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子育て相談 Vol.52

今月のお悩み

友だち付き合い

要領のいい友だちに振り回されてばかりの娘に、ヤキモキしています。
3年生の女の子です。クラスに要領のいい友だちがいて、たびたび振り回されて困っています。
一緒に駄菓子屋に行ったときは、うまいこと言われて奢らされていたし、遊ぶ約束をすっぽかされるのはしょっちゅうです。娘は要領がよくないほうなので、見ている私が一人でヤキモキしている状態です。
どうしたらいいでしょうか。

先生の回答

人付き合いのスタイルは人それぞれ。
お子さんなりの選択、解決を尊重しましょう。

 そういう子っていますよね。要領がよく、自分勝手なようでいて、すっと人の心の中に入ってくるような魅力のある子。ちょっとずるいと思われることもあるかもしれません。

子ども自身にも思うところがある

 お子さんは、そのお友だちのことをどう思っているのでしょうか。利用されてばかりで嫌だと思っているのでしょうか。あるいは、少し困ったこともあるけれど、一緒にいれば楽しいと思っているのでしょうか。嫌だと言っているのに何かを強要されるとか、暴力を振るわれるなど、いじめられている様子がないのであれば、親はむやみに子どもの友だち付き合いに口を出さないほうがいいでしょう。
 お子さんはあまり要領がよくないということですから、大人の視点からは、一方的にやられてばっかりでかわいそう、という印象を持つかもしれません。ですが今、お子さんはお子さんなりに、人との付き合い方を学んでいるところです。お子さん自身が、うれしかったり、悲しかったり、楽しかったり、悔しかったりする体験を重ねる中で、自分自身の価値観に気づいていきます。遊ぶ約束をよくすっぽかす子とは、どう付き合ったらいいのか。大事な約束のときにはどうするのか。約束を守ることが、自分にとってどのくらい大切なことなのか。自分のお金の使い方の妥当性や、感謝すること、対等なやり取りなどについて、子ども自身にも思うところがあるはずです。
 自分にかかる負担と、相手に感じる魅力をはかりにかけて、どこかのタイミングで、何らかのアクションを起こすかもしれません。もやもやした気持ちを抱えても、特にアクションは起こさないかもしれません。それを決めるのはお子さんの価値観であり、持って生まれた性格の傾向です。大人になってからも、お子さんが自分らしく生きていくためには、お子さんがお子さん自身のことをよく理解している必要があります。思春期の入り口に立とうというこの時期、まだ親の翼の下にいるうちに、少し付き合いの難しいお友だちと関われていることは、むしろラッキーと言えるかもしれません。

まずは、親の気持ちを整理

 親として、子どもが自分の気持ちや価値観を理解し、自分なりの関わり方を見つけていくのをサポートしていきたいものです。そのためにはまず、親の気持ちの整理をする必要があります。親子で人付き合いのスタイルが違うと、「私ならこうするのに」とヤキモキして、ストレスを感じるかもしれません。ですが、あなたが今までの人生で身につけてきたやり方は、あなたが、あなたの性格によって、あなたの周りの環境から学び取った、あなただけの特別なものです。それがお子さんの性格や、置かれた状況に合うかどうかはわかりません。子どもにとって大切なのは、正解を知ることより、自分なりの答えを求めるプロセスを経験することです。困ったなと思ったとき、その問題に向き合い、自分なりの解決を導く経験が、これから生きていくための力になります。親とは違う選択をする子どもを優しく見守ることで、親が指示を出すよりずっと大きな成長を期待することができます。

「嫌だったら断ってもいい」、「思いの伝え方」などは教える

 いくつかの大切なことは教えておきましょう。嫌だと思ったら断ってもいいということは、知っておく必要があります。自己主張したいのに、うまくできないという場合、ロールプレイでその場面の練習をしてみてもいいでしょう。お子さんとお友だちのいつものやり取りの中で、なかなかうまく言えない、伝わらないと思うことがあったら、「どういうことを伝えたい?」「どういうふうに言ったらいいんだろう」を一緒に考えていきます。たぶんこうだろう、という結論が出たら、親子で考えたやり方で、ロールプレイをしてみます。お子さん役のお母さんが、お友だち役の子どもに伝えてみます。子どもはお友だちのことをよく知っていますから、どういう反応があるか想像するでしょう。うまくいきそうだったら、役割を交代して練習です。言い回しを実際に言葉にして声に出してみること、そういう場面を想像して心の準備をしておくことで、思ったよりずっとうまく反応できるようになるものです。
 また、お金のことや、時間についての価値観は、友だち関係に口を出すという場面ではなく、生活の中のさまざまな場面で、ひとつの考え方として伝えていくと良いでしょう。

Vol.52 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2019年5月号掲載

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