子供の考える力・書く力はこうすれば伸びる!

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子育て相談 Vol.83

今月のお悩み

“気持ちの切り替え”

思うようにできないことがあるたび怒ったり泣いたり大騒ぎ……。
 小学2年生の娘は、問題がわからなかったり、丸付けで間違えが多数あったときに、大声で怒り、本や鉛筆を投げたり、時に泣き出したりします。「間違えてもいいんだよ、どうして間違えたか一緒に考えてみよう」と声をかけますが、気持ちを切り替えるのに毎回30分ほどかかります。1年生のときは、「こんなものかな」と思っていましたが、ピアノや逆上がりの練習など、自分の思い通りにできないときには全て同じ反応を示すので、毎回こんなに大騒ぎしていて大丈夫かなと心配しています。
 声のかけ方など、サポートの方法を教えてください。

先生の回答

「完璧じゃなくてもいい」は、時に逆効果。
年齢とともに、自分の受け入れ方を学んでいきます

 うまくいかないときの気分転換は、大人でも難しいものです。これを子どもに教えるのは、一筋縄ではいかない部分があります。特に、子どもが怒ったり泣いたりという反応がある場合、親としても冷静に受け止めるのが難しく感じるかもしれません。子どもの状況を理解して、どうしたらより良いサポートができるか、考えてみましょう。

何もかも実現できない現実と向き合い始める時期

 お子さんには、「うまくできている自分」のイメージがあるのかもしれません。何かやろうとするとき、それがスイスイできているイメージをもって取り組むと、イメージ通りにできないことを受け入れられなかったり、パニックを起こしたりすることがあります。
 うまくできている自分のイメージを持つこと自体は、とても良いことです。取り組む前に良いイメージを持つことには、多くのメリットがあります。これは、頭の中で成功パターンのシミュレーションを行っているということです。スポーツや楽器の演奏では、イメージできない動きを実現することはできません。勉強をするときでも、集中力ややる気を高める役に立ちます。ぜひ伸ばしていきたい力です。
 ですが、お子さんはまだ幼いので、イメージをどう扱うか、どのように自分のイメージに近づいていくかについて、経験が不足しているのではないでしょうか。小学2年生という年齢は、早い子であれば、「自分は、何もかも思い通りにできる存在ではない」という現実に向き合い始める時期です。4~5歳の子どもは、まるで魔法使いやスーパーヒーローのように、イメージ一つで何もかもがかなう、という感覚を持っています。この感覚は、思春期に入るまでにシェイプアップされ、「自分は、特別すごい存在というわけではないけれど、頑張れば、結果を出すこともできる」というところに落ち着いていきます。お子さんはきっと、そのギャップに向き合う時期に差し掛かっているのでしょう。

現実と理想の間を埋めるには?

 親にできることは、まず、しばらく気長に付き合うことです。子どもの様子をよく観察してください。子どもは、日々少しずつ進歩しています。何か以前よりうまくできるようになったことがあれば、それを具体的に言葉にして、子どもに認識させていきましょう。ピアノであれば「上手になったね」ではなく、「いまのところ、指使いが難しいのに、一回もつっかからずに弾けるようになったね」というように。計算であれば、「もうすっかり、繰り下がりの計算を間違えなくなってるね」というようにです。
 そして、どうしたらそれができたかを聞いてみてください。最初のうち、答えは「わかんない」かもしれません。そうしたら、親が言葉を添えてあげましょう。「きっと何回も練習したからじゃないかな」「どういうところで間違いやすいか気づいて、注意できるようになったんじゃないかな」など。やがて、自分で「ちゃんと見直しした」「ここを頑張って練習した」と言えるようになっていきます。これは、どのようにして、現在の自分と理想の自分の間を埋めていったらいいかをイメージできるようになった、ということです。イメージの力をより上手に活用できるようになっていくことで、徐々に、泣いたり怒ったりすることは減っていくでしょう。

おおらかに、根気強く、見守っていこう

 また、お子さんの気質的な特性から、完璧でないことを受け入れにくい傾向があるかもしれません。その場合、「完璧じゃなくてもいいんだよ」「完璧は無理だよ」という声かけをしても、あまりうまくいきません。それどころか、完璧を求める気持ちをわってもらえない、と、親子の気持ちに溝ができてしまうかもしれません。完璧でないことに腹を立てて地団駄を踏むようなことがあったら、そばで静かに見守ってあげてください。年齢とともに、完璧でない自分を受け入れることを学んでいきます。
 親にとっても、忍耐力を試される経験になるかもしれません。子どもとともに、一回り大きく成長するチャンスです。年単位の時間のかかる成長ですから、おおらかに、根気強く、取り組んでいきましょう。

Vol.83 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2021年12月号掲載

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