけて、経済的にも精神的にも自立した大人になっていきます。
 小学5年生の子どもは、親から見ればまだ子どもです。ですが、彼らはすでに親からの自立を見据え、大人になろうとしています。そのためのステップとして、反抗期はとても重要なものです。

反抗期の子どもを従わせようとするのはNG

 反抗期の子どもには、それまでの人生で培ってきた、大人への信頼感があります。同時に、大人から自立するために距離を置きたいという意志があります。根底にある信頼感と、自立への強い意志が、無意識の葛藤を生みます。日常の出来事に対して、常に「大人に従っていたほうがいいのかも、まだ自分ではできないのかも」という不安を感じます。それをかき消そうとして、「私にはできる、大人には従わない」という反抗が起こるのです。
 ですから、この時期の子どもに「従いなさい」と言うことは、「あなたは自分では決められない、できない人間だ」というメッセージを送ることになります。これは、子どもの持っている信頼を揺るがします。「やはり大人は信用できない」と感じさせ、子どもの中に「親と私」という対立を作り、反抗を余計に激しくします。また、必要以上の口出しは、子どもから自分自身で「問題に向き合い、決断する権利」を取り上げることになります。子どもはそのことに怒りを感じます。
 一方、「あなたはもう自分で決められるよ。私はいつもここで見ているよ」というメッセージを伝えることができれば、子どもは大人を信頼します。自分で問題を見つめ、できるかもしれない自分と、できないかもしれない自分の間で葛藤します。これこそが、自立のための健全なプロセスです。葛藤の中で子どもはイライラし、親に八つ当たりすることはありますが、それは必ずしも親を否定するための反抗ではありません。

一人前として扱うことで、ルールを守ってもらおう

 週一回の塾とピアノ教室をさぼりがちなことについては、娘さんと一度しっかりと話し合いをすることです。まず、塾とピアノ教室に行くか行かないかは、もう子ども自身が決めていいことだということを、親自身がよく理解してください。親がどんなに行かせたくても、行きたくないものを無理に行かせることはできません。
 ただし、お金を出しているのは親です。きちんと通わないなら月謝を払わない、という選択は、親にあります。
 「お母さん、あなたが最近、塾やピアノに遅刻したり、休んだりすることについて、とても困っているの」と、話し合いを持ちかけてください。なぜ塾に行くといいのか、ピアノを続けることは子どもにとってどんないいことがあるのかを話しあってください。
 そして、行くかどうかを決めるのは子ども自身であること、ただし、きちんと通えないならお金は払えないということを、はっきりと伝えてください。
 この話し合いの目的は、「きちんと通います」という言葉を引き出すことではありません。「私はあなたを一人前の人間だと認めて、あなたに任せます。ただし、一人前であるならルールは守ってもらいます」というメッセージを伝えることです。毅然と、穏やかに、「成熟した大人」の手本となれるような態度で臨みましょう。

「うぜぇ」は、むしろ喜ばしい。どんどん任せていこう。

 子どもの言葉遣いに関しては、この時期の子どもは、心の底から親がウザいものです。親は相手がまだ子どもだと思っていろいろな手出し口出しをしてくるのですから、当然のことです。
 ですから、「うぜぇ」というのは、子どもからの「もう、子ども扱いしないで」というシグナルです。子どもに「うぜぇ」と言われたら、子どもがそこまで成長したことを喜び、そのウザいという気持ちを素直に伝えてくれたことを喜び、そして手出し口出しをすることをやめましょう。そのときどきで、お小遣いの使い道、習い事、進学など、子どもが自由に決めていいことを、どんどん子どもに任せていきましょう。
 子どもは急には大人になれません。安全な親もとで、安全に反抗しながら、自分で葛藤して決断を重ねていくことで、安心して自立していくことができるのです。

Vol.5 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2014年12月号掲載

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