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子育て相談 Vol.82
“不登校のお友だち”
- 不登校になった友だちのために、してあげられることは?
- 小学6年生の次女は、最近、不登校になってしまった幼なじみのことで、悩んでいます。クラスが違うこともあり、何がきっかけで不登校になったのかわからない、とのこと。娘が電話しても、おうちを訪ねても出てきてくれないのだそうです。何か楽しい学校行事があるたびに彼女のことが気になるようです。私たちにしてあげられることはないのでしょうか? アドバイスお願いします。
先生の回答
「学校へ行かない」という選択を尊重し、
根気強く待ってあげて
友だちが出てきてくれないお子さんも不安の中に
優しいお子さんですね。クラスが違っても幼なじみのことを気にかけて心配しているのですね。
コロナ禍の影響のもとで、小学生中学生の不登校が増えているようです。原因がはっきりしているケースもありますが、しないケースも数多くあります。中には本人さえ、なぜと聞かれるとうまく説明できない場合も多いようです。
いま、社会全体が不安の中にあります。感染への不安、生活の不安、将来への不安、子育ての不安。それら大人の不安を子どもはそのまま引き受けます。そして、子どもたちは彼らなりの不安を感じていることでしょう。触れ合えない、近くで存分に話し合えない中、関係に問題を抱えるケースもあるでしょう。勉強の遅れに悩むこともあるでしょう。個々の不安も、集まると大きな影響力を持ちます。
お子さんのお友だちの不登校の理由がわからないとのこと、その現状をそのまま受け止めなければならないお子さんもつらいでしょうね。電話したり家を訪ねたりして、熱心に働きかけても、なかなか出てきてくれないというのは、きっともどかしく、さみしい体験です。幼なじみの子だけではなく、お子さん自身もまた、いろいろな気持ちを抱えていることと想像できます。
まずはお子さんの話をしっかり聞く
まずはお子さんの悩みにしっかりと耳を傾けてください。幼なじみの不登校に関連して、ほかにも悩んでいることがあるかもしれません。もしかしたら、不登校への、ほかの友だちや大人たちの反応に対して、何か感じることがあるのかもしれません。学校行事のたびにふと思い出すという体験がどのようなものか、じっくり時間をかけて聞いてみてください。
もし、幼なじみの不登校に関連して、お子さん自身が何かを悩んでいるということであれば、話を聞いてお母さんに対応できることがあるかもしれません。ですがもし、幼なじみの不登校という事実だけがお子さんの気がかりなら、それは待つしかありません。幼なじみのお子さんがどういうきっかけで不登校になったかもわからない中で、お子さんにできることはあまり多くはないと思います。
ただ、不登校のお子さんの中には、しばらく家に閉じこもっていると一人でいるのに飽きて、学校へは行かないけれど、友だちとは遊ぶという子が結構います。根気強く待つこと、そして機会があれば繰り返し「遊ぼ!」と誘ってみることはできるかもしれません。どのように働きかけたらよいのかを考えるために、お子さんから幼なじみの子の担任の先生に相談するよう促すのも、一つの方法かもしれません。
不登校になって間もないとしばらくは顔も見せてはくれないかもしれませんが、きっかけを待ってください。理由はわからなくても、学校へ行かない選択をしていることを尊重することが重要です。学校に来てもらうことを考えるより、まずは落ち着いて関われる環境を整えていくことが、お子さんにとっても、幼なじみの子にとっても、よい結果につながりやすいと考えられます。
わが家・わが子から始めるストレス発散のヒント
あまり幼なじみのことにはとらわれすぎず、お子さんには学校生活を楽しんでほしいですね。そのためにお母さんにできることはたくさんあります。お子さん自身が不安を抱えないように、環境を整えることです。そのためにできることはいろいろありますが、一番はお子さんとご家族のストレスを発散するためのヒントを二つお伝えしましょう。
①話せる環境をつくる
一つは「話す」です。お子さんが自身の思いを話せるよう話を聞いてください。テーマが何であれ、「そんなこと心配しないで」や、「あなたは自分のことを考えていればいいのよ」とか、「~したほうがいいんじゃない」と、助言はしないほうがいいでしょう。解決策を見出すことよりも、気持ちを話すことができること、関心を持って聞いてもらえるという環境が、心の支えになります。「心配だよね」「気になるよね」「どうしたらいいんだろうね」と共感し、一緒に考え、答えは出なくても、お子さんがたくさん話せた、否定されることなく聞いてもらったと感じることが重要です。家族全体で話が盛り上がるというのもいいでしょう。家族の気持ちが安定しているのは、お子さんにとって何よりの安定要因です。
②笑える機会を増やす
二つ目は「笑う」です。小学校6年にもなると、幼いころのように親とじゃれ合って笑うというのは難しいかもしれません。でも、ここまで育ててきたお母さんであれば、お子さんの笑いのツボはご存じではないでしょうか。一緒に、家族みんなで、笑える機会を増やしてみるのはどうでしょう。
社会全体を包む不安の解消を期待する気持ちは強いですが、まずわが家から、まずわが子に対してできることから始めましょう。
Vol.82 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2021年11月号掲載