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子育て相談 Vol.62

今月のお悩み

子どもの遠慮

「欲しい!」と素直に言いません……。
夫婦共働きで、給料についてぼやいたり、バーゲン品を嬉々として購入する様子を見ているせいか、我が家の子どもたち(小6長男・小4長女)は、習い事やクリスマスの贈り物を選ぶ時など、妙なところで遠慮します。確かに、毎年海外旅行に出かけるなどといった贅沢はさせてやれないけれど、親としてはできる限りのことはしてやりたいと思っています。子どもに子どもらしく素直にやりたいこと、欲しい物を言ってもらうにはどうすればいいのでしょう?

先生の回答

金銭感覚が備われば、「欲しい!」と言えるようになります。

学び、楽しむためにお金を使う大切さを伝える

 子どもの金銭感覚は、大人に比較すれば未熟なものです。まるでお金が無限にあるように無駄使いすることもあれば、ほんの小さな出費をためらうこともあります。また、親が倹約する姿を見ていれば、お金を使わせまいと遠慮することもあります。そんな子どもたちに、教育や楽しみのためにお金を使うことの大切さを伝えていきたいものです。
 例えば親が子どもの前で「お給料が少ない」とぼやいたとします。ぼやいた側の気持ちとしては、職業人として「あんなに頑張ったのに」という思いや、「いろいろ引かれると、手取りが少ないなあ」という思いがあるでしょう。ですが、小学生の子どもにはその細かなニュアンスは伝わらず、「お金が足りない」ということだけが伝わります。子どもには、親の給与を増やすことはできませんし、お金を稼いでくることもできません。できるのは、自分にかかるお金を減らすことです。ですから遠慮は子どもなりの愛情表現でもあります。遠慮をやめさせることはできませんが、金銭感覚を養いながら、子どもの素直な気持ちを引き出すことはできます。

「予算」を提示されることで考えが具体的に

 金銭感覚を養うというのは、より良い暮らしを実現するためにどうお金を使うべきかを知ることです。限られたお金を、だからこそ何に使うかを、子どもと一緒に考えましょう。そのために、「予算」の考え方が役に立ちます。
 「習い事をしたいですか?」と聞かれると遠慮する子どもも、「教育費の余裕が月に8000円あります。あなたの学問や教養を深めるために使うお金です。これをどう使うと効果的ですか」と聞かれれば、具体的・現実的に考えることができます。何かを習得したり、学んだり、経験したりするために使うお金であるということを丁寧に伝えれば、習い事だけでなく「図書館にない本が読みたい」とか「ミュージカルを見に行ってみたい」というような声が聞けるかもしれません。もし教育費にならないもの、例えば「お寿司を食べたい」などと言われても、「それはダメ」というだけでなく、「お寿司は外食費になるので、教育費は使えません。でも、食べたいよね。どうやったら食べられるか、考えてみようか」と、考えを広げていくことができます。
 また、「習い事」とひとくくりにせずに、「趣味として楽しめるもの」「知識や技能を身につけるもの」「健康な体を育てるもの」などのさまざまな角度で切り分けながら、将来の姿をイメージしていくのも良いでしょう。どんな中学生、どんな高校生、どんな大人をカッコイイと思うか話し合い、そうなるために今何ができるかを考えてみましょう。思春期の子どもにとって、自分らしさを見つめるきっかけになるかも知れません。

親が体験や学習に投資する姿を見せる

 親自身が、趣味を楽しんだり、学びを深めたりすることも重要です。子どもに「いろいろなことに挑戦しなさい」と言い聞かせるより、親が挑戦する姿を見せるほうが、はるかに説得力があります。親が学び楽しむ姿を見た子どもは、自然と学び、楽しみ始めます。また、特に遠慮がちな子に対しては、親が率先して体験や学習に投資していくことで、使うべきことにお金を使う大切さを伝えられます。親が「私はいいから、あなたがやりなさい」と言えば、子どもは遠慮したり、プレッシャーを感じたりするかもしれません。逆に、大人がしなくていいようなことなら、子どももしなくていいのではないか、と考えるかもしれません。

お小遣いの管理を任せることで、価値観を育む

 金銭感覚は、お小遣いを管理する経験でも磨かれていきます。ぜひ、子どもにあった金額のお小遣いを渡しましょう。あらかじめ決めた額を決めたタイミングで渡し、管理を子どもに任せます。子どもの使い方に口出しをせず、また安易に増やしたり、前借りさせたりせずに、子ども自身の判断でお金を使う経験をさせます。足りなくて困ったり、買い逃してがっかりしたりすることもあるでしょう。その葛藤の中で、子どもは自分なりのお金の使い方を理解していきます。
 親がバーゲン品を買う時も、「安かったから買っちゃった」ではなく、「欲しかった○○が△△円になっているから、このタイミングで買えてよかった」と伝えれば、慎重さや計画性を養うきっかけになるでしょう。親が工夫して上手にお金を使う姿を見せることが大切です。良いと思う物、必要だと思うことにお金をかけることを通して、親の価値観を伝え、子どもの価値観を引き出していきましょう。
 そのやり取りの中で、子どもの興味・関心や現在の取り組みがわかれば、プレゼントもより適切な物を選べるかもしれません。「遠慮しないで、それでいいの?」と言うより、「○○のほうが× × だからいいんじゃない?」という会話ができれば、子どものニーズをうまく引き出せるでしょう。

Vol.62 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2020年3月号掲載

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