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子育て相談 Vol.67

今月のお悩み

子どもだけの外出

友だちと出かける範囲が 急に広がり、心配してます。
 小学6年の長女の、友だちだけで出かける範囲が急に広がり心配しています。これまでは学区内・自転車で行ける範囲だったのですが、最近、お友だちだけで電車で30分ほどの街まで買い物などに出かけるようになりました。門限やお金のことなど約束事を決めて任せよう、などと思うのですが、何をどの程度許せばいいのか......。しっかり者ではありますが、まだ小学生です。アドバイスお願いします。

先生の回答

親も同じ冒険の旅に出ています。
冒険心を大切に親子で準備しましょう。

 小学6年生にもなると、親離れは徐々に具体的な行動に表れるようになります。いちいち親の指示を求めるのではなく、自分自身の判断で様々な決断を下したいと考えるようになり、また、その能力も整っていきます。「可愛い子には旅をさせよ」と言いますが、どのように旅をさせたらいいのか悩むところです。子どもの成長に親としても歩調を合わせて、その自立をサポートしていきたいところです。
 何をどの程度任せるかは、親によって異なるでしょう。心配性な親なら、結構細かい注文を付けるでしょう。親自身が大胆な性格なら、「行っといで!」とおおらかに子どもを見送るでしょう。つまり何をどの程度任せるかは親次第ということです。子どもが大人抜きで友だちと冒険の旅に出るとき、親も同じく冒険の旅に出ます。子どもだけで行かせるという旅です。この旅がいいものになるように、親子で準備をしたいものです。その準備について考えてみましょう。

やっていいこととやってはいけないことを設定

 小学6年生のこの時期は、自分たちだけでの行動にワクワクドキドキで、やる気満々です。しかし、彼らの判断力と対応力はまだ十分ではありません。そこで、親がはっきりとした限界設定をすることが重要です。限界設定とは、やっていいことと、やってはいけないことを、はっきりさせておくことです。限界設定をするために、親子で話し合うといいでしょう。
 このとき、何時に帰りなさいとか、こうしてはいけません、と一方的に約束させるのではなく、一緒に考えていくことが大切です。「お母さんは〇〇が心配なのよ」「お父さんは××を心配するよ」と具体的に親の心配を伝えましょう。するとお子さんは、「じゃあ、△△するから」と、親の心配の種を除くような対策を話してくれます。こういった会話の中で、子どもは様々な出来事に対する対応を事前にメンタルリハーサルすることができます。同時に親は、子どもがどう考えているかを知ることができます。その会話の結果、帰宅時間や使ってもいい金額に関しての合意ができあがっていきます。

親との対話こそが何よりのお守りに

 こうして決められる約束事は、家庭によって内容が異なるはずです。他の子がそうするからと言われても、親は「よそはよそ、うちはうち」という態度でお子さんと話し合ったほうがいいでしょう。子どもは実は表面的には親の頑固さを嫌がるかもしれませんが、心の底では大きな安心感に包まれます。
 子どもの成長に伴って、約束の内容は変化します。中学生になれば、行動範囲はより一層広がります。出かける時間帯や使うお金の額も変化します。変化が必要になれば子どものほうからいろいろとアプローチがあるでしょう。「行ってもいい?」「もっとお小遣いが欲しい」「遅くなる」など、話があればその都度対話してください。その親との対話こそが子どもにとっては何よりのお守りになるのです。
 例えば、中学生になった子が子どもだけでアイドルのコンサートに行くと言ったらどうでしょうか。意見が分かれるところです。まず、親がそれは許可できないと思ったら、はっきりダメだと言ってもいいのです。「行きたい気持ちはわかるよ。でもね、まだあなたを一人で出すことはできません」と言ったところから、話し合いが始まるのです。子どもに厳しいと思われるのが嫌だとか、嫌われるのを怖れてはっきりダメと言えないということでは子どもの身を守ることはできません。
 弟や妹がいる家では、最初のお子さんがやったことが基準になります。「お兄ちゃんはやってるよ」と言われたら、「そうよ、あなたも6年生になって、いろいろ判断できるようになったとお父さんとお母さんが思えば出かけられるようになるのよ。それまで待ちましょう」、とはっきりした基準が示せます。

 子どもにとって、「行ってらっしゃい」と見送られることは、親からの信頼を受けての出発になります。その回数が増えていくごとに子ども自身の自信となって育っていくはずです。この時期の、自分たちだけで出かけたいという子どもの冒険心を、大切にしたいですね。

Vol.67 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2020年8月号掲載

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