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子育て相談 Vol.50

今月のお悩み

叱り方

父親として上手に叱りたい。
小学4年の息子と、1年の娘の父親です。子どもたちの叱り方について悩んでいます。
日々の注意は妻に任せていることもあり、たまに私が厳しく叱っても、子どもたちは内容よりも、「何をそんなに怒っているのか」ときょとんとしたり、よりすねて泣いてしまったりし、最後は、妻が出てきてなだめなくてはならない……といった展開になることが多いです。
私としては、弱い者いじめにつながるような物言いや、ひねくれた物の見方などが目に付いたそのとき、その場でぴしっと叱っておいてやりたいだけなのですが……。

先生の回答

「叱る」より、「親の価値観を伝える」と捉えましょう。

叱る必要があるのは危険なことをしたときだけ

 必要と感じるときに父親からはっきりと叱っておきたいというお気持ちは大切です。思いが通じるような伝え方ができるといいですね。
 親が「上手に子どもを叱りたい」と言うとき、どこかに「自分が正しい。自分の言うとおりに行動させたい」という気持ちがあります。ですが、たとえ親の言い分が正しくても「あなたはそれではいけない。こうなりなさい」と言われると、子どもは反発します。
 では、どうやって子どもを叱ればいいのでしょうか。まず叱るということを理解しましょう。子どもを叱る必要があるのは、子どもが、子ども自身を含む誰かにとって危険なことをしたときです。たとえば、ふざけて道路に飛び出す、棒をくわえたまま歩く、刃物を出しっぱなしにする……こうしたときには叱りましょう。声をかけて、今していることを止めさせ、何が危険かを伝え、強い口調で禁止します。「飛び出したら車にひかれる。道でふざけちゃいけない。わかった?」
 生まれつき、どちらかというと慎重な、気の小さいタイプの子ほど、こうした「説得」がよく入ります。親が何を恐れているか(たとえば、自分が車にひかれてしまうこと)を理解し、親と同じように恐れ、そのリスクを把握し、取り除こうと努めます。幼いうちは特に、言えばわかるという点で、親にとっては「しつけやすい子」かもしれません。
 一方、どちらかというと大胆で物怖じしないタイプの子には、こうした「説得」はあまり効果が見られないかもしれません。「何回言ってもわからない」「叱っても響かない」などと親は思います。彼らは、親の言い分が理解できても、親の言う悪い結果をあまり恐れません。成長の過程で何度か痛い思いをして、徐々にそのバランスを身につけていきます。このようなタイプの子には、今、目の前に危険が迫っているときには、優しく言って聞かせる場合ではありません。親も大声で怒鳴ったり、乱暴に腕や肩を掴んだりして、止めたり、言うことを聞かせたりしなければなりません。それだけに、こういう子の場合、叱らないで済む場面で親子の信頼関係を確かなものにすることが大切です。「この人の言うことは一応聞いておこう」という信頼感が芽生えれば、話が通りやすくなります。親を立てよう、という動機によって、親のコントロールを受け入れさせるということです。

すぐに変わることを求めず繰り返し、明確に伝える

 さて、ご質問にある「弱い者いじめにつながる物言い」や「ひねくれた物の見方」への対応ですが、これは上記の「危険な場面」にはあたりません。ですので、これは「叱る」ではなく、「親の価値観を伝える」と捉えるほうが良いでしょう。「こういうのがあるよ」と種をまき、子ども自身が考えて、それがいいなと思えば、自分からそちらを選択していきます。
 「その言い方はやめなさい!」ではなく、「お父さん、その言い方は好きになれないな」と投げてみてはどうでしょう。子どもが「なんで?」と乗ってくれば、「その言い方は、弱い者いじめみたいじゃないか。弱い者いじめは、お父さんは嫌いだ」と説明します。子どもは、すぐには反応しないかもしれません。それでも、今すぐ変わることを求めるのではなく、種をまくように、くり返し伝えていきましょう。
 大切なのは、理念を明確に、手短に、正しく伝えることです。ふざけて「弱い者いじめをすると、女の子にもてないぞ」などと、本筋と関係ないことを言うと、子どもは真面目な話ではないと判断します。特に慎重なタイプの子によく伝わるよう、本質を手短に伝えるよう努めます。

普段の信頼関係が“聞く耳”を育む

 そしてもうひとつ、普段から親子の関係をしっかりしたものにすることです。親の意見に敬意を払おうと思わせることです。そのためには、ほめる・叱るという次元の関わりではなく、「今月・今週・今日」の我が子への理解が求められます。その子が今何に興味を持って、何に取り組み、何に苦戦しているのか。何が好きで、何を克服したのか。新しく出会った苦手なものは何か。今の子どもへの深い理解があれば、子どもの発言や行動の意図を汲むことができます。子どもの意図がわかれば、かける言葉を選ぶことができます。子どもの能力がわかれば、子どもが理解できる言い方を探すことができます。そして自分を理解しよう、寄り添おうとする親に、子どもはより敬意を払うようになります。

Vol.50 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2019年3月号掲載

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