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子育て相談 Vol.85

今月のお悩み

“コミュニケーション”

小4の長女は、家でコミュニケーションのスイッチをオフにしたかのように話しません。
 小学4年生の長女の無口さが気になっています。学校では、友だちとのおしゃべりを楽しんでいるようなのですが、家では、ほぼ音を発しません。聞かれたことに、うなずいたり、首をふったりする程度です。親戚の集まりでもその調子ですから、自然、私が通訳者のようになります。人見知りというよりは、コミュニケーションのスイッチをオフにしてしまっている……といった感じでしょうか。幼いころは普通に話していたのに、小学校入学後、徐々に話さなくなりました。一時的なことなのかな……と思い見守っていますが、あまりに声を出さないので心配しています。

先生の回答

家族で朗らかに語らうなど、お子さんがコミュニケーションしやすい環境がありますか?

安心できる相手、安心できる場であることに徹する

 親が通訳になっているということは、親とは話すということでしょうか。それであれば、お子さんにとって親は安心できる相手なので、その関係をより安心なものに育てていくことをお勧めします。リラックスした環境であれば話せるようになるお子さんもいます。話すことを強要しないほうがいいでしょう。家族と一緒にいても、友だちと一緒にいても、黙って活動しても良い、と感じられることで、安心してリラックスできます。注目を集めたり、不安や緊張を高めたりするような活動や状況は避けたほうがいいでしょう。充分に安心できる環境であるとわかると、少しずつ話し始めるお子さんもいます。
 私が知っているある家族のケースでは、小学生だったころは学校で全く話さなかった女の子が、中学に進学してから普通に話し始めました。この間の両親の対応は、とにかく家を安心できる場にすること、子どもの話を傾聴し、困りごとは親子で話し合いながら解決するようにしました。何かを決めるときも親の考えを押し付けず、本人の意向を確認し、本人の望む方向で決めるようにしました。このお子さんの場合は、家庭環境が学校生活にも影響を与えたと思われます。もちろんこの間の、お子さん自身の成長もありました。

「話さない」のではなく、「話せない」場合も

 他の場面では普通にコミュニケーションが取れるのに、ある特定の場面では全く話せなくなるのは、場面緘黙(かんもく)と言われる状態かもしれません。家などでは家族とごく普通に話すことができるのに、幼稚園や保育園、学校のような特定の場面では、声を出して話すことができない状態を言います。「話さない」と思われがちですが、そうではなく「話せない」のです。その状態が、一か月以上も続くようであれば、様子を見ずに積極的に情報を集めたほうがいいでしょう。
 場面緘黙のような状態であれば、「成長すれば治る」と考えて長く様子を見すぎるのは、あまり適切ではないかもしれません。その状態が長く続き、大人になっても話さないまま周囲とコミュニケーションの取れない状況に陥ってしまう可能性もあります。先生に学校での様子を詳しく聞いてみましょう。仲の良い友だちとはおしゃべりできても、知らない人だと緊張して、時には固まってしまうようなことがあるかもしれません。運動会や発表会などで人の注目を浴びるのを嫌がる様子はありませんか。よく観察しないと、単に無口とか、引っ込み思案、ちょっと神経質とか、恥ずかしがりと大人の見方で処理してしまうことがあります。私たち大人は、普通に読み書きができて、それなりの成績で、おとなしくいい子であれば、まずは一安心と判断して、大きな要素を見逃してしまうこともあり得ます。幼い子どもは、自分のことを的確に説明することができません。そこは親や先生が気付いて配慮する必要のあるところです。同時に、児童向けの精神科クリニックなどに相談してみることをお勧めします。専門家からアドバイスを受け取ることも重要で役に立ちます。神経質になりすぎないよう、見守りましょう。

コミュニケーションの土台は、幼いうちにできあがる

 コミュニケーションは人が社会で生きていく上で非常に重要な要素のひとつです。そしてコミュニケーションの土台は、本当に幼いうちにできあがります。性格がいろいろあるように、コミュニケーションのスタイルにもいろいろな傾向があります。誰にでも声をかけて思い通りにできる子もいれば、恥ずかしくてなかなか自分から声をかけられない子もいます。その傾向をよく観察し、あるがままを受け入れながら、本人の気持ちに添って成長に寄り添うことが重要です。また、コミュニケーション力は環境にも大きく影響を受けます。コミュニケーションがしやすいと子どもが感じるような環境調整が必要になるでしょう。家族が朗らかに語らう姿を見せることが重要です。子どもの言葉に耳を傾けて傾聴すれば、子どもは聞かれることをうれしく感じるでしょう。
 子育ては、子どもがすくすく育つ環境を作り、子どもが自ら育つのを見守ることです。親ができることがまだまだあると思います。できることから始めましょう。

Vol.85 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2022年2月号掲載

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