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子育て相談 Vol.77

今月のお悩み

“友だち関係”

小4の娘が、お菓子交換会から落ち込んで帰ってきました……。
小学4年の娘が通う習い事教室では、毎回お菓子交換があり、小分けのクッキーなどを人数分持っていかせています。先日、落ち込んで帰ってきたので理由を聞くと、小6のお姉さんに「これいらない」と言われて交換してもらえなかったとのこと。単に嫌いなお菓子だっただけなのかもしれませんが、以前も無視されるなどつらくあたられたことがあったようです。「次はもっと美味しそうなお菓子用意するね」と声をかけると、元気になったのですが、そんな解決で良かったのかとモヤモヤしています。アドバイスお願いします。

先生の回答

子どもの気が晴れるまで、話を聴きましょう!
大切なのは、親がなにもかも解決しようとしないこと

 子どもが落ち込んで帰ってくると何があったのか気になりますね。お子さんの様子によく気がついて、話を聞く関係ができていることは、素晴らしいことだと思います。小学校4年生ともなると、思春期の入り口に立つ子が多いでしょう。そうした中、お友だちとの関係の難しさを親に話してくれるというのは、親にとっても安心なことですね。とはいえ、子どもの抱える問題が難しくなり、一筋縄ではいかなくなってくる時期でもあります。今回のようなケースをどうとらえるべきか、少し掘り下げて考えてみましょう。

コミュニケーションスタイルは大人になる中で備わる

 人には様々なコミュニケーションスタイルがあります。お菓子の交換をする時にも、ただただ交換することそのものが楽しく、肝心のお菓子がどんなものか、好きか嫌いかということを気にしない人もいます。一方で、そんな場面でも、自分の好き嫌いをはっきりさせたいという人もいます。また、あまり好きではない、あるいは苦手なお菓子が来ても、ここでは交換するというコミュニケーションが大事だからと割り切って、あるいは、相手をがっかりさせてはいけないという気遣いから、我慢して「ありがとう」と受け取る人もいれば、「これは好きではない」ということをはっきり伝えてしまう人もいます。相手から「いらない」と言われた時の受け取り方も様々です。「いらないのね」でそれ以上は気にしない人もいれば、お菓子だけでなく、自分まで拒絶されたかのように感じる人もいます。もともとの性格の影響もあれば、その日の気分の問題もあるでしょう。経験を積んで大人になる中で、自然と当り障りのないやり取りや、社交的な距離感というものを身につけていくものです。が、小学生ではまだ、小さな衝突が起こるのも不思議なことではありません。
 おそらく、6年生の女の子は思ったことをズバリと言う人で、さらに言い方が直接的なのかもしれません。そして、お子さんはいらないと言われると、自分を拒絶されたように感じる傾向があるかもしれません。あるいは、その6年生の女の子との関係の中で積もってきたものがあるかもしれませんし、何もなくても、たまたまその日はそう感じたということもあるでしょう。
 子どもはこの先、いろいろな場面で、いろいろな人と出会ってコミュニケーションします。その時、相手の物言い一つひとつに傷つくことなく、時には「あら、そういう人なのね」としなやかに受け流すことができるよう、心の成長をサポートしていきましょう。必要な情報を大切にすることと同じように、必ずしも重要でないことを深刻にとらえすぎず、脇に置いておけるようになる柔軟性は、とても大切です。
 ですが、受け流すことを教えることは、ショックを受けて帰ってきた子どもに対して、「その人は、そういう人なのよ。だから、そんなことは気にしなくてもいいの」と言うことではありません。なぜならば、現に子どもは相手の態度を気にしているのです。その感覚を大切にしながら、気持ちを処理していくプロセスに丁寧に寄り添うことで、子どもの心は強く柔軟に育っていきます。

話を聴いてもらうことで心の柔軟性が高まる

 まずは、子どもの気が晴れるまで聴くことです。「そんなことがあったのね」「それは嫌だったね」「そういう言い方されると悲しいね」「つらかった?」など、子どもの気持ちにより添って、充分に聴いてください。
 今回、「次はもっと美味しそうなお菓子用意するね」という声かけでお子さんが元気を取り戻したのは、親が子どもの話によく耳を傾けたからではないでしょうか。外でつらいことがあっても、帰ると親がそのつらさをわかってくれて、まるで嫌な思いを吸い取るかのように聴いてくれる。すると、子どもの心の柔軟性は高まります。そのうえで、「次はもっと美味しそうなお菓子用意するね」などの提案を伝えると、素直にその言葉を受け取ることもできます。
 また、子どもの成長に伴って、折に触れていろいろな人がいることを話し合うなどするのもいいでしょう。親子でいろいろな経験を共有して、親子の感じ方の似たところや違うところ、時代や年代の違いを見つけて味わってみるのも、良い体験になります。
 大切なのは、親が問題を解決しようと気負いすぎないことです。解決しないままの問題はたくさんありますが、どうにもできないこともあることを知り、折り合いをつけて、どうにもならないままで置いておく勇気を持つことも大切です。どんと構えて、子どもの悩む心に寄り添っていきましょう。

Vol.77 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2021年6月号掲載

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