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子育て相談 Vol.59

今月のお悩み

ママ友からの苦情

ママ友が、子ども間の問題をいちいち連絡してくるのですが……。
小5の長女は、近所に6人の仲良しがいて、一緒に登校したり、下校後にお互いの家を行き来したり、内何人かとは習い事も一緒です。娘は口調がきついところがあるのか、6人の内2人のお母さんから苦情めいたメールがこれまでに2回ほど来ました。私としては、すぐに仲良しに戻れるのだから、いちいち連絡してこないでほしいと思っています。(簡単にお詫びのメールは返していますが、娘に苦情のメールがあったことは特に伝えていません)
娘に対して、ママ友に対して、それぞれよい対応法を教えてください。

先生の回答

ママ友には、自分自身の考えを整理した上で、子どもには、「対人スキル向上」をポイントに対応。

 ママ友というのは独特な関係です。ママ友付き合いに負担を感じるお母さんが多いのは、ママ友同士の関係が子ども同士の関係に影響してしまうと考えると、慎重にならざるをえないからかもしれません。ママ友への対応を考えるにあたって、まずご自分の考えを確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。

親同士の認識を確認する場合と、しない場合と

 ご質問から、子ども同士はすぐに仲良しに戻るのだから、いちいち親同士が連絡する必要がないというお考えのようです。確かに、子どもが親の手助けを求めたり、教育的な指導が必要な状況であったりしない限り、親が子どもの人付き合いに介入するのは不自然です。お母さんとしては、日常的で些細なトラブルにその都度介入するよう求められているようで、負担に感じているのかもしれません。
 先方はどのような考えで連絡をしてきているのでしょうか。もしこちらと同じような考え方をしている場合、考えられるのは、子どもに相談された結果、ママ友同士が話し合うのがよいと考えている場合、または、事態をもう少し深刻にとらえており、教育的な指導が必要であると考えている場合などです。いずれにしても先方は、子どもたちの状況に関して、こちらとは違う捉え方をしているようです。ママ友同士が、お互いの認識の違いを知り、情報交換することは、お互いの役に立つかもしれません。
 もし先方が、こちらとは全く違う考えを持っている場合はどうでしょう。たとえば、子どもの友だち関係について、積極的にアドバイスしていきたいという場合。あるいは、苦情を入れているつもりはなく、単純にママ友同士の結束を高めるための情報共有として連絡をしているという場合などです。このような場合も、向こうの意図を理解するためには、話し合いが必要になります。
 ただ、先方の話をじっくり聞き、こちらの立場を丁寧に伝えるには、ある程度のエネルギーを要します。聞き方や伝え方にも気を遣います。そういった気遣いが負担だと感じるなら、卒業までの一年ちょっとの付き合いと考えて、このまま様子を見るというのも選択肢になるでしょう。いずれにせよ、2人からそれぞれ1回ずつ連絡がきただけということであれば、今のところ、たまたまそういう時期であったというだけのことかもしれません。もし向こうから明確な要望がないのであれば、特別な対応をしなくてはと考える必要は、今はまだないかもしれません。

“わたしメッセージ”で、子どもの対人スキルを育む

 娘さんへの対応はどうでしょう。こちらはママ友と違って、もう少し積極的に関わっていきたいと思っておられるかもしれません。苦情のメールを親同士の問題と捉えたなら、子どもに伝えないのは正しい選択です。子ども同士の関係にも、親が口を出す必要はありません。ただ、もし娘さんの口調について、お母さんから見てもきついと感じることがあるなら、その気持ちを伝えることは、娘さんの対人スキルを伸ばすきっかけになるでしょう。
 このとき大切なのは「わたしメッセージ」で伝えることです。「わたしメッセージ」とは、自分を主語にして伝えることです。たとえば「そういうふうに言われると、責められているようで辛い」などというのが「わたしメッセージ」にあたります。対する「あなたメッセージ」は相手を主語にする伝え方で、「あなたは言い方がきつい」などがこれにあたります。「あなたメッセージ」は評価や命令と受け取られやすく、反発を生みやすい伝え方です。一方「わたしメッセージ」は起こったことのフィードバックであり、素直に受け取られやすい伝え方です。
 また、フィードバックするときはより具体的に伝えたほうが、娘さんにとって役立てやすい情報となるでしょう。ひと言に「きつい」と言ってもいろいろあります。ことばのチョイスが乱暴なのか、声の調子が攻撃的なのか、一方的に決めつけるような言い方なのか、ストレートすぎて相手を驚かせてしまうのか……。指摘するだけでなく、アドバイスや、お母さん自身が工夫していることを伝えるのも良いでしょう。普段、コミュニケーションでどのようなことに気を付けているか、どうしたらよいと思うかなどです。これも「わたしはこうしている」「わたしはこう考えている」とわたしメッセージで伝えれば、子どもはそれを選ぶ自由を持つことができますが、「あなたはこうすべき」とあなたメッセージで伝えると、従うか反抗するかになってしまいます。思春期に入る子どもと付き合う上で、ぜひ上手にわたしメッセージを活用してください。

Vol.59 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2019年12月号掲載

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