子供の考える力・書く力はこうすれば伸びる!

HOME > 菅原裕子先生 お悩みパパ&ママ子育て相談 >子育て相談 Vol.78

子育て相談 Vol.78

今月のお悩み

“SNS”

LINEの使い方、どこまで目を配るべき?
小学5年の女子です。LINEグループをいくつも作って、ひっきりなしにやりとりしています。「仲良し4人組(半分)」というグループ名が見えたので、「仲間外れとかしたらダメだよ」と声かけしたのですが、きょとんとしています。返事の催促を連呼する友だちの投稿にあせって「早く文字が打てないから代わりに返事して!」と頼んでくる時もあります。知らない間にトラブルにならないか、どこまで目を配るべきかとても心配しています。

先生の回答

管理すべき部分と、失敗する自由を残しておくべき部分とがあります。

OKの限界を設定しておく

 最近では、小学生にもスマートフォンを持たせることが増えてきました。親の時代にはなかったSNSの普及にともなって、子どもを守るために必要なものも変化しています。子どもとSNSの関わりについて、「限界設定」の観点から考えてみましょう。
 限界設定とは、「このルールの範囲内で、あなたの自由にしていいよ」という範囲をはっきりと決めることです。子どもの自立を促すために、親はあれこれ手出し口出しするのをやめて、離れて見守る必要があります。親が離れているときに子どもを守るのが、適切なルールによる限界設定です。たとえば、子どもにスマホを持たせる場合、機器の利用に関して、「使っていいのは夜8時まで」「アプリのダウンロードは親の許可を得て行う」などのルールを決めるといいでしょう。

親子でリスクを確認する

 SNSの使い方については、どのような限界設定が適切でしょうか。まず、法律や校則を確認してみましょう。法令には、「歩きスマホは禁止」など、機器の使い方のルールだけでなく、「個人情報に関する書き込みをしない」「侮辱や中傷をしない」など、インターネットの利用に関するルールもあります。学校でも、インターネットやSNSの利用についての指導が行われることが多くなっています。学校独自のルールとして、明文化されたものが共有されていることもあります。「他人になりすまして情報を発信してはいけない」「『友だち』申請をしてきた人が、本当に本人であるか、よく確かめる」など、まとまった状態で案内されていることも多くあります。子どものインターネット利用についてのガイドラインが、自治体や協議会などから提供されているケースもあります。調べて、内容を親子で確認しましょう。新しいツールやサービスの普及によって、子どもは新しいリスクにさらされています。個人情報や金銭に関するトラブルから子どもを守るため、あらゆる可能性を考えながら、子どものスマホ利用を管理しなくてはなりません。

人付き合いは、社会的なスキル

 一方で、「仲間外れにする・される」といった友だち付き合いのトラブルは、スマホが普及するよりずっと前から存在します。SNSどころか、人類が群れで暮らすようになってから、何十万年も悩み続けてきたテーマです。人付き合いは大変難しいものですが、子どもが悩み、学ぶべき価値のあるものです。友だちとどんな距離感で接したいのか。自分が何を大切にしていて、何を嫌だと思うのか。嫌なことが起こったときに、どのように対処するのか。社会的なスキルを学び、身につけ、洗練させていく機会でもあります。ここでの親の仕事は、子どもが友だち付き合いで失敗しないように予防することではなく、適切な限界設定の中で、時には失敗する自由を与えることです。失敗したときの傷が、子どもにとって「いい経験」の範囲に収まるように、安全を見守ることです。

疑問に感じたら、対話を

 最低限の安全をルールで確保したうえで、まだ心配だ、ということもあるでしょう。ご質問では、返信を催促するようなSNSの使い方が適切なのかどうか、疑問に感じておられるようです。小学5年生にもなれば、子どもは、親から離れた場所で子ども同士の関わりを持つようになります。そこでのふるまいの一つひとつに、親が口出しをすることはできません。ですが幸いにもお子さんは、文字の入力を親に頼るなど、いろいろなことを親に相談する関係ができているようです。それをきっかけにして、親子でいろいろなことを話し合うことが、子どもの助けになるかもしれません。
 子どもが「代わりに返事して!」と興奮状態にあるときでなく、落ち着いて話ができるときに、「お母さん、あんなに返事を催促されるのは不自然なことだと思うんだけど、そういうものなの? あなたはどう感じているの?」と訊ねてみてください。これは、「やめなさい」という説得ではありません。子ども自身が、楽しんでやっているのか、周りに合わせるために渋々やっているのか、理解するための対話です。親との対話を手がかりに、子ども自身が、自分の価値観や行動を理解していきます。若者独自の文化であれば、親には理解しにくいこともあるかもしれませんが、子どもが安全に、それなりに楽しくやっているのであれば、信じて任せることも大切です。

Vol.78 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2021年7月号掲載

一覧へ戻る
春の入会キャンペーン
無料体験キット