子供の考える力・書く力はこうすれば伸びる!

HOME > 菅原裕子先生 お悩みパパ&ママ子育て相談 >子育て相談 Vol.79

子育て相談 Vol.79

今月のお悩み

“留守番”

留守番の日のルールを守ってくれません……。
 息子が小学4年生になり、学童保育を退所した今年から、留守番をしてもらう日が多くなりました。宿題を終えてから遊びに行くこと、遊ぶときは近所の公園で遊ぶこと、親がいないときに友だちを家に入れない……など親子で留守番の日のルールは決めたのですが、まったく守ってくれません。帰宅したら、お友だちが家にいたり、宿題が手つかずだったりします。
 どうすれば守れるようになるのでしょう?

先生の回答

ルールが必要な理由をわかりやすく伝えましょう。
納得できてはじめて、守る努力ができます

 4年生になると学童保育がなくなり、留守番をすることになるお子さんが多いでしょう。子どもにとってはこれまでにない時間の過ごし方です。一人でいろいろと考えて、時間をうまく使えるようになるといいですね。
 子どもが、留守番などの新しいことに挑戦するとき、ルールを決めておくことが大切です。ご相談は、決めたルールを子どもが守らない、どうしたらいいかということです。お子さんは自由な気質の子でしょうか。まるで水を得た魚のように自由を満喫しているのではないでしょうか。でも、親としては最低限のルールは守ってほしいもの。ルールとは何か、どう決めて、どう運用するといいかを考えましょう。

ルールの根底にある考えを親子で共有する

 ルールは子どもの行動規範になると同時に、子どもを危険から守ります。そのことをわかりやすく伝えましょう。学童に行かないということは、もう一人で考えて行動することができるようになった、ということでもあります。「ルールに沿って、自分で考えながら行動できる年齢になったんだね」ということを伝えて話し合い、子どもの意識付けをすると良いのではないでしょうか。
 重要なのは、その根底にある考えを共有することです。幼いころ、子どもは親の言うことをそのまま受け入れました。「こうしなさい」「これはダメよ」と言われると、不満はあってもそういうものだと受け入れました。ところが4年生ぐらいになると、彼らは自分の考えで判断するようになります。これは自立の過程のひとつとして歓迎するべきことです。そこで親は、時間を取って、留守番の日のルールとなぜそのルールが必要なのかを、子どもが理解するように対話することが求められます。なぜか腹落ちしていれば、子どもはルールを守る努力ができるからです。
 親は「ルールを一緒に決めた」と思っていても、実は、親がしてほしいことやしてほしくないことを並べて「約束ね」と言っただけ、かもしれません。こうなると子どもは、なぜルールを守らなくてはいけないかがわかりません。一人で留守番をするときの親の希望を一つひとつ挙げながら、なぜそうなのか、どういう約束にすればよいかを話し合っていくことで、子どもにもルールの理由が伝わります。

ルールについて子どもに話す機会を与える

 さて、「宿題を終えてから遊びに行くこと」「遊ぶときは近所の公園で遊ぶこと」「親がいないときに友だちを家に入れないこと」、これらはなぜルールとする必要があるのでしょうか。子どもとの話し合いの前に、親自身がその理由を見つけましょう。親の考えを話すと同時に、子どもの意見にも耳を傾けます。子どもにわかりやすく説明をしたら、あなたの考えも聞かせてと、子どもにも話す機会を充分に与えてください。そのとき子どもは考えます。
 安全に関するルールは、特によく話し合っておきましょう。電気ポットでお湯を沸かすのはよいけれど火を使ってはいけない、とか、親の留守中にインターホンが鳴っても出ない、とか、家ごとに様々なルールが考えられます。家の中にも様々な危険があることについて、よく確認しておきましょう。

ルールは箇条書きにして掲示しておく

 こうして話し合う中で決まったことは、目に見える形にしておくことをお勧めします。ルールを箇条書きにして、よく見えるところに掲示しておくとよいでしょう。話し合うだけでは、記憶の片隅に追いやられがちですが、たびたび目にすることで意識に定着しやすくなるものです。身につくまでは、繰り返し同じことを確認することが大切です。また、留守番を始めて何度かは、ルールの内容の確認や調整が必要になります。週末などに一週間を振り返って、親子で、話し合ってみてください。

ルールを守れたときは言葉にして認める

 もう一つ大切なことがあります。決めたルールを振り返り、うまくルールに沿って行動できたときには、そのことを認めることが大切です。決めたことをきちんと守っても、特に承認がない場合、ルールを守ろうという意欲が続きません。決めたとおりにできたことは言葉にして認めることです。そうすることで、意欲を引き出すことにつながります。留守番の間、親は子どものやっていることをすべて見ているわけではありません。でも、認められるとその親の期待にかなう行動をしようとするものです。
 5年、6年と成長するにつれ、子どもの行動範囲はどんどん大きくなっていきます。そのときに、安心して見守れるよう、今このときにしっかり話し合いましょう。

Vol.79 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2021年8月号掲載

一覧へ戻る
春の入会キャンペーン
無料体験キット