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子育て相談 Vol.64
生活
- 計画力・生活力を育むには?
- 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う臨時休校で、5年生と3年生の兄妹のいる我が家の生活リズムも大いに乱れました。ゲームばかりして宿題をしていなかったり、けんかが増えたり、夫婦共に日中は仕事やパートで不在がちのため、つくづく彼らの計画力・生活力を強化せねばと思っています。
急には難しいかと思いますが、どういったことから始めたらよいかアドバイスお願いします。
先生の回答
“一緒にし続ける決意”と、“できたことを探す姿勢”が必要です。
2月27日の安倍首相による臨時休校の要請は、子どもにとっても突然なことでした。急な休校に戸惑った子も、休みが続いて喜んでいる子もいると思います。いずれにしても、学校という管理された場から、一気に自己管理しなければならない場へと子どもは放り込まれたのです。予期せぬ変更は子どもの心を揺さぶっていることでしょう。加えて、屋内の遊び場の閉鎖などをうけ、いつもの過ごし方ができないことも大きなストレスとなります。それに対応する親たちも、大変なストレスを感じていると思います。仕事で家を空けなければいけない親も、家にいることができる親も、それぞれが大変です。まず、そのような特殊な状況であるということを忘れないでいてください。多少の失態や失敗は、親にも子にもあるものです。このような前例のない非常事態においては、多少のことは目をつぶっても良いのではないでしょうか。
できたことを認めてもらえることでできなかったことが認められる
それでも、これを機に、もっと生活力や計画力を身につけさせたいと思うのであれば、まずはそのような考えについて話し合える関係、話し合う習慣を持つことから始めましょう。小学5年生と3年生であれば、充分親と話し合える年齢です。親はまず、休校中の子どもに対して素晴らしいと思ったことをリストアップしてください。例えば、親がいない間、二人で相談してお昼ご飯を工夫して食べたこと。お兄ちゃんが妹の宿題を手伝ってくれたこと。学校へ行く時と同じ時間に起きて支度をしたこと、など親から見てよかったことを具体的にあげるといいですね。そして、話し合いでは子どもによくできたことは何かを聞いていきます。そして、親がよくやったと思うことも付け加えてください。ここで親がしっかりと子どものできたことを認めることができれば、子どもは自分のそうでなかったことも認めることができます。
次は、もっとこうすればよかったを聞くといいでしょう。ついついゲームに夢中になり、課題に集中できないということであれば、普段から、ゲームの時間のコントロールがうまくできていない、宿題の管理がうまくいっていない可能性があります。それであれば、そのことを意識して、今の日常を一緒に計画してはいかがでしょう。
学校から帰る時間、宿題をする時間、食事やお風呂の時間、お手伝いの時間、テレビの時間、ベッドに入る時間など、毎日決まってすることを時系列に並べていくと、ゲームができる時間は限られます。でもそれは同時に、しなければならないことを済ませてしまえばゲームを楽しむ時間が取れるということです。大切なことは、このような考え方を繰り返し伝えていくことです。そして、どうしたら自分が楽しむ時間が取れるか、子ども自身が考えるようにサポートすることです。「自分で考えなさい」と突き放す代わりに、「そうか、もっとゲームしたいんだ。いつならその時間が取れる?」などと質問するといいでしょう。夜8時以降のゲーム禁止を言い渡されたある小6男子は、考えた末に早起きして朝ゲームすることにしたそうです。
毎日の振り返りの時間を〝うれしい時間〟にする
親の仕事は生活の枠組みを示すことです。子どもはその枠組みに沿って一日を計画し、実行します。伝えたことを表にして、一日の終わりに振り返りの時間を取り、親に報告をする。親が報告を受ける時の態度は、できたことを探す態度です。うまくできたことを認められれば、うまくいった時に使った考え方を応用して、うまくいくことを増やしていくことができます。できて当たり前と思っている親は、ついついできなかったことを見つけて、それをできるように育てようとします。ところができないことに焦点を当てると、自分は何もできない、親の言うとおりにしていたほうが良いということを教えることになり、できないことを増やす結果に終わってしまいます。子どもはただいま進化の真っただ中。将来の幸せな自立を目標に、長い目で見る必要があります。
習慣は一日一日の積み重ねで身につきます。子どもに習慣を身につけさせる時には、親も一日一日の振り返りを面倒がらずに一緒にすることが重要です。子どもにやり続けることを教えたいのであれば、親自身も子どもに付き合ってやり続ける決意が重要です。今から始めればちょうど夏ごろには習慣になっているかもしれませんね。一日5分の振り返りのための時間を、親にとっては子どもの成長を確認する時間、子どもにとっては親に認めてもらううれしい時間にしてはいかがでしょうか。
Vol.64 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2020年5月号掲載