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子育て相談 Vol.57
自主学習
- 自由に…と言われると書けない。
- 3年生になってから「自主学習」の宿題がでるようになりました。1年生の時から毎日でている漢字の書き取りや算数ドリルの宿題はきっちりできるのですが、「なんでも自由に」「自分の好きなように」と言われると何をすればいいのかわからなくなるようで、なかなか進みません。私がアドバイスをすると余計に悩んでしまいます……。
先生の回答
お子さんと興味を共有しつつ、“好奇心”を段階的にサポートしましょう。
漢字の書き取りなど、与えられた宿題がきっちりできるということは、お子さんには、学習の習慣がついているということです。お子さんは頑張っていますね。そして次のステップとして、自主学習に取り組む機会を得ました。お子さんにとっても、手ごたえのあるステップアップだったようです。この取り組みをうまくサポートして、自信につなげられるとよいですね。
自主学習の目的は?
自主学習が目指すのは、自分が現在抱えている課題に気付き、対処する能力を身につけることです。適切な学習方法を探して取り組み、結果を検証することで、自分なりの学習スタイルを確立することができます。まずはそのことをお子さんと共有しましょう。苦手なテーマや、つまずきを抱えた単元では、基礎をしっかりと身につけることが求められます。興味のある単元で、基礎への理解が充分であるならば、学校で示された枠を超えて発展的な内容に取り組むこともできます。
「勉強のしかた」は、身についている?
小学3年生というのは、自分で学習計画を立てて取り組んでいく力が芽生える時期です。学校での学習を通して、例えば漢字を書いて覚え、時間を空けて小テストで確認し、できなかったものを選んでもう一度覚える、というような手順を理解します。わからないことは辞書や図鑑で調べること、結果を一枚の紙に見やすくまとめたり、感想を文章で表現したりすることも経験します。そのような、ごく一般的な「勉強のしかた」がひと通り身につくことが、学習計画を立てる基礎となります。
同時に、自分自身の学習についての知識も、少しずつ得られているのではないでしょうか。国語が得意で社会は苦手とか、計算ミスは少ないけれど文章題を読み飛ばしてしまうとか、様々な傾向があると思います。自主学習において、この部分の認知が求められるようになっていきます。自分に何ができていて、何ができていないのかを知る必要が出てくるのです。
「課題発見力」を伸ばすには?
どうすれば、そんな課題に気付く力を伸ばすことができるのでしょうか。子どもが85点のテストの答案用紙を持って帰ってきたとします。「やり直しなさい」と機械的に求めるのではなく、まずは結果を振り返ってみましょう。この時、親が「計算ミスがある」とか「文章題を読み違えた」などと指摘するのではなく、お子さんに分析させてみてください。まずよくできたところの振り返りです。子どもに説明させるといいでしょう。「そうだね、よくできてる」と認めることを忘れずに。そして次に正解できなかったところを見て、なぜ間違えたのかを優しく質問していきます。お子さんは自分でなぜ正解できなかったかを見つけると、「あ!」と言葉にするでしょう。それをきちんと聴いてください。お子さんの「あ!」が、課題を発見し、次に進めていこうとする入口になります。この時、親の責めるようなニュアンスに気を付けてください。ここで責めると、振り返りが嫌いになります。このように、自分の課題を発見し、それを修正し、正解を得ることをくり返すうちに、子どもは課題発見力を高めていきます。何度かくり返して要領がつかめれば、自分で進めていくことができます。親はなるべく言葉少なく、アドバイスや指示を控えてニコニコと寄り添い、子どもの発見を促します。そして、子どもが見つけた課題を補強するような内容を選んで、自主学習とすればよいのです。
「どうして?」と聞かれたら?
一方、自主学習で発展的な内容を扱うのは、ハードルが高いと感じるかもしれません。教科書だけを見て取り組むのは困難ですが、暮らしの中で「これ習ったな」「学校でやったな」と思うものに出会ったら、それがチャンスです。学校で習った原則がどういう形で表れているかをまとめ、さらに他の例や例外を探すことで、ひとつの研究になります。例えば、学校で植物の構造について習い、ニンジンは根、ホウレンソウは草の部分を食べていることを学んだとします。では、スーパーで売っている他の野菜はどうでしょうか。ブロッコリーやレンコンやモヤシは、植物のどの部分にあたるのでしょうか。ここでも質問が役に立ちます。何気ない会話の中で、「ブロッコリーって、どこを食べてるの? 葉っぱ?花?」などと質問されるうちに、子ども自身が疑問を持ち、調べ始めたら、お子さんはもう次の段階に入っています。
そのために、お子さんが「どうして?」と質問してきたら、適当に答えるなどせず、「本当だね、何でだろう」と、お子んの興味を共有するようにしましょう。そして、親が適切な答えを与えるより、お子さんが好奇心に沿ってあれこれ調べられるような環境を整えるとよいでしょう。調べ方を教えたり、一緒に図書館に行ってみたり。その中からお子さんは自主学習の基礎を身につけていきます。ぜひお子さんと一緒に楽しんでください。
Vol.57 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2019年10月号掲載