子供の考える力・書く力はこうすれば伸びる!

HOME > 菅原裕子先生 お悩みパパ&ママ子育て相談 >子育て相談 Vol.71

子育て相談 Vol.71

今月のお悩み

“友だちとの貸し借り”

友だちにゲーム機を返してもらえず困っているようです。
小学3年生の長男は、最近、同じクラスのお友だちに貸したゲーム機を返してもらえず困っているようです。「返して」と何度か言ってはいるようなのですが、なかなか返してもらえないでいます。こういった場合、親はどのように関わればよいでしょう?

先生の回答

小学生の間の“貸し借り”は親がはっきり禁止したほうがいいでしょう

親が〝限界設定〟したほうが子どもが自由になれることも

 子どもの間での物の貸し借りは、いじめに発展したり、親たちを巻き込んだトラブルになったりすることがあります。小学生の子どもに対しては、親がはっきりと禁止したほうがいいでしょう。親が禁止すれば、子どもは他の子から物を借りてくることはありません。もし他の子に「貸して」と言われても、「親がダメだって言うから」と、角をたてずに断ることができます。いずれ、子どもは自分で判断できるようになります。それまでは親の責任において禁止したほうが、子どもにとって安心できるのです。
 これは、限界設定という考え方です。「これは自分の判断で決めてよい」という自由な領域と、「これはしてはいけない」という禁止を明確に示すことで、子どもは自由な領域の中で、自分で考えながら安全に試行錯誤をすることができるようになります。今回のケースで言えば、子ども同士で遊ぶときのゲーム機の管理は子どもの自由、持ち出したり、その場で貸し借りしながら一緒に遊ぶのは、子どもの判断で行ってよい。でも、友だちとゲーム機の貸し借りをするのは禁止、遊び終えて帰るときには必ず、自分の持って行ったゲーム機を持って帰ってくること、というようになります。これが徹底できるように、ゲーム機やコントローラーなどの周辺機器に子どもの名前を書いておいたり、それらを持ち歩くためのケースを用意したりする必要があるでしょう。
 これは本来、子どもにゲーム機を買い与えるときか、子どもが友だちとゲームで遊ぶようになったときに決める必要のあることです。親子の間で、そのようなルールを決めてあったでしょうか。もしルールがなかったとしたら、明確なルールを定めて子どもを守るのは親の役割ですから、親の仕事が不十分であったという点に関して、子どもに謝りましょう。きちんと「ごめんなさい」と伝え、遅くなったけれどこれからルールを作りましょう、と話をしてください。ルールは、やがて子どもが自分ですべての責任を負えるようになるまで、子どもの自由を守るために必要なものであるということを説明し、理解を求めてください。

トラブルを避けるためのルールを親子で決めましょう

  今回すでに貸してしまったゲーム機については、親が介入すべきかどうか、息子さんの意見を確認しましょう。息子さんは、親の介入を望んでいるでしょうか。親が出てくるぐらいであれば、諦めてもいいと思っているのでしょうか。よく話し合ってください。そして、今後このようなトラブルを避けるために、どのようなルールがあったらいいか、一緒に考えましょう。
 最初は、安全のために、少し厳しくルールを決めておくとよいでしょう。やってみて不便なことがあれば、どうしたら安全で自由な領域を増やせるかを話し合いながら、少しずつルールを調節していきます。たとえば、最初にゲームを買い与えたときは、「ゲームは家ですること。一日30分まで」であったとします。友だちとゲームで遊ぶようになると、「30分では足りない」ということになるでしょう。でも、無制限にゲームをしていいということになると、宿題や手伝いをしなくなるかもしれません。ですから、「友だちとゲームをするときは、ゲームの時間には制限をしない」というルールと、「遊ぶのは、宿題が終わってから。5時までには終わる」というルールを組み合わせ、さらに「30分ゲームをしたら、必ず5分目を休める」などのルールを追加します。30分で休憩ができるように、ゲーム機のタイマーなどを利用して管理すると良いでしょう。そしてこの段階で、「友だちとゲーム機の貸し借りをしてはいけない」「家から持ち出したゲーム機は、必ずその日のうちに持ち帰る」などのルールを追加することになるでしょう。
 もし、充分なルールを決めてあったのに、子どもがルールを守らずにトラブルになったということであれば、そこから学んでもらうしかありません。貸したゲーム機は返ってこないかもしれませんが、自分の行動の責任として受け入れてもらうことになるでしょう。

Vol.71 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2020年12月号掲載

一覧へ戻る
春の入会キャンペーン
無料体験キット