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子育て相談 Vol.81

今月のお悩み

“生活”

臨時休校に小躍りし、休み明けに登校を渋ります。
 小学2年生の長男は、家でまったりしているのが好きで、コロナ休校や大雨警報などによる臨時休校のたび、小躍りして喜び、学校が再開されると必ず数日間、行きしぶり、遅刻が続くことになります。不穏な世情なので、あんまり強く言うのもどうかなと思い、無理強いはしないようにしているのですが、休み明けにうれしそうに登校していくよそのお子さんの様子を見るたび、心配になります。どういった対応をすべきなのでしょう?

先生の回答

「行きたくないのかあ」と受け止め、
 話をよく聞いてあげてください。

 まるで私の小学生時代のことのようです。毎週、日曜日の午後には気が重くなりました。夏休みなどの長い休みの終わりが近づくと具合が悪くなり、学校を休む日もありました。親は仮病だとわかっていたと思いますが、「しょうがない」と休ませてくれていました。なぜ自分がそうであったのか、今でもはっきり説明できませんが、集団生活に緊張や疲れを感じやすいタイプだったのかもしれません。学校の何がつらいというわけではないのですが、家でごろごろするのが好きな子ども時代でした。
 行きしぶりする様子を見て、子どもが何か問題を抱えているのではないか、あるいは、これから困ったことになるのではないかと、心配するのは当然でしょう。こういった場合の対応について考えてみましょう。

基本、集団生活はストレスフル登校するだけで一仕事な子も

 お子さんは小学2年生です。まだ発達の途上にあります。学校でいじめがあるとか、あるいは先生との関係に問題があるということでなくとも、母子分離不安や、集団生活への不安から登校しぶりが考えられる年齢です。母子分離不安といって、親の愛情不足などと早とちりしないでください。この不安は人にもともと備わっているもので、発達のどの段階で、どのように克服されるかは千差万別です。小学校の低学年であれば、まだ登校しぶりの形で表現されることがあっても不思議ではありません。その場合は、お母さんが感じる「この子、大丈夫かしら……」という不安を乗り越え、お子さんの気持ちを受け止めて、笑顔で送り出すのがよいでしょう。学校に行く道の途中まで送っていくのも有効かもしれません。「そこの角まで一緒に行こうか」などと提案してみてはいかがでしょうか。
 集団生活への不安は、すべての子どもにみられるものです。集団生活というのは、そもそもストレスのかかるものです。もしエネルギッシュで、みんなでワイワイ騒ぐのが好きなタイプであったり、学校にとても楽しみなことがあったりすれば、集団生活から受けるストレスよりも楽しさが勝って、喜んで学校に出ていくこともあるでしょう。ですが、集団からは少し距離を置いて一人の時間を楽しみたい、自分のペースで過ごしたいという気質の子には、登校するというだけで一仕事です。
 また、感覚的に過敏なところのある子どもは特に、学校特有の音や光やにおいから、強烈なストレスを受けることもあります。子どもであっても、たくさんの子どもが作り出す騒音の中にいると、ひどく疲れるということはあるものです。家でのんびりくつろいでいるほうが、身体的精神的に、はるかに楽なのです。多くの場合、成長とともに適応できるようになっていきますし、うまく適応できなくても、周囲が大人になっていけば過ごしやすくなります。そういうこともある、と理解しましょう。

大切なのは、親が神経質になりすぎないこと

 そして、精神的に繊細な子どもであれば、社会や親の不安を感じ取って、無意識に、登校することへの抵抗感を強める場合もあります。新型コロナウイルスの蔓延など、「登校しないほうが安全かもしれない」という場面も、現実に存在しています。大人が「大丈夫!」と言い切れないものに対して、子どもが安心できないのは、不思議ではありません。
 分離不安や、集団生活への適応の問題や、社会的な不安が原因だとすれば、子ども本人に「どうして?」と聞いても、まだうまく答えることができないかもしれません。問い詰めるなどせず、「行きたくないのかあ」と受け止めて、話を聞いてあげてください。ここできちんと話を聞いて、信頼関係を育てていくことで、今後何かあれば相談してくれる可能性が高まります。「いつでも話を聞くよ」という姿勢を伝えるために、よく耳を傾けてください。その点で、無理強いしないという判断はよかったといえます。大切なのは、親が神経質になりすぎないことです。親が不安になることで、子どもも不安になるものです。休み明けがつらいのはお子さんだけではありませんし、楽しそうな子と比べることには意味がありません。

 親にできる対応は、観察を欠かさないことです。健康で、よく寝てよく食べるのであれば、成長を信じて待ちましょう。話を聞く姿勢を整え、よく耳を傾けること。あまり不安がらずに、どんと構えて笑顔で送り出すこと。そして観察を続けること。これらを心がけて、子どもの成長を待ちましょう。

Vol.81 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2021年10月号掲載

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