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子育て相談 Vol.69
“思い込み”
- 小2の娘は、時々、妙なことができなくなって苦しみます…。
- 小学2年生の次女は、時々、妙なことでつまずきます。最近では、ハーモニカで「吸う」音が出せないと言いはり、家族と担任の先生を巻き込んだちょっとした騒ぎとなりました。他にはピアノで連打ができないというものもありました。何か月かに一度、こうした不思議なことを言います。いずれも数日後には普通にできるようにはなるのですが、一度頭でできないと思ってしまうと、体が思うように動かなくなってしまうようで、その間、とてもつらそうです。そんな時の効果的な対処法、克服法などありましたら教えてください。
先生の回答
気持ちに寄り添い、焦らずおおらかに受け止めましょう。
“何とかなる体験”を重ね、心も体も成長します
親の理解しようとする姿勢が何よりの安心材料
「何か月かに一度、こうした不思議なことを言います」とあるように、お子さん本人にとっては深刻な問題でも、周りの大人にとっては全く訳がわからないことが起こることがあります。ご質問の文面からは、親御さんは不思議なことを言い出すお嬢さんに対して、何とかその苦しみを理解したい、よりよく対応したいという思いが伝わってきます。まずその姿勢が、お嬢さんにとっての一番の安心材料ではないかと思います。神経質にならない程度に、優しく見守る姿勢が大切ですね。そんなバカなことはないと、耳を貸さなかったり、軽くとらえて援助を怠ったりすると、子どもは自分に起こっていることを言いづらくなって一人で苦しむことになります。
不器用さゆえか? ─小2の体と脳は発達途上
さて、お嬢さんは体の使い方に不器用さはないでしょうか。人の脳は代前半まで年以上の時間をかけて育っていきます。体の動きに関する機能は2〜3歳ぐらいまでにほとんど整うと言われていますが、最近は小学校に上がるころになっても体の使い方が不器用な子が多いようです。例えば、鉛筆の持ち方が不器用だとか、椅子に姿勢よく座っていられないとかはよく聞きます。子どもは赤ちゃんの頃から様々な動きの中で、基本的な体の動かし方を習得していきます。寝返りを打つ、ハイハイをするなど、赤ちゃんの何気ない動きの一つひとつが人の体の複雑な動きの全てにつながっていきます。小学校年生の体と脳は、まだまだ発達途上です。不器用さが残っていても不思議はありません。今回の「吸う音が出せない」というのも、たまたまそんな不器用さゆえの出来事かもしれません。
プチパニックか? ─緊張や、感受性の強さに起因
あるいは別の可能性として、プチパニックに陥ったということも考えられます。パニックは誰でもあることですね。ゴキブリやヘビに出会うとパニックになる人、大切な用事を忘れていたことを突然思い出してパニックになる人など様々です。多くは少しの時間を経て冷静になって終わるのですが、時にそのパニックがはっきりと記憶に残り、ゴキブリのことを考えるだけで身体的な反応をしめすことがあります。つまり、想像するだけで鳥肌が立つような状態です。これもよくあることかもしれません。お嬢さんは、「あれ! 吸えない! 音が出ない」と思った瞬間、そのプチパニックが瞬時に記憶に残り、「吸えない、音が出ない」と強く思いこんでしまった可能性があります。脳が強く思いこむと、体の反応として出てきますから、実は何の問題もないのに吸う音が出せないということになってしまいます。この時の彼女が置かれた状況も関係があります。上手に吹くことを求められて緊張していた。あるいは、普段から何事もきちんとやらないと気が済まない性格的要因もあるかもしれません。お嬢さんの数か月に一度の不思議な出来事は、彼女の感受性の強さから来ているかもしれません。
それぞれの対応法
さて対応法ですが、前者の体の不器用さから来ているものであれば、一番の対応法は遊びです。子どもたちは幼い頃からの遊びの中で、体の使い方を学びます。追いかけっこ、ボール遊び、木登り……。子どもの遊びは多様です。家の中の遊びなら、お手玉、おはじき、あやとり、バランスボールもいいかもしれません。自然に思いっきり体を動かすことで、肉体の知性は高まります。
プチパニックの場合、まずは環境を整えることが重要です。失敗に対して寛大な環境、大概のことは何とかなると言った安心感が重要です。親があまり前のめりになって対応しようとすると、パニックに拍車をかけることになるかもしれません。まずは安心させてあげて、気持ちを切り替えながら取り組むことで、うまく対応できるかもしれません。
いずれの場合も、何とかなる体験をくり返しながら、お嬢さんの意識も成長していきます。お嬢さんの気持ちに寄り添いながら、焦らずおおらかに受け止めていきましょう。
Vol.69 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2020年10月号掲載