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子育て相談 Vol.66
おうち時間
- 家族そろってのおうち時間が不慣れで……。
- 子どもたち(小6長男・小3長女)だけでなく、夫もテレワークで家にいることが多くなり、夫と長男が衝突することが多くなりました。夫の手料理を子どもたちが喜ばない……などといった反抗期というよりは、家族そろってのおうち時間に不慣れなことがもっぱらの理由です。これからの〝ウィズ コロナ時代〟におけるおうち時間の過ごし方など、アドバイスいただけますでしょうか?
先生の回答
家族は仲間です! 互いを理解することで、おうち時間のバージョンアップをしていきましょう。
家族一人ひとりの気持ちや価値観を理解しよう
今回の「緊急事態宣言」を受けて初めて、親子そろって長期のおうち時間を過ごす経験をした、という家は多いと思います。外出自粛をきっかけとして、家族の知らない一面に気付いたという方も多いことでしょう。同じ家に住む家族であっても、“家で過ごす”ということへの反応は様々です。家にいるのが好きな人と、外に出るのが好きな人。静かに過ごしたい人と、にぎやかに過ごしたい人。規則正しく過ごしたい人と、自由に過ごしたい人。様々な価値観や行動の間で、葛藤も多くあったことでしょう。“ウィズ コロナ時代”におけるおうち時間の過ごし方を考えるには、家族一人ひとりの気持ちや価値観を理解することが大切です。
ゲームばかりするのはなぜ?イライラするのはなぜ?
たとえば、よく聞かれたのが「勉強をせずにゲームばかりの子どもと、イライラして注意する親」の話です。「うちもそうなのよ!」と共感する親はたくさんいますが、実は、それぞれの家で起きていることは、少しずつ違います。共通して言えるのは、ゲームで遊ぶことにまつわるルールが共有されていない、うまく機能していないということです。ですが、もう一歩踏み込んで、ゲームばかりしている子どもの言い分を聞いてみましょう。単にゲームが楽しいから、というだけではないかもしれません。ずっと友だちに会えないのが寂しくて、誰かとコミュニケーションを取るために、オンラインゲームをする子がいます。ずっと誰かと一緒にいるのが息苦しくて、一人の時間を楽しむために、ゲームに没頭する子もいます。体を動かせないせいで眠れずに、時間を潰すためにゲームをしている子もいます。テレビをつけると不安になるからゲームをするという子もいます。ゲームばかりする理由は、決して一つではないのです。
では、親のほうはどうでしょうか。なぜイライラするのでしょう。子どもが言うことを聞かないからでしょうか。もう一歩踏み込んでみましょう。子どもの学力の低下が不安だという親がいます。自分の意見が子どもに尊重されていないと感じてショックを受ける親もいます。ストレスを感じている我が子の姿を見るのがつらく、元気ないい子でいることを強く求めてしまう親もいます。ストレスが溜まっていたので、子どもに八つ当たりをしてしまった、という親もいることでしょう。イライラする理由も、一つではありません。様々な要因が組み合わさって、行動につながっていきます。
家族のストレスを軽減する最善の方法を探そう
質問にあるように、今まで家にいる時間の短かった人が、急に長くいるようになった場合、そこで生じるストレスの原因が何かを知るのは困難です。でもつい、目の前の人をつかまえて、「お父さんは~」「○○君は~」というふうに捉えてしまいがちです。ここはいっそ、全てコロナウイルスのせいにしてしまってはどうでしょうか。家族のメンバーを、大きな困難に立ち向かう仲間と捉えて、仲間の特性をよく観察してください。何にストレスを感じ、どのように対処しようとしているのか。どうすれば、彼らのストレスを効率的に軽減させることができるのか。最善のやり方を探してみましょう。
方法❶
生活の枠組みを共有する
できるだけ、生活の枠組みをはっきりさせておくことが役立ちます。集団生活ですから、起きる時間や寝る時間、食事の時間やお風呂のタイミングなど、決められる手順は決めると良いでしょう。することと段取りが決まっていると、見通しが立てやすくなります。急な変更や、予定外の事態に対するストレスが軽減されます。無理なく規則正しく生活できるように、そして同時に、がんじがらめで息苦しくならないように、大まかな生活の枠組みを共有し、その枠組みを守るよう協力を求めることが大切です。
方法❷
「一人」と「みんな」のバランスに注意する
一人の時間とみんなの時間のバランスにも注意しましょう。みんなで過ごすことで元気になる人もいれば、一人で過ごすことで元気になる人もいます。家族であってもそれぞれ違うものです。一人ひとりに無理がないか注意しながら、子どもの勉強を見たり、家事をしたり、散歩したりする時間を確保しましょう。「聞いて聞いて!」の多い子には、親と一緒にするお手伝いを、一人でぼんやりするのが好きな子には、お風呂掃除や水やりなどのお手伝いを頼むと良いかもしれません。
方法❸
話をする
できるだけ、いろいろな話をする機会を持ちましょう。趣味の話、仕事の話。新しい話、古い話。うれしい話、悲しい話……それぞれが今何に興味を持ち、どんな取り組みをしているのかを共有しましょう。話すことを通じて、お互いへの理解を深め、家での過ごし方をバージョンアップしていきましょう。
Vol.66 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2020年7月号掲載