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子育て相談 Vol.61

今月のお悩み

友だち付き合い

〝学校の都合で、仲良しの役を務めているのではないかと心配です。
 小5の長女の〝仲良しさん〞には、発達障害の傾向があり、成長とともに特徴的な行動が顕著になっているようです。入学当初、親同士の付き合いをきっかけに、子どもたちの行き来があったことから、「二人は仲良し」と定められ、クラスもずっと同じです。家庭訪問の際に、担任の先生に、「そうでもない」と伝えると、先生に「そんなこと言わずによろしくお願いします」と言われてしまいました。彼女がそばにいると、本当に気の合う仲良しができにくいのではないかと気になっています。

先生の回答

自分らしい人との付き合い方が見つかるよう、本人の選択を尊重しつつ、サポートしていきましょう。

親の心配と、お子さんの現状を分ける

 学校からの期待のせいで、お子さんの友だち付き合いが不自由なものになることを心配しておられるのですね。まず、問題を整理するために、親の抱えている心配と、お子さんの現状を切り分けることから始めてみましょう。
 親としては、お子さんがお友だちの世話を押し付けられていると感じているようです。「そんなこと言わずに」と言われて、こちらの希望には耳を貸してもらえず、学校の都合で“仲良しさん”の役割を押し付けられていると感じているかもしれません。だとすれば、気が進まないのは当然のことです。
 一方で、お子さん自身は、そのお友だちとの関係をどう思っているのでしょうか。お子さんの考えを聞いて、整理し、もし課題があるなら、解決方法を探るサポートをしましょう。そのために、コーチングの技法が役に立ちます。
 まず、お子さんの考えを話してもらいましょう。「あなたが〇〇ちゃんの仲良しであることを、先生に期待されているような気がする。そのせいで、あなたが本当に気の合う友だちを作るチャンスがなくなっているんじゃないかと心配」と、親が心配していることを伝えたうえで、「学校で、そのとき組みたいと思う相手と組んだり、遊びたいと思う相手と遊んだりできてる?」などと現状を聞いてみましょう。「あなたは負担に思っていない?」と、“仲良しさん”であることのマイナス面を確認する必要もありますが、それだけでは、親の心配の押し付けになってしまいます。“○○ちゃんといて楽しいと思うのはどんなところ?”と、プラスの側面にも耳を傾けていきましょう。

相手に障害があるからといって、我慢する・諦める必要はない

 一番大切なのは、お子さんの気持ちです。お子さんがどう思っていて、どう関わりたいのか。〝仲良しさん〟であることを期待されることに対して、どう感じているのか。お子さんの気持ちに耳を傾けてください。
 もしお子さんが不満を抱えているようなら、誰への、あるいは何へのどのような不安なのか、よく聞きましょう。学校や先生への不満であれば、子どもだけで対処するのは困難です。どこかの段階で親が介入して、配慮が必要な児童へのケアを、特定の児童一人が担うのは不適切であること、個人ではなく学校としての対応を求めることが必要になるかもしれません。
 相手の子への不満であれば、人付き合いですから、いいことも嫌なこともあって当然です。その行動が発達障害に特有のものであったとしても、障害だから我慢する・諦めるという必要はありません。お互いに歩み寄る努力をして、折り合わなければ、こちらが関わり方を変えるしかないのは、どんな相手でも同じです。されて嫌なことがあるなら、相手を傷つけない方法での主張をうながしましょう。もしほかに遊びたい相手がいて、仲良しさんとの関係が妨げになると思うなら、「今日は他の人と遊ぶ」と言ってよいのです。このコーナーでも何度かお伝えしている『私メッセージ』での伝え方が役に立ちます。「今日の放課後は△△ちゃんと遊ぶから、××するのは明日の昼休みでいい?」「○○されると私も困ってしまうから、××だったら、△△してみたらいいんじゃないかと思うんだけど、どう?」など、具体的な伝え方を一緒に考えてみましょう。

お子さんの長所は言葉にして伝えてあげて

 また、“仲良しさん”という役割との関係はどうでしょうか。子どもの気質によっては、大人の期待には全然反応せず、自分の意志に沿って行動することもあります。一方で、恐らくお子さんのように、周囲の期待に敏感で、言われたとおりに、あるいはそれ以上に頑張ろうとする子もいます。期待に沿おうとする子であっても、状況によって、嫌なのに断れない・断り方がわからないということもあれば、頼られることが誇らしい、期待に応えられる有能な自分でありたいということもあります。お子さんはどんな状況にあるのでしょうか。辛いのにイヤと言えない状況なら、やはり上手な自己主張について考えるべきです。周囲に頼られることを喜んでいて、多少の負担があっても本人の中で折り合いがついているなら、それは本人の選択です。お子さんが自分らしさを見つけるために必要なステップですから、親が過剰に心配する必要はありません。
 そして、この話し合いの中で、ぜひ親からのメッセージとして、お子さんの長所を伝えてあげてください。たとえば、誰とも分け隔てなく仲良くできることは素晴らしいということ。先生に頼られるような、しっかりしたところがあること。親がどんなところを誇らしく思っているか、言葉にして伝えるチャンスです。この先のお子さんの人生が豊かになるよう、サポートしていきましょう。

Vol.61 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2020年2月号掲載

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