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子育て相談 Vol.93
“やっつけ仕事”
- 行動に移すのは早いけれど、やっつけ仕事なので残念……。
- 小4年の二女は、独立心旺盛で、学校の宿題も、洗濯物の取り入れなど家のお手伝いも、すぐに着手してくれるのですが、すべてにおいてやっつけ仕事感が強く、いろいろ残念なことになります。宿題を忘れない割にテストの結果に反映されなかったり、物をよく壊したり、汚したり……。彼女に落ち着いてことに当たる習慣を身につけさせるにはどうすればよいでしょう?
先生の回答
気質として理解し、美点を認めるところから始めましょう
独立心旺盛で自発的、起動力があり、すぐに行動に移す小4女子。なんと素晴らしいのでしょうか。そうではない子どもの親からすれば、それ以上何を望むことがあるの?と言いたくなりそうです。でも、親はもっとを望むものですね。よくわかります。せっかくの美点を結果につなげられるようにとの親心です。どうすればいいかを考えましょう。
美点を言葉にして認める
まず私たち親は、対照的な二つの傾向を両立させるのは難しいということを理解しましょう。お子さんのような美点を持つ人は、ひとつのことにじっくり時間をかけて丁寧に仕上げるのは苦手かもしれません。反対に、ひとつのことにじっくり時間をかけ、丁寧に仕上げようとする人は、行動を起こすまでに時間がかかり、親から「早くしなさい」などと言われることが多いものです。これは、生まれつきの気質の違いです。そこを十分理解したうえで、まずは、持って生まれた傾向を理解し、すでにある美点を認めることから始めましょう。ただしその時に言い方に気をつけてください。「すぐやるのはいいんだけれど、もう少し丁寧にやったほうがいいよ」「きちんと宿題やっているのに、テストの結果はもうひとつだね」これでは子どもは認められたとは感じません。「だけれど」や「でも」「のに」で、二つのことをつなげないことです。美点を美点として、言葉にして認めることです。「やることをすぐやるのって、すごいことだよね」「きちんと宿題をやっているね」まずはここからです。
子どもの言葉に耳を傾け、適切に言い換える
そして、残念な結果に出会った時に、子どもの言葉によく耳を傾けましょう。小4ともなれば、周りと自分を比較して自己イメージを作りつつあると思います。テストの点数が良くなければ、親の目にはそう見えなくても、内心では不満を持っているものです。そんな時の親のひと言は子どものやる気を引き出す言葉になります。批判したり、励ましたりするより、子どもがやってみようと思うような声掛けができるといいですね。
「あなたは宿題をきちんとやるし、授業態度も積極的だから、テストでももっといい点が取れると思う。私と一緒に作戦を練りませんか?」ーーこのように言われたらどうでしょうか。親が自分を認めてくれて、もっとできると言ってくれて、一緒にやろうと言ってくれる。そう感じた子どもは、きっと前向きになると思います。そして、子どもに聞いてみてください。例えばそのテスト、どうすればもっと点が取れたか。間違えたところをやり直しながら一緒に考えましょう。つまり、子どものやったことを振り返るのです。子どもはどこでミスをしたか、何故点が取れなかったか、どうすればいいかを自分で見つけていきます。
この時の親の仕事は、子どもの言葉を言い換えることです。「つまり、計算間違いがないか見直すということ?」「読み違えないように問題を読む時はゆっくりするということ?」
このような場面で、親が子どものやったことを振り返って、ここがダメだったと指摘するのは効果的ではありません。それは子どもの反発心に火をつけるだけで、子どもが自ら自分を振り返るのを邪魔してしまいます。あくまで子どもが振り返り、親はフォローに徹します。子どもの気づきが不十分でも、まずは構いません。自分で見つけることが大切です。
子どもに対策を言わせる
子どもの言葉を言い換えてまとめたら、「できること見つけたね」と、これも認めてください。子どもが自分で見つけたことを認めるのです。どうすればもっと良くなるかがわかれば、次からはもっと気をつけて落ち着いて取り組もうと思います。そして、「次のテストの時はどうしますか?」と次への思いを聞いてください。「ちゃんとやる」などと、雑な言い方をするようなら、「どのようにちゃんとするのか教えて」と、あくまで見つけた対策を言葉にするよう促してください。
テストは自分で点数を確認できるので、子どももよかったのかそうではなかったのかが評価しやすいものです。次はどうするかを子どもに任せて習慣化していきましょう。
不十分な点は伝える
ところが、家事のお手伝いとなるとそうはいきません。本人にはこれでいいと思ってやっていても、周りが喜ばないということもあります。洗濯物をたたんでくれたけれど、しわしわになってしまったなど。ここは、わかるように言い続けることが大切です。「しわしわのシャツをお父さんに着せるのイヤだよね」「ぴしっとなってるとお母さんうれしいな」と伝え続けることです。責める口調に気をつけてください。責められると子どもはやるのが嫌になります。
Vol.93 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2022年10月号掲載