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子育て相談 Vol.89

今月のお悩み

“部署異動と反抗期”

仕事が忙しくなったら、子どもたちが反抗的に……。
 小5の長女と小3の長男、ここ1〜2か月何となく反抗的です。理由はおそらく私(母)の仕事が、部署異動で忙しくなり、一緒に過ごす時間が減ったからだろうと思われます。急に「学童に行きたくない」などとグズるようになりました。私自身、毎日時間に追われて疲れていることもあり、精神的にもかなりしんどいです。とはいえ、仕事は続けていきたく、子どもたちが高学年になりつつある今はまさに踏ん張りどきだと考えています。私たち家族に何かよいアドバイスをください。

先生の回答

子ども扱いせず、共に生活する同志として現状を伝え、協力を求めましょう。

 組織で働くものとして、部署異動は常に覚悟が必要なことのひとつです。期待に添って働きたい、会社や職場の役に立ちたいという思いもあると思います。また、自分自身のため、キャリアの構築のためにも頑張りたいところですね。
 子どもは子どもで、難しい時期になってきました。ご長女は思春期を迎え、親をうっとうしいと感じるものの、親が忙しすぎて自分のことをないがしろにしていると感じると、それはそれで反抗的な態度につながるかもしれません。ご長女にストレスが溜まると、つい弟に八つ当たりなんてこともあるかもしれません。お母さんは忙しいし、お姉ちゃんは頼りにならないとなると、小3の弟にも不満が溜まるでしょう。子どもたち両方にストレスが溜まって反抗もダブルになりますね。家族が悪循環のループに巻き込まれそうです。

伝えれば、子どもたちはかなり多くを理解する

 こんなときにできることは、まず、家の中で良くコミュニケーションをとることです。お子さんの状態をよく観察するのは大切なことですが、親の思いだけで対策を講じるのはお勧めできません。今回のこの状況を、家族が一緒に考え、一緒に乗り越えていく良い機会であると捉えましょう。
 まずはパートナーと現状をよく話し合いましょう。もしパートナーが、子育ても家事も、妻と一緒に乗り越えていきたいと考える人なら、今ここでどのように力を合わせられるかを一緒に考えてくれます。まず、二人の間でどんな協力体制が組めるかを確認しましょう。
 そのうえで、お子さん二人と話し合います。まずは、お母さんの仕事の現状を伝えます。そして、お母さんの働いていたいという思いもきちんと伝えましょう。こういった話をするとき、親はつい、子どもだからわからないと考えて、子ども向けの話をしてしまうことがあります。子どもたちはまだ若いですが、親が真剣に伝えれば、かなり多くのことを理解します。彼らを子ども扱いしないで、一人の人として、共に生活する同志として、現状を伝え、理解してもらおうと努力してください。「お母さんは忙しいので我慢してほしい」ではなく、「お母さんは新たな職場で、いい仕事ができるように頑張りたいので、あなたたちにも協力してほしい」という趣旨で話します。子どもたちを、まだ何もできない幼い子どもと捉えるのではなく、充分に親を助けることのできる存在だと捉えることが大切です。

家族の一員としての意識が自立を促す

 このとき、お父さんとお母さんが協力してこの事態に対応しているということを見せるのが大切です。そうすることで、子どもたちは両親に守られていることを感じることができます。また、お父さんがお母さんを具体的にどのようにサポートしているかを伝え、子どもにもサポートを求めてみましょう。たとえば、朝食はお父さんが作る、ごみ捨てをする、洗濯をする、などの家事の分担をしていることを伝え、子どもにも家事をサポートしてほしいと頼むこともできます。自分の洗濯ものをたたんでしまう、お風呂掃除やトイレ掃除をする、というような、ある程度時間の都合がつきやすい仕事であれば、小学生でも担当しやすいはずです。親を手伝って感謝される経験を通じて、親とのつながりや、家族の一員である意識を強め、また自立も進んでいくことでしょう。
 同時に、二人の生活に不自由があることを理解もしているし、申し訳ないと思っている。何とかしたいので、父と母はこのように協力して二人を支えます、ということも話してください。日々の宿題チェックや習い事への送り迎え、学校の行事や休日の過ごし方など、対策の中には、お父さんお母さんが時短勤務を選ぶことも含みます。
 この話し合いを通じて、子どもに「親は、あなたたちを信頼している」ということを伝えましょう。信頼しているからすべてを相談している。我慢を求めているのではなく、協力を求めている。尊重され期待されていることがわかれば、子どもは親に歩調を合わせ、頑張る親を助けようと思うものです。親から信頼され、自分が親をサポートしていると感じることができれば、ますます子どもたちの自立が進んでいくでしょう。
 そして、親の努力も重要です。日課をこなして、生活を前に進めることも大切ですが、それを支えてくれる子どもと楽しい時を過ごせる配慮が充分にできるといいですね。子どもが大きくなったときに、きっといい思い出になりますよ。

Vol.89 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2022年6月号掲載

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