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子育て相談 Vol.65

今月のお悩み

きょうだい

お姉ちゃんらしくふるまってほしいのですが…。
 小学5年の長女は、2年の妹を些細なことで泣かせたり、自分の物を貸さなかったり……とちっとも姉らしいふるまいをしてくれません。あまり期待しすぎるのもよくないのかなと思いつつも、もう少し年下の子に優しく接する姿勢を身につけてほしいのですが、どんなふうに働きかけていけばよいのでしょうか?

先生の回答

親が、上の子の手本になるような方法で、子どもたちと接しましょう。

些細なことで妹を泣かすのは妹のことで我慢してきた証拠

 きょうだいは、よい友達になることもできますが、基本的にはライバルです。上の子がもともと世話好きなタイプだったり、小さな子が好きだったりすれば、ごく自然に弟や妹の世話をしたり、すすんでかわいがったりする場合もあります。ですが、そうでないケースもたくさんあります。きょうだい仲良く 過ごしてもらうために、親に何ができるでしょうか。
 親から見て多少わがままであっても、お姉ちゃんであれば、妹に譲らなくてはいけないと、たくさん我慢してきたはずです。そのせいで、ストレスがたまってくると、どうしても「なんで、お姉ちゃんだからって、妹に譲らないといけないの」というところで爆発してしまうものです。些細なことで妹を泣かすのは、妹のことで我慢してきた証拠だと考えてみてください。お姉ちゃんのせっかくの優しさがうまく表現できるよう、サポートしていきましょう。

まず、親が上の子を存分にかわいがる

 上の子に下の子をかわいがってほしいと思うなら、まず親が上の子を存分にかわいがることです。親が多少の手間を引き受けてでも、お姉ちゃんをかわいがろうという姿勢を見せれば、お姉ちゃんはそれに倣います。親が、「必要なことのためには、お姉ちゃんには少し我慢させなければ」という姿勢を見せれば、お姉ちゃんはそれに倣って、「必要なことのためには、妹にだって少し我慢させなければ」と考えます。小さな子に気を配ってもらう分余計に上の子のことを気にかけ、目を向ける必要があるかもしれません。
 お子さんがまだ小さければ、「下の子を膝に乗せるなら、同じだけ上の子を膝に乗せてください」とお伝えします。ただ、今回のケースでは、お姉ちゃんはもう小学5年生とのこと。もうストレートには甘えてくれないかもしれません。かわいがるにも工夫が必要です。
 可能であれば、親が、お姉ちゃんと二人になる時間を設けてください。ほんの一時間、一緒に散歩に行くなどできれば十分です。この時期、外出が難しいようであれば、ちょっとした家事を手伝ってもらうようにしてもよいでしょう。そして、その間親は、子どもの話を聞きましょう。どんな内容であっても、お姉ちゃんが話したいことを話し、親が耳を傾ける時間にしてください。友だちのことでも、趣味のことでも、流行のことでもよいのです。そのような時間を持つことで、「あなたの話に興味を持っている」と伝えることができます。そしてそのような時間を何回かくり返し持つことで、「いつでもあなたを見ている」「あなたの気持ちを理解したいと思っている」と伝えることができます。
 思春期になると、親に反抗する気持ちが強くなってきますから、一緒に行動することを嫌がるかも知れません。「手伝って」「一緒に行こう」と声をかけ、嫌がったらあまり深追いせず、次のチャンスを待ちましょう。

親の声かけを見直して子どものストレスを軽減

 ストレスが溜まらないような工夫も必要です。まずは親の声かけを見直しましょう。親はつい、できていないこと、直すべきことを注意することに気が向いてしまいます。まずはその、注意する声かけ、叱る声かけを減らしましょう。普段の生活のなかで、今すぐ注意したり叱ったりしなければならないことは、実はほとんどありません。親からのマイナスの声かけがなくなるだけで、子どものストレスはずいぶん軽減します。
 あれっ、と思った瞬間でも、親が声をかけずに静かに見守っていると、少し遅れて自然と適切な行動が見られることがあります。たとえば、使ったハサミを出しっぱなしにするのかと思ったら、少し遅れて片づけた、というようなシーンです。その時にすかさず「ありがとう」と、感謝の気持ちを伝えます。親が見ていてくれる、対等な人間として扱ってくれる、という安心感につながります。もし、見ていても片づけず、どこかに行ってしまったようなときにも、「ちゃんと片づけなさい!」と叱るのでなく、シンプルに「片づけておいて」と伝えれば十分です。そして、声かけに応じて片づけてくれたら、「ありがとう」と返しましょう。これだけで、かなりのストレスが軽減できます。
 もし、妹を泣かせるのが単なる八つ当たりであれば、ストレスを減らすことで、頻度が減っていきます。姉が妹にきつく当たるときの様子を観察してみてください。正論をぶつけて泣かせるような場合は、大人の真似をしていることもあります。努めて、お姉ちゃんの手本になるような方法で子どもたちに接することで、徐々に行動が変わることもあります。子どもは、親が教えたように行動するわけではなく、親がして見せたように行動します。根気よく、接し方を工夫していってください。

Vol.65 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2020年6月号掲載

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